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物語を喰らう悪魔  作者: みぎゃー


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第四十九話:世界の危機

「深夜子、逃げるんだ、ココに来ちゃいけない!!」


僕は必死に深夜子に警告を出した。

しかし深夜子は全くこの場を離れる気は無いようだった。


「私はあなたの中にある大きな黒い存在に気が付いていました。

 いや、そういう言い方をすると偶然に思われてしまいますね。

 最初から、その監視の為に近くに居ました。

 もしそれが世界に顕現してしまえば全てを壊してしまうから。」


僕はワケがわからず、深夜子に聞き返した。


「え、え?どういう事だ、黒みぎゃーが出て来る事をわかっていた?」


「必ず出るとまでは思っていなかったですよ。

 ただ、もし黒い力が出ればそれは強過ぎる影響を世界に与えてしまう。

 私は不思議の国の住人ですが、私の世界が存在するのは

 この世界が存在しているからです。もしここが壊されてしまえば

 私の世界にまでコイツはやって来て破壊を行うでしょう。

 それほどに強力な力を持った悪意を持った存在、だけど予想していた事が

 最悪の想定が起こってしまったようですね。」


「深夜子…どうにか出来るのか?コイツを。」


「いえ、私にそんな力があるように思いますか?

 あくまで私は監視だけの役割…だった筈なんですが、

 どうやらこの圧倒的な力は…対処班にも対処不可能かも知れません。」


「え、それじゃあどうするんだよ、

 やっぱり逃げた方が良いんじゃないか?」


「だけどここで何とかしなければ、確実にこの世界を壊して

 私の世界にもやって来る。何とかしないと…。」


そう言うと深夜子は一つのガラス玉を取り出した。


「一か八かですが…、別の世界に閉じ込めてしまいましょう。

 ただしこのガラス玉の中にはまだ世界がありません。

 この中に世界を創造するんです。そしてその中に誘導する。」


「それって、深夜子がやってくれるんだよな?」


「いえ、みぎゃーさんがやる事です。

 私はあくまでこのアイテムを提示する所までです。

 この世界の事は、と言うよりもあの存在自体、

 あなたが出したものでしょう。」


「そんな、うんこみたいな『あなたが出したもの』って言われても。」


「もう、下品な例えは止めて下さい!!

 さぁホラ、コレを渡しますから、この中に世界を創造して下さい!」


「え~、そんな事言われても、どうやれば…」


しかし、そんな僕達の会話を黒みぎゃーが悠長に聞いてくれるワケも無く、

次の攻撃を準備していた。


『フン、また良からぬ事を…。

 しかし今の気が病んでいるソイツに新しい世界を創造する力など無い。

 この一撃で二人まとめて沈めてやろう』


そう言うと、黒みぎゃーは赤と黒の混じった衝撃波を放った。


『ハァ!!!!』


━ガキィン!!━


それは深夜子が咄嗟に放った防御魔法により弾かれた、

かに見えたが、また再び折り返してコチラへと向かって来た。


━ガキィン!!ガキィン!!━


それは何度も繰り返し折り返しながら襲って来た。


『フハハ、ソレは対象に当たるまで何度でも折り返すぞ。

 その防御魔法、それほど固くは無いようだな。

 それが割れた時、貴様らの終わりだ。』


「みぎゃーさん、早くして下さい…こんなに可愛い私の事まで、

 一緒に殺しちゃう気ですか?」


深夜子が防御魔法を必死に維持しながら言う。

しかし、やり方がわからないのだから仕方がない。


「だって、わからないんだ...どんな世界を創れば良いのか。

 もう、創作力が底をついている…だから、病んだんだ…。」


「だったら、じゃあ、本当に私が死んでも良いんですね!?

 生きていれば、もしかしたら私と良い事が出来る未来があるかも

 いや、ほぼ無いけど、あるかも知れないんですよ!?

 それなのに、簡単にそういう未来さえも諦めてしまうんですか!?」


「だって...どうせ無いんだろ、そんな事言ってさ、そんな未来…」


「あぁ、もう!!

 だったら、ニーハイあげますよ!!

 昨日洗濯忘れちゃってて、これを明日も履くから三日熟成の

 美少女使用済みニーハイ、コレでどうですか!?」


 僕は、体の中心線の下腹部の下の辺りに強い衝動を感じた。

そしてたった一つの言葉が頭を支配した。


【嗅ぎたい!!】


すると、ガラス玉の中に世界が創造され始めた。

それはまるで刑務所のような、牢屋のような世界だった。


「やれば出来るじゃないですか!!

 それじゃあ、怖いかも知れないですが一瞬だけ、

 この防御壁を抜けて黒みぎゃーに対峙して下さい!!

 そしてそのガラス玉の中に閉じ込めると強く念じて下さい!!」


防御壁を抜ける!?

そんな事をしたら、あの衝撃波を直に喰らうかも知れない。

だけど今の僕にはもうコレしか無い。

僕は防御壁を抜けて、黒みぎゃーに対峙した。


『フン、お前には出来ぬ。今の病んだお前等、何の力も無いのだ。』


「それは果たしてどうかな?美少女の三日間熟成ニーハイは、

 さすがに理性を壊すのに十分過ぎるぜ?」


僕はガラス玉を黒みぎゃーの前に差し出した。

すると、黒みぎゃーの身体がガラス玉に吸い込まれて行く。


『グオォ…何…だと!?

 何故、これほどの力がまだ貴様に!?』


「お前にはわからない、生への執着の正の力だな、いや…

 【性の力】だ!!」


━シュオォォォォン!!━


黒みぎゃーは、見事にその全身をガラス玉の中に吸われて行った。


「す、凄い…封じてしまった…。」


「…おめでとうございます。だけど、ちょっとドン引きです。

 みぎゃーさん、どれだけ私の三日間熟成ニーハイ欲しいんですか。」


「だって、美少女が三日間も履いたニーハイなんて、

 臭くないはずが無いじゃないか!!

 しかもそれが可愛い深夜子のものとなれば、嗅がない筈が無い!!」


「人を臭いもの扱いしないで下さい。怒りますよ!」


しかし、こんなケンカをしている横で、横たわるでび子に目をやる。


「でび子….本当に、もう…」


僕は何も言えず、ただでび子を見ていた。

一体何が彼女をここまで一気に死に追いやってしまったのだろうか。


「でび子さん…案外悪い悪魔では無かったような気がしますね。」


「・・・・・・。」


「ねぇ、アンタ達、勝手に人を殺さないでくれる?」


突然、でび子が起き上がり僕達にツッコんだ。


「えぇえ!?」


「お、お、お、お化け!?」


「いや、お化けってアンタ達それ、悪魔に対して言う?

 あまりにエネルギーを消耗して、一時的に仮死状態だったのよ。

 エネルギーを永久的に枯渇させないよう、消費が大き過ぎたら

 一時的にフリーズするようになってるのよ。って、アレ?

 黒みぎゃーはどうしたのかしら、帰ったの?」


僕はガラス玉をでび子に見せた。


「へ....え?アンタがコレを?どうやったのよ、今のアンタにそんな、

 コイツを封印出来るだけの創造の力なんてあったっけ?」


「私が三日間履いて熟成させたニーハイをあげる事を条件にしました。」


「アンタ…心底バカじゃないの?

 深夜子のニーハイ、しかも三日間履いたような臭いので釣られて、

 本気でバカの思考回路してるわよ、アンタ…」


でび子が呆れ顔で、しかし半分怒るような表情で言う。


「ちょっと、でび子さん…。臭い臭いって、人を汚物扱いしないで下さい」


「いや、悪魔のアタシならまだしも、いくら異世界の存在とは言え、

 人間であるアンタが三日間履いたニーハイなんて臭いに決まってるわ。

 それとも何かしら、無臭だとでも言うのかしら?」


「いやまぁ、そりゃ臭くはなっちゃいますけど、

 別にそれは仕方ないって言うか、そもそもやりたくてそうじゃなくて

 仕方なく….」


「え、だけど一日は確かに洗い忘れて今二日目なんだろ?」


「ちょっと!!みぎゃーさん、そんな事言ったらもうあげませんよ!?」


「えー、何でだよ、くれるって言うから頑張ったのに、頑張り損だ~」


「どっちもマジものの馬鹿だわ…本当に呆れ果てるわね、アンタ達には。」


こうして、僕達は未曽有の黒みぎゃーによる世界の破壊から逃れ、

またくだらなくも愛しい日常に戻ったのだった。



挿絵(By みてみん)

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