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アディマライド~英雄のツヅキ~  作者: 多神 久郎
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第十話 閑話休題

「あいたたた……」

 昨日は土下座外交をさせられて、村人には覚えられた。

だが会う度に物を隠す仕草をされて悲しい……。

まぁ自分の仕出かした事だし当然の報いではあるが。


 引篭もりの悪い所は一つ良い事があると調子に乗って行き過ぎる事である。

以前にも別のゲームでパーティで狩をして超レアアイテムが出た。

五人でも割った所で物凄い金額である。

課金商品を幾ら売れば稼げるのか謎なくらいのMが手に入る代物。

そこで帰って清算するか引き続き定点狩をして

もう一つ狙いに行くの選択肢がでた。


 当時パーティリーダーの僕がした選択は一でも二でもなく、

何と選択肢にない第三の選択、更にレアを狙いに行くという高度精錬並に

泥沼に足を突っ込む事を選択した。

まぁ結果当然泥沼絆もボロボロ、ソロ生活の始まりという事になった。

その時心底団体行動は向いていないと思い、ゲームでも引篭もったのである。


 何ていうかこれゲームじゃないだろマジで。

何でNPCが自立行動してんだよ!

決まった範囲を動くか棒立ちが基本じゃねーの!? 

どこまで引篭もりに厳しいんだこのゲームは。


「おーい坊主!」


 しょぼくれて腐る僕に前方からがなり声が飛んできた。

顔を上げると、アイリの親父さんが手を振っていた。


「なんすか」


 声まで不貞腐れる僕を親父さんは気にしないで肩をバンバン叩きながら


「この逆境を何とかしたいとは思わないか?」


「特に」


「お・も・う・よ・な?」


「あ”い」


 そう言ってきた。

そして正直に特に挽回したいとも思わない僕の首を絞め、

半ば強引に賛成させた。

はっきり言ってこの手の事に良い思いをしたことは何一つ無い。

僕は地べたにへたり込むと、むせながらそう思った。


「なら人助けと行こうじゃないか!」


 親父さんは僕を腰に抱えながら海岸の反対側の、

山が見える方へと足を進める。

そして指を刺して


「あそこにある山にはこの街の皆が春になると

山菜や薬草を取りにいってたんだが、デカイ猿が

住み着いていてな。そいつが道を塞いでいて通れなくて難儀している」


 そう言った。

なるほどね、そう言う事か。

寧ろ人間同士での問題解決など出来ないから

チートの力を借りて解決ってわけね。

まぁ元々人間性で魅了するものなんて

一つもないけどさ。

僕は卑下するように鼻で笑って地面を見つめていると、

また胸倉を掴まれて放り投げられた。


「別に俺には関係ないから構わんが、

そうやっていじけて塞ぎこんで何の意味がある? 

そんなことしたって誰も御前を慰めたりしてやらないからな。

人の優しさを求めているくせに自分から優しさを与えもしない。

……兎に角だ。そんな腐ってる御前何かアイリも見

たくないだろうから、どこへでも行っちまいな」


 そう吐き捨てるように言われ、草むらに放り投げられた。

どこもかしこも大人の言う事は同じだ。

そうですよ腐ってますよだから何だよ。

腐らせたのは御前たちじゃないか。

僕だって最初から腐ってたわけじゃないさ。

理由もわからず叱られたり、本当の事を言って

いるのに嘘だといわれたり、そんな事を繰り返して

塞ぎこむな腐るないじけるな何て勝手な話も無いもんだ。



「さてと……」



 別に個人的に僕もやる事というか当てが出来たので、それをしようと思う。

兎に言われた通り大陸の一番大きな街を目指そう。

 僕は体を叩いて木屑や土を落として歩き出す。


「……どういう事だ……?」


 意思とは関係なく足はあの山を目指している。

自分の体のコントロールが聞かない。

暫く歩くと立ち止まる。

もしかしてあの先はまだ行けないエリアとかなのか!? 

またしてもゲームに忠実というか何と言うか。

だったらNPCもそれっぽくしろよ! 

怒りに駆られて地面を蹴っ飛ばして、また地面に大の字になる。


最悪だ。


大人の思惑通りに進んでいるんだろう。

何が何でも僕が悪いって言う事にしたいらしい。

納得できるかそんなこと。

無意味に草原をごろごろ寝転がりながら移動する。


「しょうがない。まぁ初めてこの世界で世話になったし、

そのお返しくらいしておかないと

またギャーギャー言われそうだから行くかね。

そうしないと前にも進めないみたいだしさ」

 そううつ伏せになりながら、本当に嫌そうに言う。

だから人間なんて嫌いだ、というのも付け加えて。

そうして立ち上がりデカイ猿が居るという山へ歩を進める。

武器防具も無いが、今度は山での戦いだし、

いざとなればアディマライドオンすれば何とかなるし。


そう思うと戦う事は面倒だが楽にクリア出来るので、

誰かの言うとおり力で抑え込んでやろうと思った。

船の上であれだけ戦えたなら、

足場がしっかりしている山での格闘もいけるだろう。

一つ大きな溜息を吐き、気持ちを切り替えた。

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