39.最下層?
母さんの、いまいちな武装披露が終わり、36階層の攻略に入る。
「なあ、もしかして、ダンジョンマスター、母さんの魔力とか検知してないか?」
「そうかも、知れないわね……。」
36階層を降りたところで、俺達の魔力検知に、大量のゴーレムが引っ掛かった。
「問題は、この階層から出現する、ゴーレムの種類だよな……。」
「41階層から、オリハルコン……。」
「ここの階層、情報無い……。」
「戦闘に、支障はないでしょ?」
「そうじゃないんだ……。必要素材か?って事……。」
「前に、コボルトの氾濫だった……。」
「生ゴミにしか生らない……。」
「出会ってからの、お楽しみで良いんじゃない……。」
「出来れば、オリハルコンだと良いな。」
そんな感じで、ゴーレムに向かう。
見つけた……。
「クオーツゴーレム?」
「水晶……?」
「クリスタル?」
「「ジョブチェンジ出来る?」」
「出来ないと思うぞ……。どちらかと言うと、水晶振動子に近いか?力加えると電気発生する感じ……?」
「おお~プリズマン!」
「違うっ!」
「ライブクリスタル?」
「それも違う!モース高度7だか8の水晶ゴーレム!」
「「そうなの?サイコガン効く?」」
「効くんじゃないか……?」
「「私達持ってない……。」」
「だろうな……。」
「ねぇ、正くん。早く殺らないの……。鉱石って大抵劈開性って性質、持ってるから叩けば割れるわよ。」
「「「へぇ~。」」」
そして、狭い通路にひしめき合っている、クオーツゴーレムに向かう。
楽勝な攻略法を、教えてもらい、俺達の得意分野、撲殺!を行使する。
大半の冒険者は、剣、槍、ナイフで武装している為、この階層は脅威になるだろう……。
刺突や斬撃の武器だと、余程の技術が無いと破壊不可かもしれない。
でもクロムゴーレムの時点で、高難易度の様な気もする。
クオーツゴーレムは、叩くことにより、全身が崩れ去る……。
俺達にとって、今までで一番楽なんじゃないか?
通路は、4人並ぶと、6尺棒が振り回せなくなってしまうため、後ろで俺が水晶の回収をする事にした。
前に作って置いた、吸引機(掃除機)で吸い上げた物を、直接アイテムポーチもしくは収納に、入れる事が出来る様にした為、ただ掃除している様にしか見えない。
琴音、鈴音が六尺棒、母さんが素手で、叩いて回る、俺が後ろで掃除をしてる……。
この絵面は可笑しいだろ……。
親父は、さらに後ろで拗ねている……。
そういや宝石を、掃除機で吸う怪盗の気分って、こんなんだろうか?
などと、気の抜けた事を考えながら、掃除して行く……。
36階層も、そんなに時間が掛からずに、掃除を終えることが出来た。
やっぱり、人数が増えると楽だ、さらに、攻略が簡単な敵……。
「にぃ、宝石商になる。」
「ウハウハだよ。」
「そこいら辺は、王国潰してから考えて、良いんじゃないか?それでなくても、収納の中身がヤバイ事なってるんだから。下手したら、国買えると思うぞ……。でも、所詮石英だからな……。う~ん……。」
そう、石英その辺に転がっている物と同じなんだよな~。
そして37階層に向かう……。
37階層も同じく、大量のクオーツゴーレム。
問題なく、掃除する。
38、39階層も同じだった……。
「こんなに水晶、要らないな……。」
「ボス倒すと、オリハルコン。」
「ボスも水晶?」
「どうだろう、このままだと、水晶と何かじゃないか?」
そして、40階層の掃除をしながら、ボス部屋に着く……。
「ああ~、色違いだな。」
「にぃ、ダイヤモンドいるよ。」
「トパーズ、サファイヤ、アメジスト、ルビー、他もいる。」
「ジュエルゴーレムの氾濫ね……。」
「こんなに宝石出て来て、このダンジョン大丈夫なのか?」
「もう駄目なんじゃない?これだけ出すと、魔素の減りも激しいでしょうし……。」
そう、このボス部屋には、百数体の宝石ゴーレム達が、俺達の到着を待ち構えていた。
そして、攻略法が確立済みの、上位ゴーレム、ここのダンジョンマスターが、ただの馬鹿と言う事が確定した瞬間だった。
俺達は、同じようにジュエルゴーレムを割って行く、それを掃除して行くと言った具合に、ボス部屋の掃除を始め、ものの数十分で終了する事となる。
「何か呆気なかったな……。」
「そうね……。鉱石じゃ無く、金属だったら、もう少し手間だったんでしょうけど……。」
そう言い、41階層へ向かった。
ウィル情報によると、ここからオリハルコンとなる……。
魔力検知に、ゴーレムが引っ掛からない……。
「変だな……?」
「ゴーレムいない?」
「ダンジョンポイント不足?」
「強ち間違っていないんじゃないかしら……。」
「そうすると、オリハルコン素材は取れないか……。ちょっと残念だけど先に進むか。」
そう言い、先を急ぐ事にした。
41、42、43、44階層は、ゴーレムが出て来ることも無く……、45階層ボス部屋に到着した。
「こんな事だと思ったよ……。」
「ダンジョンマスター、馬鹿?」
「単純過ぎ……。」
「前の時と、考え方が同じね……。」
そう、ボス部屋に、全てのオリハルコンゴーレムを終結させていた……。
数にして、200行かない位だ……。
そして、余りにもボス部屋に、詰め込み過ぎたオリハルコンゴーレムは、前の戦闘で見せた、素早さを失う事になっている……。
「あなた達、どう戦うか分かってるわね。」
「ああ、勢い付けて、数体、弾けばいいんだろ……。」
「まあ、その通りね。後は勝手に自爆するでしょうし、素材回収だけね。」
そう言うと、4人で、オリハルコンゴーレムに突撃した。
オリハルコンゴーレム達は、俺達に勢い良く、弾かれドミノ倒しのように、次々とぶつかり合い、激しく金属音を鳴らしている。
中には、バランスを取ろうとしているゴーレムもいたが、手を差し出した所にもゴーレムが居り、それがまた勢いを付ける。
俺達は、その様子を観察し、こっちに向かって、動いてきたゴーレムをまた弾いて、集団内に放り込む作業を繰り返した……。
3分位した所で、立ち上がっているオリハルコンゴーレムは数体しか居らず、それも、部位破損などで動きに支障が出ているゴーレムだけで、後に残ったのは、オリハルコンの残骸が混沌とした状況だけだった。
動いているゴーレムを無効化し、素材回収を行なう……。
回収した素材の中に、ヒヒロイカネも数体あったが、まともな戦闘すら行なっていない。
「どんどん、敵が弱くなっているのは気のせいか?」
「にぃ、違う……。」
「頭が弱くなってるの、間違い。」
「そうね……。素材強度と魔力は上がっているけど、使い方間違ってるわね……。」
「こっちとしては、攻略が簡単になってるから問題ないけど……。もしかして、ダンジョンマスター焦ってる?」
「多分ね……。」
「それじゃ、ちゃっちゃと攻略するか。」
その後、素材回収し終えた俺達は、46階層へ足を運んだ。
46階層に出て来たのは、賢者の石で出来た赤いゴーレムだった、そう辰砂ゴーレム!
俺達は素材を回収、分析すると、賢者の石:叡智万能の石と出た。
意味が分からん……。
異世界人から見ると、ただの硫化水銀の筈だが?
「となると、50階層のボスは、水銀になるかな……?」
「あり得るわね、常温での液体金属、ターミネーター2ね!」
「「ダダン、ダッダッダン、ダダン、ダッダッダン!」」
「液体金属だけど、形状記憶とか変装は無理だろうから楽勝だぞ……。」
「液体窒素で凍らせないの……。」
「溶鉱炉準備は……。」
「そんな大掛かりな物無いし、吸引機で吸って、ドラム缶保存で終わり……。」
「「それだけ?」」
「それだけだ……。」
「「感動のラストシーンは?」」
「ない!」
「「サムズアップ……。」」
「しない!」
「そんな言い方ないでしょ、正くん。吸引機で吸われながら、するかもしれないでしょ……。」
「母さん、本気でそう思ってる……。」
「乗りが良ければ……。」
「ここのダンジョンマスターって、乗りが良いのか?」
「絶望を突き付けないでよ……。」
「そうだよな……。ダンジョン攻略されて、泣きながら懇願する奴が、空気読めるとは、とても思えないよな……。それと、今回に至っては、彩香さんを殺そうとした奴って事だし、俺は遠慮なく殺らせて貰うからな。」
「そうだったわね……。琴音ちゃんも鈴音ちゃんも、遠慮しなくていいからね……。」
「「了解、彩ねぇの敵!」」
そうして、ダンジョン最下層へ向け気合を入れ直した。
47、48、49階層は、相変わらず辰砂ゴーレムが出て来た。
45階層の様な事は、止めたらしい……。
50階層、ボス部屋までに、数体の辰砂ゴーレムが出て来たが、問題なく片付けた。
ボス部屋、中は大量の水銀の液体で埋まっていた……。
ゴーレムメルクリウス……、何か中二病を触発しそうな名前になっている。確か、マーキュリーとかヘルメスとかと、同じ神様の名前の筈だが……。
俺達にしてみれば、水銀でしかない……。
「これって、俺達だと、手が出しづらいな……。」
「私がやってあげるから、吸引機貸して……。」
そう言われ、母さんに吸引機とドラム缶を渡す、そう母さんはゴーレムボディの為、水銀の毒素を受け付けない。
「それじゃ、いっちょやりますか。」
この吸引機は、母さんと俺の合作、超強力なのだ。
先端には、魔石の分別も行える装置を、取り付けている為、向かって来た水銀を、吸い取るだけとなる。
途中、針のように、形状を変化させ襲ってきたり、物量で覆い被さろうとしてきたりしたが、全て無駄に終わり、吸引機に吸われる。
大量の水銀を吸い上げ、直ぐにドラム缶が一杯になり、母さんが次のドラム缶を要求する。
一応の為であったが、ドラム缶も200L、100缶程準備していた。
足りなくなったら、アイテムポーチ、1つ潰そう……。
ドラム缶、5缶分詰め終ると、場所が空いたので、缶の蓋を閉め浄化後、収納する。
そして新しいドラム缶を母さんに預ける……。
それを繰り返し、80回……。凡そ16000リットルの水銀を収納した。
約216トン、収納が無ければ、どうしようもない重さになっている……。
残りは、今まで出て来たゴーレム一体分位、ドラム缶4つあれば足りそうだ……。
母さんが残りの水銀を吸い上げると、中からとんでもない大きさの魔石が出て来た。
大きさにして、直径1.5m位有りそうだ……。
すかさず、魔石と水銀を分離し、魔石に浄化を掛け、収納に入れる。
すると残った水銀は、魔力の供給源を失ったのか、力なく崩れた……。
残りの水銀を、ドラム缶に確保し、50階層のボス討伐が終わる……。
「母さんが、いてくれて助かったよ。」
「「母さん、グッジョブ!」」
ここで、琴音、鈴音が、親指を立ててサムズアップする……。
さっきの事を気にしていた様だ……。
母さんも、琴音、鈴音に向けて、親指を立てて返す……。
「当然よ!」
「さて残りは、マスタールームだけだから、早く終わらせようぜ……。」
そう言って、51階層を目指す。
51階層に行くと、ゴーレムが出る気配が無く、直線の通路の奥に部屋らしき扉が見えるだけだった。
「あそこがマスタールームか?」
「そうね、150年前と変わらないわ。」
「それじゃ、居るのかな?」
「とりあえず、行ってみましょうか……。」
見たところ、ただの通路だが……。
「ちょっと、怪しくないか?」
「そうね……、何も無さ過ぎるかしら……。」
俺達は、クレイゴーレムを作り先行させる……。
クレイゴーレムが扉に手を掛けた瞬間、足元が青白い光を放った……。
転移魔法陣が、発動したのである。
クレイゴーレムは、強引に扉を開け、姿が消える事となった……。
「はっ~はは~、馬鹿め、見たか侵入者共!」
部屋の中から、20代後半と思われる容姿をした青年が、笑いながら顔を出し、俺達と鉢合わせる事となった……。
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