#砂時計の砂が落ちきる前に(32)
〜あらすじ〜
空は澄んだ色をし太陽が砂時計とカラビナウォッチを照らし出す。時が経っても変わらぬ時計。
彼女の人生は砂時計から始まることになる。砂時計とカラビナウォッチ…
2つそれぞれの時計の意味は何か…
彼女の幼年期から青年期を経て、成長し恋をしていく。
"時計が動いてない…どうしよう…"
今までは水上光の影響で砂時計の砂が落ち始めた瞬間に元に戻されをずっと繰り返していたが、時計が動いていない事に気付いた瞬間、彼女の砂時計の砂が一瞬で落ちきってしまった。
彼女は真っ暗などん底に落ちてしまったかの様に深い絶望感におそわれる。
"どうしよう…親にも話せない…“
彼女は閃いた。
"そうだ!水上光なら直せるかも!カメラも自分でいじってるくらいだから直せるよね!?“
彼の名前の様に"光“が彼女を照らす。
翌日、放課後の時間を待っていた。
彼女は、いつもの場所へは向かわず違う場所へと向かっていた。
教室を開ける彼女。
写真の整理をしている水上光。
『先輩!』彼女は彼を呼んだ。
二度見する彼はビックリした表情をしていた。
『美月ちゃん!どうしたの!?俺のこと好きになってくれたの♡!?』
彼が話す言葉は彼女の耳には全く入ってこなかった。
『先輩!コレ、直せますか!?』
必死に聞く彼女。
『ナースウォッチじゃん!どうしたのそれ!?』
驚く彼。
『直せますか!?』
彼の質問に全く答えず聞く彼女。
『先輩!直せますか!?』
まるで具合が悪くなり急いで子どもを病院へ連れて来た母親の様だった。
『見せて。』
彼は手を出し彼女が渡した時計を見た。
『電池がないのかなぁ…?』
時計の裏や周りを見る彼。
『直せますか!?』
焦る彼女は、しつこいほど聞く。
彼は答えた。
『今道具なくて見れないから、今日持って帰っていい?』
『えっ!?持って帰るんですか!?いつ直るんですか!?必ず直りますか!?』
質問攻めの彼女。
『明日には、わかると思うから明日話すよ。ごめんね。今は何も出来ないなぁ。』
彼女の目の前は真っ暗になった。
具合が悪い我が子を病院に預けるかのような気持ち。
状態もわからないまま帰れない彼女。
まるで母親の様だった。
彼は立ち上がり彼女の頭を撫でて話す。
『大丈夫、直すから。』
彼女の目からは久しぶりに涙が出た。
『お願いします!直して下さい。』
彼は椅子に座り親指で彼女の涙を拭き取る。
『大丈夫。絶対に大丈夫。』
水上蓮が言ってた言葉と同じだった。
水上蓮を思い出し涙が溢れ出す。
彼は再び立ち上がり、彼女を優しく抱きしめ、繰り返し話す。
『大丈夫。絶対に大丈夫。絶対に直る。』
外には、野球部、陸上部、サッカー部の生徒たちの声。そして、夏の訪れを告げる蝉が鳴き続ける。
彼の手には彼女の大切な"カラビナウォッチ”を握りしめていた。
二人は並んで帰る。
彼は彼女に話しかけた。
『どうしてナースウォッチ持ってるの?』
彼女は、誰にも言えず心にずっと閉まっていた過去の話を始めた。"水上蓮”と約束した事、"水上蓮”を好きだと言うことも…
『そっか…色々な事があったんだ。最初、ナースウォッチごときで何で必死に言ってんのかなぁーって思ったけど、涙を流す美月ちゃんを見て、凄く大切な時計なんだなぁーって思った。美月ちゃんはまだ蓮くんが好きなんだ?大人になって再会したら"デートする“=(イコール)付き合う“っう事だよね?』
『再会したらデートしたいです…』小さく彼女は喋った。
彼は声を上げて笑った。
その姿にイラッとする彼女。
『酷いですよ!笑わなくてもいいじゃないですか!!』
そんな言葉に気付き彼はまた話し出した。
『ごめん、ごめん!笑っちゃいけないね!やっぱり美月ちゃんは最高だなぁ!真っ直ぐな気持ちで全くぶれない!表情も豊かで誰にも真似出来ないキャラだね!』
ふてくされる彼女。
『それは、バカにしてるんですか!?』
手を横にふり笑いながら話す彼。
『違う!違う!バカにしてないよ!凄い事だよ!表情も想いも全て誰にも真似出来ないモノを持っている!あっ、俺、蓮くんっうヤツの前に美月ちゃんにキスしちゃったぁーー!俺が一番!!キスした事は謝らないからねー!あと…』
足を止めて、彼女の目線に合わせ微笑み彼は言った。
『俺が誰よりも早く美月ちゃんを、う、ば、う♡』
彼は彼女に背を向け両手をポッケに入れ歩き出す。
彼女の目はまた"事故“が起きた時と同じく目を大きく見開いた。
彼女は確信した…こいつはチャラ男だと。
昨日落ちきってしまった砂時計の砂…
彼女の砂時計は…落ちきったままだった。
つづく。




