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アディマライド~英雄のツヅキ~  作者: 多神 久郎
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第十四話 銀色の騎士

「フン、たかだが一撃当てたくらいで良い気になるな」


「そういえば貴様の名を聞いてなかったな」


「フゥ、これは失礼した。私とした事が名乗りを忘れるとは。

君たちの雰囲気に流されてしまったようだ。我が名はそうさな……。

フム。ヴラッド、ヴラッドが良かろう。

この皮の元の主の名前をもじったものだよ。良い響きだ良い旋律だ」


 歌うようにヴラッドはゆっくりと立ち上がると、

指揮者のように手を動かし始める。

だが多分元の人も知らないようで、

途中で無茶苦茶になり止めた。


「ハハッ仕方が無い。君たちは不味そうだが良かろう。

私の新生を祝う食事の前菜として喰ろうてやろう」


「ぬかせ!」


「待てコウ。御前は暫くここで見ていろ」


「え!?」


「良いから」


 突っ込もうとした僕を腕で制して、

悟空さんはゆっくりとヴラッドに近付く。


「フフン。一人で何が出来るというのだ」


「何でも出来るさ」


 そう言うと悟空さんは腕を伸ばせば当たる距離まで近付いた。

それはヴラッドは余裕で踏める距離。

何であいつはあんなに余裕で居られるんだ? 

何か薄気味悪い感じがする。


「鳳凰翼打!」


 悟空さんはそう叫ぶとジャンプして肘でヴラッドの鳩尾を突いた。

背の高いヴラッドの腰ベルトに足を掛けて飛び上がり、

肘を今度は顎に当てる。

仰け反った顔に蹴りを入れると

ヴラッドはそのまままた地面に倒れこんだ。


「凄い……」


 僕はそれを見て感嘆の声を上げる。

自分を教えてくれていた少林寺の師父も鋭く綺麗な

技を打つ人だった。

鋭く綺麗な技の流れ、そして力強さ。

流石神様だ。

その技に曇り無しである。


「フハハ。なるほど、随分痛いな。

だが安心したまえ、そんなものでは私は倒せない」


「だろうな。別に御前を倒す事が今の目的ではないからな」


「ハハーン、そこの小僧に見せてやろうということだな? 

ならその間に私は邪魔な御前を排除しよう。その傲慢、呪うがよい!」


 ヴラッドは少し身を浮かすと、ワープしたように悟空さんの背後に回りこみ、

素早く踏みつける。

舞い上がる土埃、勝ち誇った顔のヴラッド。


だが当然


「やはりな。猿でもなく人でもなく、化け物としても半端もの。

所詮その程度の感覚しか持ち合わせていないようだ。足元さえ見えんのか」


 土埃が風に流され消えていくと、

ヴラッドの足元には悟空さんが涼しい顔で居た。


「何……!?」


 悟空さんはヴラッドが声を上げた時には既に

ヴラッドの右踵を蹴って浮かし、

次に左足を持ち上げていた。


「はい!」


 その時悟空さんが僕を見ていた。

あれは来いって事だと直感し直ぐに

飛び出して右足を掴む。


「行くぞぉっ!」


「はいぃいいいいいっ!」


 悟空さんの掛け声に答え僕たちは時計回りに回転し、

地面擦れ擦れで投げ捨てた。

地面を削りながら土埃を上げ滑っていく。


その時悟空さんの化け物としても半端ものというのが頭を過ぎる。

名前のから想像すれば、あいつはバンパイアだ。攻撃を受けなくても、

蝙蝠に化けて体を散らしたり霧に紛れて避けることすら可能なはずだ。

さっきのワープした様なものも、目一杯走ってそう見せただけで

悟空さんの目なら捉えられて当たり前なのだ。

そして悟空さんが僕を呼んだのは、それを解らせる為じゃないだろうか。


……何て言うか凄いとしか言えないなこれは。

いつかこの人を超えてボコボコにするという目標を

改めて思い、達成したいと思った。


「グゥ……お、おのれぇええええっ!」


「師父、ここからは僕が……」


 今度は僕が悟空さんを腕で制しそして静かに言う。


「アディマライド、オン!」


 僕の体から炎が湧き出て全身を覆った。

そして目以外の全身を黒いタイツみたいのに包む。

太股から足まで、腰周りに胸と肩、最後に肘から拳まで

部分部分を炎が包み、それが段々と形作って赤の下地に橙色で、

炎の揺らめきを表した模様の鎧になる。

最後に橙色を下地に黄色で細いラインが入った仮面をつけると、

両サイドには耳と米神を庇う様な炎の形をしたガード、

後頭部の方には赤く長い髪が飛び出てきた。

最後に目をガードする蛍光緑のガラスの様な物が閉まり、

全てが終わると両拳を当てあい脇を締めて拳を構える。


「ナ!?」


「ふん!」


 驚きながらも素早く立ち上がったヴラッドの鳩尾に、

ジャンプをして肘で一撃加える。

そしてその次は顎へ肘を居れ、

仰け反った顔目掛けて一回転して踵落しを決めた。


轟音と共に地面にめり込むヴラッド。

僕は後ろに居る悟空さんに拳を突き出す。

悟空さんもそれに合わせて拳を突き出してくれた。


僕は悟空さんが見せてくれたものを、忠実に再現する

だけでなく、少しアレンジして出してみた。


「フォオオオッ!」


 地面から吼えつつ飛び出てきて、

僕に殴りかかるヴラッド。

そしてそれはもう計算済みなのである。

振り返らず二、三歩右にずれて右腕を挨拶するように立てる。

その右腕をかすめて通り過ぎるヴラッドの腕を掴み、

彼の勢いをそのまま使って背負い投げをした。


「グァアアアッ!」


 叫びながら顔から地面へ突っ込むヴラッド。


「どうです? 悟空さんの宣言通り、あの汚い顔を地面に埋めてやりました」


「ははっ、これは良い心掛けだ」


 そうして笑い合う僕と悟空さん。

どうやら目標は完全に沈黙したようだ。

多分成り立てだからこそこんなにあっさりとやれたのだろう。

さて、そうなると大きい問題が残る。


「さてどうします? このままにしておくと、人が減り続けちゃいますが」


「そうだな。ここは我らが大いなる母に対処をお願いするかな」


「その必要は無い」


 後ろを振り返ると、そこには銀色の短髪に

切れ長の綺麗な瞳高い鼻の美形が居た。

多分あれは男だろうと思う。

僕と同じ位背が低いので少し親近感を持ったが、

次の瞬間言葉を失う。


「アディマライド、オン!」


 次の瞬間光に包まれそれが晴れた後には

銀色の刺々しい鎧に身を包んだ戦士が居た。

僕以外にも変身を、しかも同じ言葉で全く違う鎧に変わった!

一体何が起こっているか解らずにただ立ち尽くしていた。

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