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錬金サバイバル〜女神のくしゃみで無人島転生になりました〜  作者: 桜木まくら


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第13話〜フライパンが欲しいので川を探しに行くことになりました〜

異世界転生してから数日が経過した。自律思考モードを解放したアリーナのアドバイスのおかげで状況は劇的に変化した。


「まずは拠点の改築を進めましょう、マスター」


「了解!サポートよろしくな、アリーナ」


これまでの小屋はただ雨風を凌ぐだけの豆腐建築と呼ぶにふさわしい代物だったが、これを高床式の本格的な住居へと作り替えた。

木材を組み上げる作業には苦労したが、床が完成した瞬間の達成感は格別だった。


「地面から床を浮かせることで湿気を防ぎ、害虫や蛇の侵入を物理的に遮断することが出来ます」


「なるほど、だから昔の人たちは高床式住居ってのにしてたのか」


教科書で名前だけは知っていたが、その理由を実感する日が来るとは思わなかった。


さらに、錬金で草から繊維を取り出し、それを編んで糸や縄を作ることに成功した。蔦を使っていた時とは比べ物にならない強度が、拠点の安定性を支えている。


「草から繊維って取れるんだな。糸があれば破れた服の補修も出来るな」


「本来、草から繊維を取り出すには相当の時間がかかりますが錬金すれば時間短縮になります」


「ほんと、錬金って便利だな」


新しく作り直した屋根は、木の骨組みに枝や蔓を編んだ下地を通し、その上に厚めに干し草を敷き詰めた。さらに繊維で編み上げた丈夫なマットをかぶせて、仕上げに獣の脂を薄く塗り広げることで雨をはじくようにした。


「これなら、突然雨が降ってきても室内を濡らす心配はないな」


拠点の外の防犯用の柵も強化した。先端を尖らせた木の杭を隙間なく打ち込み、一定間隔で貝殻を吊るした鳴子を設置。


「柵の周囲には野生のハーブを移植しましょう。ハーブの強い香りは天然の防虫剤として機能し、害虫を遠ざけてくれます」


畑の開墾も始めた。森で見つけた野生の豆やイモ類、鑑定スキルを使って見つけた生育が早い野草を移植する。アリーナの助言に従い、こまめに雑草を抜き周囲の土を肥やすことで、自家菜園としての体裁が整いつつあった。収穫が待ち遠しい。


獣の狩猟も本格化した。主なターゲットをウサギから変更し、イノシシや、シカにすることにした。とはいえ、正面から戦う無謀な真似はしない。繊維の縄と深い落とし穴を組み合わせた罠で安全に仕留める。


手に入った獣の皮は、なめして厚手の手袋や脛当てなどの防具に加工した。傷薬などないので小さなケガにも気をつけなければならない。


拠点の内部も一新した。土間を設けキッチンスペースを構築。かまどには煙を効率よく逃がすための煙突も作る。以前のように煙で目を涙目にすることなく、室内でゆったりと火を扱えるようになった。


一日の終わりに拠点の入り口に作られた椅子に腰を下ろす。


南側の跳ね上げ式の窓からは夕日に染まる海が、かつての日本の風景とは全く違う青さで広がっている。室内にはふかふかの干し草に毛皮を敷いたベッドが鎮座している。


「最初はどうなるかと思ったけど、無人島暮らしも悪くないな」


気づけばレベルは7に上がっていた。MPは22。

そして素材ツリーによって新たに解放した素材は、『砂』『炭』『骨』『皮』『糸』だった。

あと一つ解放できるが予備のため空けておく。


APを使用して錬金釜に取り付けた新しい注ぎ口から、熱々のハーブティーをゆっくりと木のカップに注いだ。ハーブティーの消費MPは2。


「お、こりゃ便利だな」


注ぎ口のおかげでこぼさずに注ぐことができた。

口をつけると、ふんわりと広がるハーブの香りと温かさが一日の疲れを溶かしていく。


夕飯はどうしようか。昨日の夕食はジビエと野草の煮込み。最近はこの料理か魚のスープばかりだ。味は悪くない。むしろ塩とハーブだけのシンプルな味付けでも、驚くほど美味い。

でも、さすがに毎日だと飽きてくる。

焼き肉とか焼き魚とか食べたい。串焼きは出来ないこともないが、火加減が難しく、焦がしてしまうこともある。


「やっぱフライパン欲しいな」


「フライパンですね。『土』から錬金可能です、マスター」


「粘土ってことか」


かまどの横には錬金で作った土鍋が一つ置かれている。あれを作ったときのことを思い出し、思わず顔をしかめた。


「土鍋作る時、土めちゃくちゃ使ったんだよな」


この錬金のルール的には土そのものを粘土に変換するのではなく、土の中の粘土成分を抽出するらしい。そのため、土鍋一つ作るだけでかなりの量の土を消費したのだ。


「皿とか揃えようと思ったら、どれだけ土掘るんだよって話になるしな」


食器に関しては木材から錬金できるから問題ない。しかし、調理器具は木で作るわけにはいかない。それに長期間の食料の保存を考えると土器も必要になってくる。


「拠点の周りの土を無計画に掘るわけにもいかないよな。落とし穴を作りまくるか?」


「河川周辺では細かい土砂が堆積します。その中に粘土層が存在する可能性があります」


「河川?」


「森の奥の山腹に小川のような光が確認できます」


「つまり、川を見つければフライパンを作れるかもしれないってことか」


「はい。粘土層以外にも砂鉄や鉱石が見つかる可能性もあります。また、水辺は生物も多いです。魚類、小型動物、水生植物など多くの資源が期待できます」


「なるほどな」


木のコップを置き、ゆっくりと立ち上がった。


「よし、明日はフライパン作りに向けてとりあえず川を目指すか」


「はい、マスター。私も全力をあげてサポートします」


夕暮れの草原に、冒険心とほんの少しの期待が混ざった空気が漂う。まだ踏み込んだことのない、島の森の奥へ向かって。


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