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第十九話:暗部深夜子

挿絵(By みてみん)

不思議な世界で暗部深夜子と出会うみぎゃーとでび子



「新しい物語を書く事にしたよ。」


僕はそう言って、漫画を読んでいるデビ子の背中から声を掛けた。


「あら、そうなの。

 それで、今度はどんな話なのかしら?」


「うん、新しいアイコン用に作ったキャラクターでね、

 暗部くらべ 深夜子みやこって言うキャラなんだけどさ、

 せっかくキャラを作ったから、物語を作りたくなってさ。」


どれどれ、とイラストを見たデビ子が言った。


「え、このキャラ、アタシに似てない!?

 ツインテールだし、髪色も黒がベースだし、

 細部は違うとは言え、何だか似ているような・・・。」


「いや、それはたまたまだよ(笑)

 別にデビ子に似せようとしたワケじゃないよ。」


「ふぅん。

 まぁ、無意識にアタシのこの造形美に意識を向けてしまって

 似てしまうのもあり得なくは無い話だけど?」


今日のでび子は何だか自身満々だ。


「それで、物語の舞台はどんなものを用意するのかしら。」


「不思議の国のアリスみたいな、不思議の世界だよ。

 ファンタジーではあるけど、よくある中世ヨーロッパとかの」


そこまで言いかけた所で、でび子が口を挟む。


「あぁ、いわゆるなんちゃって小説家になろう系の

 『ナーロッパ』ってヤツね。時代考証メチャクチャの。」


また、でび子は毒舌になりながらツッコみを入れた。


「ま、まぁとにかく、そのナーロッパ、ってヤツとは違うよ。」


「ふふ、あまり詳しく聞いてしまったら面白くないから、

 とりあえず事前インタビューとしてそのキャラクターの世界に

 アタシ達で言って話をしてみようかしら?

 あ、所で今回はアンタは出演するの?」


「しない・・・多分。

 前回あれだけ言われたからさ、今回はもし男キャラ出すとしたら

 オリジナルの別キャラ、作品内のキャラクターを作る。」


「あら、何だか残念そうね。

 こんなに近くに絶世の美少女がいるって言うのに?」


「あ、ハハ・・・今日はやけに自信が凄いね。」


「アンタがアタシに似てるキャラを作るからじゃない。

 まぁ良いわ、行くわよ。その暗部とやらがいる世界に。」


でび子は僕のうなじ辺りに噛み付き、物語の世界へと誘う。


フゥッと意識が途絶える。


「う・・・ん。

 ココは・・・あぁ、物語の世界の中か。」


「おはよう。遅いお目覚めね。

 まだ暗部ってキャラクターは現れてないわよ。

 まぁ創作者が寝ていたんじゃ、現れる事も出来ないわよね。」


すると僕達の目の前に突然七色の扉が現れたかと思うと、

そこから女の子と黒猫が飛び出して来た。


『アラ・・・どなたかしら?』


暗部深夜子だ。僕が描いたキャラクターそのものだ。


傘を差している彼女はそのままふわりふわりと降りて来た。

黒猫の方は器用にその辺りにある小物類を飛び移りながら

最終的に一番落ち着く場所に腰を据えた。


『あなた達は・・・この世界の住人じゃなさそうね。

 私と同じ、迷い人って事なのかしら?』


「あぁ、えーと、何て言えば良いのか、僕達はキミの・・・」


「コイツ、アンタの作者よ。

 アンタは物語の中のキャラクター。

 それでコイツはアンタを創作した作者なの。」


でび子がズバリと言ってしまった。

そんな事、直接本人に言ってしまっても良いのだろうか。


『アラ、そうだったの!?

 私、不思議な世界を次々と冒険していて・・・。

 それも全て、アナタが創作していた世界だったと言う事なの?』


「まぁ、一応そうだね。

 ただ全部が全部僕が意図したと言うよりは、物語は時には

 作者の手を離れて勝手に進む事もあるからね。

 僕自身も予想外な所へと進む事もよくあるよ。」


『ふぅん、そっかぁ。

 まぁ、たくさんの不思議な世界を経験すると何だか、

 自分に作者がいるという事も受け入れられる気がするわ。

 それでも私が自分でこうして考えて行動しているのは

 私自身の意思だって思えるもの。それで良いのよね?』


「うん、そうやってキミ達自信が自我を持って動いてくれる事が

 作者としては何よりも嬉しいよ。

 きっと別次元ではキミ達は本当に生きていて、僕はただその世界を

 僕のいる3次元世界なりの解釈で書いているだけ、みたいなさ。」


『よくわからないけど、ツインテールが好き、と言う事かしら?

 お連れさんもツインテールだものね。』


でび子が「ほら、言わんこっちゃない」と僕をなじる。


「いや、これはその、偶然と言うか・・・。」


『ふふ、別に良いのよ。作者に愛されているのは素晴らしい事よ。

 だってあまり悪い事は起きないのでしょう?』


「まぁ、そこはまだ何とも言えない・・・けど、あまり残酷な話や

 救いの無いような話は書きたくは無いな・・・。」


『それなら、安心だわ。

 何よりもハッピーエンドかどうかが、私達登場人物の注目点だもの。

 そこさえ確定していれば、途中にある苦難とかも全部、

 乗り越えてやろうって思えるわ。だって苦難を乗り越えた先にあるのが

 幸せならどんな道であっても安心と確信を持って進めるもの。』


「そうだよね。

 誰だって夢のある話を聞きたいし、創作者はそうでなくてはね。」


「ところで」とデビ子が突然、深夜子に質問を投げかけた。


「その黒猫の名前は、何て言うのかしら?」


『えっと、実はまだ決まってなくて・・・。』


「付けてあげなさいよ、アンタ。」


でび子は僕を見て言った。

え、深夜子じゃなくて、僕が付けるのか?


「そりゃそうじゃない。

 もちろん、彼女の物語の中では彼女が名付けるのでしょうけど、

 メタ的な視点で言えばアンタが名付けるのでしょ?

 何かしら名付けなさいよ、エンリケとか、ココリコとか。」


何ともよくわからない名前の例を出されてしまった。

そう言えばまだ黒猫の名前を考えていなかった。


「クロ・・・はどうだろう?」


黒猫が、フギャー!!と僕に威嚇をして来た。


「アンタ、センス無さ過ぎでしょ、それは流石に。

 もう少しオリジナリティのある名前にしたら?」


「うーん・・・じゃあ・・・。

 『ヤミヤミ』はどうかな?」


今度は黒猫がゴロニャア~ンと喉を鳴らして仰向けになった。

どうやら気に入ったらしい。


「何か猫らしくない感じもするけど・・・本当に良いのかな。」


「良いも何も、アンタの作る世界なんだから、アンタ次第でしょ。」


まぁ、それはそうだ。

何の忖度も必要ない、僕が描く世界は僕自身の投影でもある。

それならばもっと自由な発想で、全てを受け入れて作ってみよう。


「あんまり、常識にとらわれるんじゃないわよ。

 特に史実に基づいたようなものを書くのでも無い限り、

 ファンタジーを書くと言う事は自由な創造の世界なのよ。

 そこに何らかの制限をかけるのは物語の進行上必要な時だけよ。

 自分の想像と言うものに、わざわざ制限をかける必要は無いわ。」


そうだ、誰に何を言われたって言い。

文句だって一つのスパイスだと思って、もっと自由に。

僕は今までの物語の中で、まだ自分の殻に閉じこもっていたかも知れない。

制限なんか無く、思い描くままに書いて行こう。

無限の夢を詰め込める、そんな物語を書きたいんだと気付いた。


『あの、それじゃあ私、自分の世界に戻りますから。

 お二人も、お元気で。』


そう言って、深夜子はまた自分の世界へと戻って行った。

そうして僕はデビ子と共に自分の世界に戻り、

新たな作品の執筆へと取り掛かる事にした。


※ここからは別作品の執筆に取り掛かります。

 新作が出たらそちらをご愛顧頂けましたら幸いです。

 新作執筆中、そして完結後にこちらの話の続きを書いて行きます。

 いつもお読み下さりありがとうございます。

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