#砂時計の砂が落ちきりる前に(39)
〜あらすじ〜
空は澄んだ色をし太陽が砂時計とカラビナウォッチを照らし出す。時が経っても変わらぬ時計。
彼女の人生は砂時計から始まることになる。砂時計とカラビナウォッチ…
2つそれぞれの時計の意味は何か…
彼女の幼年期から青年期を経て、成長し恋をしていく。
第四章 青年期
親友、智恵と共に国家試験へ望んだ。
二人とも合格。
お互い支え合いながら励まし合い頑張り続けた5年間。
そして、二人は新潟の地へと移り住む。
親友も無事、県立病院に就職でき、お互いがバタバタしながら新生活を送り出す、新米ナースの二人。
4月、まだ肌寒いこの町は、これから桜の見ごろを迎える。
『みっちゃん!当分、伯父さんと伯母さんも一緒に訪問看護へ着いていくからね。頑張ろうな!先ずは患者さんを知ることから。』
伯父が運転する車に乗り、初めての患者さんに会う。
伯父は患者さんの名前を呼び玄関へと入って行った。
周りは自然が広がって雪が所々残っていた。
彼女の初めての患者は【樋口 キン(82歳)女性。消化器疾患で人工肛門を付けている。】
『樋口さん、今日から姪っ子がウチの病院で働くすけん、よろしくお願いしますね。名前は、若葉美月。"みっちゃん“って呼んでくんねかい?』
彼女も患者に挨拶をする。
『はじめまして、若葉美月です。よろしくお願いします!』
患者は笑顔で優しい口調で答える。
『こちらこそー。みっちゃんって言わんだね。よろしくねー。』
彼女の自己紹介が終わり伯父は患者に話しかけた。
『はちゃ、診ようかな?樋口さん具合は、どっけだね?』
伯父と伯母は患者と話をしながらコミニュケーションをとり、問診をする。
こんなに自然と問診するのを見たのは初めての彼女。学校の実習には無かったから当然だった。
だが、方言については小さい頃から伯父が喋ってる所を耳にしていたから自然と解る。
処置も終わり、雑談へ。
患者がお茶と出された緑色のお饅頭。
『みっちゃんも"あんぼ"食べらっしゃい!』
彼女は手を合わせ言った。
『いただきます!』
パクっと一口食べると、モグサの香りが広がった。中身を見ると大根の葉っぱを細かく切り刻みゴマと一緒に甘しょっぱく炒めてあった。
彼女は思わず口にした。
『美味しい!!初めて食べました!!』
患者も伯父も伯母も笑っていた。
伯父が緑色の饅頭が何かを説明してくれた。
『コレは、"あんぼ"って言ってね、ここの郷土料理なんだよ。生地は米粉から作って、中身はだいたい、大根の葉っぱ、野沢菜、餡子を包んで蒸し焼きにして食べる。それを"あんぼ"って言うんだよ。』
"あんぼ”とお茶だけで、皆んなが笑顔でいれるなんて…素敵な地域だなぁ…"
しみじみ思いながら、"あんぼ"を食べ続ける彼女。
その後も、ずっと目から鱗が出るほどの郷土料理や、地域ならではの四季折々のイベントが沢山あった。
彼女の一番は、地域を愛す人たちや、誰に対しても優しい人たちがたくさんいる事に感動し、この町に来てよかったと思った。
つづく。




