↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/74

第68話 それは偽りか真か

「……ああ、でも、そうですね。貴女を利用としたのは事実で、貴女を殺したいと思ったのも間違いなくて、貴女を愛しているのも本当です。だからこそ私はルーク殿のように、貴女を純粋に想えなかった」

「るーくさみゃ(ま)? あの方も私にこーい(好意)を寄せてにゃ(な)いですよ~。だって、未来で私をしょーけいだい(処刑台)に送るんですからぁ~」

「それも夢で?」

「そんにゃ(な)感じです~」

「…………」

「なのでぇ、私は誰にも……ううん。レオンハリュト(レオンハルト)に殺されないように、逃げますぅ」


 天才的な閃(ひらめ)きだった。なぜ今まで考えが及ばなかったのだろう。二人とも死なないで済む方法。


「え?」

「逃げます。えへへ」

「お嬢様。逃げるとは? 私の殺意に気づいていたなら、ロロかナナシに相談すれば……」

「そしたら貴方が死んでしまうでしょう。レオンハリュト(レオンハルト)が死ぬのは嫌。でも私も死にたくないのぉ」

「は、はあ……」

「捕まらないよーに、傍から離れて、いっぱい逃げるの。ずっとぉ!」


 戦略的撤退《せんりゃくてきてったい》。なぜ思いつかなかったのだろう。ありとあらゆる魔導具と魔法を駆使(くし)して逃げ切る。

 生誕祭が終わったら、旅を考えていたのでちょうどいい。なんて言い考えなのだろう。なぜ今まで気づかなったのか。


「お嬢様と、ずっと離れ離れに……?」


 一気に血の気が引くレオンハルトだったが、私はそれも演技だと思った。つくづく役者だと感心してしまう。深刻そうな顔も、震える唇も、全部偽物だってわかってる。傷ついたように見えるのは、私がそうであって欲しいと願っているから。


「そうにゃ(な)の。会話もしないで、すたこらサッサするのぉ! こんなに近くにいることもぉ、笑いあうこともないけどぉ、これなら誰も死なないもの」


 会話をしてしまったら、逃げられない気がして。

 また柔和(にゅうわ)な笑みに騙されてしまう。熱のこもった視線で勘違いしてしまう。もしかしたら、演技じゃなかった部分もあるのではないか、と希望を抱いてしまうから。


「お嬢様、そんなのは嫌です。……そんな日常など耐えられません」


 なぜレオンハルトが駄々をこねるのかわからない。殺したいくせに。

 私を利用しただけのくせに。私はだんだんムカムカしてきた。いい気分が台無しだ。


「だって、レオンハリュト(レオンハルト)は私を殺したいのでしょう?」

「そんなことより、貴女と一緒に居られない方がよっぽど辛いです! どんな拷問(ごうもん)よりも耐えられない」

「じゃあ、私のことぉ、殺さない?」

「殺しません! 貴女だけは失いたくない。貴女はキャベンディッシュ家の呪いが見えない。だから、アイシャ。貴女だけは復讐の対象外です」


 そんな訳無いのに。私は間違いなくキャベンディッシュ家の血を引いている。嘘をつくならもっと上手な嘘をついて欲しい。


「嘘つき……」

「アイシャ……」


 でも本当なら──私はこの家の子じゃないの?

 そう思って私は重たくなった瞼(まぶた)を閉じる。急な眠気。なんでこのタイミングで眠くなるのだろう。


(ああ……駄目だわ。本当に意識が保てな……い)

「アイシャ……!?」

(ああ。こういう時だけ……名前をよぶ……なんて、本当に……ずるいわ)


 これもまた予知夢の一つなのだろうか。思考がまとまらなかった。

 ただ一つ。耳に残った言葉が私の心に響いた。


「名前、はじめて……呼んでくれた……」


 たったそれだけの事が嬉しくて。

 残酷な夢だと私は改めて思う。次に目が覚めたら私はまた深夜なのだろうか。

 生誕祭の一週間前まで、ずっと続くのかと思うと気が滅入る。

 耳元で「愛しています」と言った言葉は、やっぱり悲しくて私は頬から涙が零れ落ちた。


 ***


 次に目を覚ましたのは、お日様が真上に来る頃だっただろうか。

 夜中に起きることはなく、熟睡(じゅくすい)だったようだ。心なしか気分もすっきりしている。ただ──なぜか目が腫れているし、赤い。昨日泣いたのだろうか。

 昨日の記憶を振り返ろうとするが、頭に靄(もや)が掛かって全く思い出せない。


「んー。頭が痛い……」

「お嬢様!」


\コミカライズ連載中/

『やり直し悪役女王は溺愛に惑う

〜婚約破棄したいのに、王子の愛が止まりません〜』

#此林ミサ ・ #あさぎかな

19話まで配信中

#ggirls #めちゃコミ


『サレ令嬢とサレ王子の華麗なる復讐劇』

#スドウショウ #あさぎかな

「Colorful! vol.124」コミカライズ連載を開始しました⸜(●˙꒳˙●)⸝

各配信サイトでも配信予定です!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

(↓書籍詳細は著者Webサイトをご覧ください↓)

https://potofu.me/asagikana123

html>

平凡な令嬢ですが、旦那様は溺愛です!?~地味なんて言わせません!~アンソロジーコミック
「婚約破棄したので、もう毎日卵かけご飯は食べられませんよ?」 漫画:鈴よひ 原作:あさぎかな

(書籍詳細は著者Webサイトをご覧ください)

html>

【単行本】コミカライズ決定【第一部】死に戻り聖女様は、悪役令嬢にはなりません! 〜死亡フラグを折るたびに溺愛されてます〜
エブリスタ(漫画:ハルキィ 様)

(↓書籍詳細は著者Webサイトをご覧ください↓)

https://potofu.me/asagikana123

html>

訳あり令嬢でしたが、溺愛されて今では幸せです アンソロジーコミック 7巻 (ZERO-SUMコミックス) コミック – 2024/10/31
「初めまして旦那様。約束通り離縁してください ~溺愛してくる儚げイケメン将軍の妻なんて無理です~」 漫画:九十九万里 原作:あさぎかな

(書籍詳細は著者Webサイトをご覧ください)

html>

コミカライズ決定【第一部】死に戻り聖女様は、悪役令嬢にはなりません! 〜死亡フラグを折るたびに溺愛されてます〜
エブリスタ(漫画:ハルキィ 様)

(書籍詳細は著者Webサイトをご覧ください)

html>

攫われ姫は、拗らせ騎士の偏愛に悩む
アマゾナイトノベルズ(イラスト:孫之手ランプ様)

(書籍詳細は著者Webサイトをご覧ください)

html>

『バッドエンド確定したけど悪役令嬢はオネエ系魔王に愛されながら悠々自適を満喫します』
エンジェライト文庫(イラスト:史歩先生様)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。