38.モールス信号?
食材がある……?
どう言う事だ……?
「サクさん……。もしかして、サトウキビとかテンサイなんかもあるのか?ニンニク、ネギ類はどう?」
「ああ、有るぞ……。全部、雑草だろ?」
「はいっ?」
「えっ!違うのか?」
「違いますね……。全部、食材です……。」
「そうか……、師匠の言う事は、間違いだったのか……。」
「その師匠って、教国の人では無いですか?」
「良く分かったな、その通りだ……。」
「「「………………。」」」
食事にも、教国の間違った教えが浸透している……、間違いなく、教国の人間と係わらない方が良いな。
「ふぅ~……。教国は、信用しない方が良いですよ、自分達の都合の良いような事しか教えませんから……。」
「分かった……。2代目美食勇者のレシピを信じよう……。」
「だから……、勇者じゃないですって。」
「あっははは~。そうだったな、正臣くん。」
「ワイバーンの方も、チキンで代用できますし……。て、言うか、ワイバーンが代用なんですけどね。」
「そうなのか……。それだと助かるな~。」
「チキン入手したら、増やしますので、肉は簡単に卸せる様になると思います。……それと油なんですが、こっちも見つけたら、生産体制整えたいと思います。それまでは、唐揚げはお預けですね……。」
「残念だが、仕方ないな……。」
「他にも、色々と出来そうなんで、期待してください……。」
「期待してるよ、正臣くん。」
その後、美食亭で、食事をする事となり、唐揚げカレースパゲティーと言う、一人白金貨数枚分の料理を堪能する事になった。
皆が、絶賛して食事をする中、さっきの疑問が頭をよぎる……。
まさかな……。
そんな感じに夕食を終え、屋敷に帰ってきた。
着いて早々、地下に行き、母さんを問いただす……。
「なあ母さん、王国内に色々と食材、持ち込まなかったか?」
「ええ、持ち込んだけど、何か見つけた?」
「いや、鶏、オリーブ、サトウキビ、テンサイ、ニンニク、ネギ等、有るみたいな事を聞いただけだが、食材として認知されていない。」
「やっぱり、そうなっていたのね……。変だと思ったわ……。」
「やっぱりって事は、それらは母さんが、持ち込んだ物なのか?」
「そうよ、食生活を改善したくてね……。だけど、ダメだったみたいね……。」
「でも助かったよ。建国したら、簡単に変えれそうだし。」
「まあ王国じゃ、無理だったみたいだし、丁度良かったかしら……。食の都を作れるわ、完全登録制のね……。」
「食の都はともかく、安心安全な食事は提供したいな……。」
「そうなのね、その頃には、肉体も出来るだろうし、楽しみにしないとね。」
「そうだな……。それと、明日ダンジョン潜ってくるけど、当然付いてくるんだろ……?」
「そのつもりだけど、問題ある?」
「攻略、終わったら王都で、用事があるんだけど、そっちはどうする?」
「何する気なの?」
「第2王女の確保と、暗殺者ギルドの制圧……。」
「何、なに、そっちも面白そうじゃない!当然付いて行くわよ。」
「はぁ~、やっぱりか……。どっちも、内密に処理するつもりだから、騒ぎは起こすなよ……。親父はどうするんだ?」
「良いんじゃない、置いて行って……。部屋から出てこないわよ。」
「了解、明日はよろしく。」
その後、農機具、重機、住民登録の認識票等を作った……。
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次の日、会議堂に向かうと、彩香さん達と別れ、ダラスダンジョンへ向かった……。
31階層
「何か、1日ぶりだが、久々な気分だな……。」
「「今日中に攻略。」」
「そうだな……。他にもする事あるし……。サクッと終わらせるか。」
そう言うと、収納からゴーレムを出す。
昨日、母さんと話、地上での移動は、収納に入る事にして貰った。そして、なぜか親父もいる……。
「はぁ~、久々に体動かすか~。」
「正くん、ゴーレム体の確認するから、しばらく私達に倒させてね……。」
「まあ、それは構わないが……。何なら、二手に分かれるか?ボス部屋集合でどうだ?」
「効率考えると、その方が良いかしら。」
「お前らを一々待ってるのも面倒だし、ダンジョンマスターの管理部屋で待ってても良いぞ。」
「親父、それは攻略して、待っててやるって事か?」
「そうだが……。問題あるのか?」
「無いな……。だけど、親父はともかく、母さんの戦闘は見てみたい……。」
「「全身、ロマン武器!」」
「何だよ……。俺だって凄いんだぞ……。」
「自分で言うなよ……。こっちが悲しくなって来るだろ……。」
「まあ、31階層からはクロムゴーレムなんでしょ。35階層のボス部屋までは、戦闘確認しながらゆっくり行くから、ボス部屋で待ってて頂戴。」
「それじゃ、35階層で待ってるよ。」
そうして、二手に分かれ攻略となった……。
クロムゴーレムも素材としては、良質だと思い、母さん達にも素材確保をお願いした。
俺達は、見つけたクロムゴーレムを狩りながら、下へ下へと向かっていった。
35階層、ボス部屋手前。
「よう、遅かったな……。」
「待ってたわよ……。」
「早かったな……。」
「お前らが遅かったんだよ……。」
「「にぃ、父さん腹立つ!」」
「いつもの事だろ……。」
「ごっ、ごめんよ~!琴音、鈴音~、お前達に言ったんじゃないから……。機嫌直してくれ~。」
「謝るくらいなら、最初から言わなきゃいいでしょ、あなた!」
「まあ、母さん。親父は引きこもりのコミュ障だから……。」
「「そう、コミュ障。」」
「そうね……。一々、構ってられなかったわね。」
「「コミュ障ヒキニートストーカーの構ってちゃん!」」
「何か、最悪な奴みたいに聞こえるけど?」
「「「「えっ?」」」」
「あなた……。気付いて無かったの?」
「えっ?」
「親父……、何も知らない鈍感系主人公じゃ無くて……、叡智の結晶の大賢者だろ?」
「もちろんだ!分かっていたさ……。あははは……。」
どんどん、笑い声のトーンが下がって行く。
「「「「うそだな……。」」」」
「ごめんなさい!俺がそんな最悪だとは、気付きもしませんでした……。」
そう言い、土下座してくる。
「あなたが、家族じゃ無かったら、誰も相手にしていないわよ……。」
うん、うん!と俺、琴音、鈴音は頷く。
「あなたは、正くん、琴音ちゃん、鈴音ちゃんの優しさに付け込んで、言いたい放題なんだからね。」
「そうでした、すいません……。」
「そうやって、すぐ頭を下げれば許して貰えると思ってるのも、優しさに付け込んでいる証拠よ……。」
「それじゃ、どうすれば……。」
「大賢者の肩書はどうしたのよ……。それすら分からないの?」
「分かりません?大賢者の肩書は返上します……。」
「返上すれば良いって物でも無いでしょ!あなたは、家長だったのよ!家族の長っ!分かるかしら、直しなさいと言ってるの。
日本でも、自分の趣味に没頭して、色んな所飛び廻っていたでしょ!私も人の事言えないけど……。
お金お稼いでいたのは、私!そして、家族をまとめていたのは、正くん!
あなたは何してたの?研究、何それ?何になるの?こっちに戻ってくる可能性なんて無かったのよ……。
それなのに、毎日毎日……。引き籠って……。あれが出来る、これが出来ただの……。
面倒くさいったら、ありゃしない……、生活に必要でも無い物を……、いい加減うんざりね!
こっちに来て、ゴーレムの身体で自由になってからも、同じ事してるし!何なのよ!一体何がしたいのよっ!
たまに、顔を出したと思ったら、腹の立つ事ばかり言って!
どれだけ注目、浴びたいのか……、本当っ!うざいっ!面倒くさい!
あなたなんて本当は、必要なかったのよ……。
だけど、家族だから一緒にいたの、分かるかしら、その偏った知識で……。」
「………………。」
これって、修羅場だよな……。日本だったら、緑色の紙突き付けている所だろうけど……。
「何とか言いなさいよっ、あなた!それと、今の家長は正くんだから、勘違いしないでよねっ!」
そのツンデレは違う……。
「………………。」
「まあ、母さん!無視して置けば済む事だし、良いんじゃ無いか?何なら、親父ゴーレムの声帯とか、取っ払ってくれても問題ないからさ。」
「そうね……。静かになるなら、その方が良いわね。」
「そんな~。家族だろ~。」
「だから、あなた!静かにしろって言ってるでしょ!あなたは、黙って隠居でもしてればいいのよ。話すから、うざいの!もう少し考えたら、今までのあなたの発言を……。気分を損ねる事しか、喋って無いわよ。だから王国貴族出身の人間は、面倒なのよ……。」
「「「はっ?」」」
「何だよ王国貴族って……。」
「言って無かったわね。ラクトは、ディーハルト家の出身よ、当時は男爵位だったかしら……。引きこもりの3男の研究で、王国に取り入ろうと、長男が躍起になってたけど……。」
「コハク~。今それは関係ないだろ~。それに実家なんて、どうでも良いし、俺は藤堂家に婿入りしたんだから……。」
「そうね、言い過ぎたわ。ただ、その貴族教育が、最悪なのよ……。最初に、私を口説こうとした時の言葉、今でも覚えてるわよ。何が、妾にしてやるよ!ふざけんじゃ無いわよ!」
「その事は、謝ったじゃないか……。」
「それが、また出て来てるのよ!地元に帰ってきて、威張ってるヤンキーかよ!東京で成功した~とか、言ってるのにそっくりじゃない!」
「あっ!それ、母さん上手いっ!」
「座布団いる?」
「お~い、山田く~ん!」
「「座布団1枚っ!」」
「母さん……。もう、いいよ!馬鹿は死ぬまで治らないって、言うじゃないか?立場も分かって無いしね。」
「そうね……。15年間、日本でアニメとマンガばかりで、知識は増えても、基礎教育の時点で、下等な事しか教えられていないんじゃ、しょうが無いか……。ごめんなさいね、あなた。理解が追いつかない事ばかり言って……。」
「分かればいいんだよ、コハク……。」
「ぶちっ!」
自分で言ったっ!
「ふざけんじゃ無いって、言ってるでしょ!もういいわ!ちょっと来て、あなた!」
母さんが親父を呼び、声帯を弄った。
「ピッピ~ピッ ピ~ピッピ~ピッ ピ~ピ~ピ~ピッピ~ ピ~ピッピ~ピ~ピッ 。」
親父のゴーレムから、ビープ音しか聞こえない……。
「これでも、うるさいわね。音量も下げれるようにするわ。」
そうすると、母さんが親父のゴーレムに、音量のつまみも付けた……。25dB位だろうか、ほのかに聞こえるぐらいになった。
「これで良いわね……。意思を伝えたいときは、モールス信号で伝えてね。それ以外は受け付けないわ。」
「ピ~ピッ ピ~ピ~ピ~ピッピ~ ピ~ピッピ~ピ~ ピッピ~ピッピ~ピ~。」
「何だよ親父、助けてって……。あっ!あまり長過ぎると書き出さないと分からないから、考えて話せよ。」
実際は言語互換しているから、何を言っているか分かるんだが……。
モールス信号って、言語だったんだなと思いつつ、親父に念を押して置く。
「にぃ、手話でも行ける。」
「にぃ、筆談オッケ~?」
「そうだな、雑音も出ないし、良いんじゃないか。」
「それじゃ、静かになったし、ボス戦でもしましょうか。」
後で、ピッピ、ピッピ聞こえるが無視して、35階層ボス部屋に向かう。
中央まで進むと出て来たのは、クロムゴーレム5体……。
1体、色の違うゴーレムが居るが、怪しいので分析を掛けるが……。他のゴーレム同様、クロムゴーレムとしか出てこない。
「母さん、色違いが怪しいんだが……。」
「そうね……?私も良く分からないわね……。後で、彩ちゃんにでも、分析して貰うと良いわ。分析は知識レベルに作用するから、化学知識が無いと分からないのもあるわ……。」
「そうなんだ、分かった……。毒とかあると面倒だから、母さん頼むよ。」
「任されたわ……。見てなさい、萌えるわよ。」
そう言って、母さんが前に一歩踏み出す。
「「にぃ。」」
「ああっ、今回は見学だ。」
まずは、収納から一本の剣を出す。150cmの身体にはあまりにも大きく、某狩猟ゲームの大剣にも見える。
「「おお、大剣だ。」」
「多分それだけじゃ無いだろ……。」
そして、某勇者王シリーズの構えを取る。
「シャキィ~ン!高周波ブレードα(アルファ)!」
うわ~、また自分で擬音言ってるし……、振動系の装備か……。
「「にぃ、萌える!」」
「まだ何かありそうだが……。」
そうしている中に、母さんが滑る様に移動して行く。
「何じゃ、その移動方法は!」
「ええ~っと!それじゃ……、スライドドリフトで……。」
「今、決めたのかよ!」
「「にぃ、母さんだから……。」」
そんなこんなで、接敵した母さんは、高周波ブレードαをクロムゴーレムに横薙ぎして行く。
驚くことに、足裏からアンカーボルトが突出し、直進の勢いの付いた身体を急に円運動に変える。
それにより、横薙ぎの勢いと体幹の勢いの相乗効果で、剣先が音速を超えた。
ぱんっ!!
甲高い音と共に、クロムゴーレムが真っ二つになっていた。
「何だよ、その戦い方……。」
「まだよ!高周波ブレードβ(ベータ)!」
母さんが、そう叫ぶと大剣が、二つに割れ、双剣へと変わった……。
「「にぃ!凄い多機能武器だ!」」
「多分、まだ有る筈だ!」
そう、大剣が双剣!これだと、よくある設定だ……。まだ有る筈……。
母さんは、さっきと同じようにスライド移動し、接敵して独楽のように回転、クロムゴーレムを切り刻んでいく。
「まだまだ、高周波ブレードγ(ガンマ)!」
今度は、さらに刃が半分薄くなり4枚の刃となった。それが柄頭を中心、大きなクロスに変貌を遂げた。
「「にぃ、十字手裏剣に変わった。」」
「多分、あれは手裏剣じゃ無く、ブーメランだな。」
そして、クロムゴーレムに高周波ブレードγ(ガンマ)を投げつけた。
高周波ブレードγ(ガンマ)は回転しながら、クロムゴーレムを真っ二つにすると、ブーメラン曲線を描き、母さんの手元まで戻って来た。
「高周波ブレードδ(デルタ)!」
すると、柄の部分が一つになり、4枚の花弁の様になる。
「「何……?」」
「俺も分からん?」
すると、接敵した母さんがクロムゴーレムを蹴り上げた……。
そして落ちて来る、クロムゴーレムに向けて、高周波ブレードδ(デルタ)を突き出す、そのまま落ちて来ても、???なのだが……。
突如、柄を中心に、刃が回転し始める。
「ミキサー大帝?」
「パワー分離機!」
「物理的な分離……、ミンチにはなるだろうが?パワーは分離しないだろ……。」
クロムゴーレムは、無残にも、ミンチとなって飛び散った。
これは、いまいちだったみたいだ……、母さんも首をかしげている。
そして、高周波ブレードδ(デルタ)をα(アルファ)に戻した。
「高周波ブレードε(イプシロン)!」
「「「???」」」
形状はαと変わらない……。
高周波ブレードの刃の色が、オレンジ色に変わって行った。
「「あっ!ヒートホーク。」」
「あ~。そう言う事か……。」
高周波をさらに強め、熱を持たせたんだろう……。だが、結構しょぼい……。
最後の色付きクロムゴーレムに向かい、切りつけると呆気なく終了した。
「う~ん……。要改善ね……。」
「途中までは、良かったんだけどな……。攻撃力も申し分ないし……。」
「「「「だが、しょぼい!」」」」
「ネタけっこう出したから、新しいのってなると難しいのよね……。」
「う~ん……。刃を羽根に見立てて突貫とかは?」
「悪くないけど……。背中に付けるでしょ、そうすると、殴り倒した方が早いのよね……。」
「刃を斜めにドリル!」
「それも結界でしちゃてるしね……。」
「踊る、刃!」
「それは面白そうだけど……。弄ぶような戦い方が趣味じゃないのよ……。連撃なら、こうズバッ!って感じが良いかな。」
「何だろう?近接しかない様なんだが……?」
「遠距離は魔術があるでしょ?」
「それはそうなんだが……。昨日の、ワイバーン戦でも困って……。」
「ああ~そう言う事。素材の採取も同時にしたいのね。」
「そうなんだよ……。ゴーレムならいくら壊しても、素材は作れるけど、肉となるとな……。」
「そうね……。ワイヤー付きの爪とかどう?」
「インコムの爪バージョン的な奴か……。悪くないって言うか、欲しい……。」
「分かったわ。それだと私も欲しいから、適当に作ってみるわ。」
「「私達の分も!」」
「分かってるわよ。」
「ピッピ~ピッピッピッ ピ~ピ~ピ~ ピ~ピッピッピ~ピッ。」
「あなた、まだいたの?」
「親父も、欲しいってよ、爪。」
「分かったわよ……。でも、ここ攻略してからよ……。」
そして、ダンジョン攻略を再開する……。
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