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#砂時計の砂が落ちきる前に  作者: 海底の真珠
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#砂時計の砂が落ちきる前に(24)

〜あらすじ〜

空は澄んだ色をし太陽が砂時計とカラビナウォッチを照らし出す。時が経っても変わらぬ時計。

彼女の人生は砂時計から始まることになる。砂時計とカラビナウォッチ…

2つそれぞれの時計の意味は何か…

彼女の幼年期から青年期を経て、成長し恋をしていく。

彼女の物語がここから始まるのだ。

卒業式前日を迎えた。


学校へ着き、駆け足で教室に向かう彼女。

そして彼に話しかけた。

『蓮くん、昼休み…図書室行こう。』

彼女の話を割り込む男子生徒。

『ナマケモノと最後の昼休みを過ごさなくていいじゃん!俺たちとドッチボールしようぜ!』

今度は女子生徒が話を割り込む。

『蓮!昼休みは卒業アルバムにメッセージ書いてよー!』

彼女の声はかき消された。


時間と不安、焦りが刻々と迫ってくる。

タイムリミットまであと…6時間…


卒業式前日は授業がない。

最終リハーサル。

教室の大掃除。その後は教室内なら自由時間。

そして14時には下校。


いつも通りに給食を食べ終わり、ランドセルからキーホルダーを外し、御守りとキーホルダーを右ポケットに入れ、いつも通りに歯磨きをし図書室へ向かった。

卒業式前日の6年生は昼休みは在校生より、いつもより25分多い合計1時間ある。


図書室に到着し、大きく深呼吸する彼女。

もしかしたら、彼は来ないかもしれない。

もしかしたら、御守りもキーホルダーも渡せないかもしれない。

そんな思いを唾と同時に飲み込み扉を開けた。

"だよね…蓮くん居ないよね…”

いつもの時計図鑑を持って来て『からくり時計』のページで手が止まりずっと見ていた。

ガラガラ。

扉が開く。

とっさに扉へ目が行く彼女。

在校生の女子生徒が図書室へ入ってきた。

"いつもは誰もいない図書室に生徒が来るなんて珍しい。”

そんな事を思い再び図鑑へ目を戻す。


数分後…

女子生徒が彼女に近づいて来た。

彼女に何か言いたそうにしている。

"えーっ!また、蓮くんに渡して下さい!とか言ってくるのかなぁ…”

不安になる彼女。だか、何も言わずに彼女のそばに来た女子生徒に話しかけてみた。

『どうしたの?蓮くんに渡してもらいたい物があるの?』

首を大き振る女子生徒。

図書室に音を出さず忍者の様に入ってきた彼は、彼女と女子生徒が話をしている所を見つける。

彼は静かに2人の様子をそっと見ていた。

『どうしたの?もしかして、この図鑑見たいとか?』

彼女は手元にある図鑑を指さした。

だが、女子生徒は首を振った。

"あれ…?この子…前の私に似てる…”

ふと思った彼女は、彼女の右隣の椅子を引き女子生徒が座れるように促す。そして優しく話しかけた。

『隣に座る?私で良ければ話聴くよ。』

黙ったまま隣に座る女子生徒。

『一緒に見ようか!』

図鑑を広げて時計の話をする彼女。

『美月先輩…』

ようやく口を開く女子生徒。

『私…6年生の劇で美月先輩を好きになりました!カッコ良かったです!髪の毛は短くて倒れてる人に一生懸命話しかけてて。私も消防士さんになりたいです!髪の毛も短くて男の子よりカッコよかったです!私も、男の子に負けないくらい美月先輩みたいになりたいです!だから、私も美月先輩の真似して髪の毛切りました!』

"私の夢は消防士じゃなくて、看護師なんだけどね…でも、髪の毛は…真似しちゃダメだよ…”

思ってもいない告白を彼女と彼はビックリしていた。

そうとは知らず女子生徒は話を続けた。

『私も、美月先輩みたいになりたいです!美月先輩みたいになってカッコイイ消防士さんになりたいです!』

一生懸命同じことを繰り返し話す女子生徒。そして勇気を出して思いを伝えてくれた女子生徒に彼女は話始めた。

『勇気を出して話してくれてありがとう。

凄く嬉しい!一緒にカッコイイ消防士さんになろうね!大丈夫!絶対になれる!一緒に頑張ろうね!』

女子生徒は満面の笑顔で頷き、図書室から出て行った。


チャイムが鳴る。


彼女に限られた時間はあと25分。


"私…劇は消防士役だった…でも、あの子は勇気出して話してくれたし、嬉しい話だったから良しとしよう!”


『みーつーきー』

振り返ると彼が本棚からひょこっと顔を出して名前を呼んだ。

高鳴る鼓動…

彼女の顔は一気に赤く染まった。

彼は近寄りいつもの左隣に座った。

2人の声がかぶる。

『あのね!』

『あのさ!』

2人は笑う。

『蓮くん、先に話して良いよ!』

『じゃ、俺が先に喋る!良かったな!後輩に好きって言われて!てか、お前、すげぇーかっこよかったぞ!何回も言うけど、やっぱお前は最高の看護師になれる!

あと…いつも俺に笑顔をくれてたお前の笑顔がずっと一生続いて欲しいなぁ。だから、お前にコレやる!』

彼は手のひらから"カラビナウォッチ”出した。これは彼のランドセルに付けていた時計だった。

彼女の手のひらへ渡す彼。

その時計は、ずっと握っていたのだろう…温かく感じた。

思わぬ展開に目をまんまるくし固まる彼女。

"水上蓮に残りのゲージ40のダメージをくらった。若葉美月のゲージは、もう0…ゲームオーバー”

『おーい!ちゃんと聴いてたか?』

笑いながら彼女に話す彼。

ダメージ0の彼女の頬には温かい涙が溢れだす。彼女は泣きながら話し出した。

『ありがとう。凄く嬉しい!ありがとう!時計大切にするね!あと…コレ…』

彼女は右ポケットから御守りとキーホルダーを出し彼に手渡した。

『下手くそだけど…蓮くんが救急救命士になれるように御守り作った。あとコレは…砂時計のキーホルダー。死んじゃったお爺ちゃんが沖縄に行った時、お土産で貰って大切にしてたんだけど、蓮くん、私のこと"砂時計”って例えてくれたでしょ?だから、蓮くん、私のこと忘れないで欲しいなぁ…』

彼女なりの精一杯の告白だった。

『めっちゃ御守り嬉しい!一番嬉しい!作ってくれてありがとう!あと…キーホルダー…本当に貰っていいのかよ?』

彼の問いに彼女は答えた。

『うん!いいの!蓮くんに持っててもらいたいから!その代わり約束だよ!絶対、救急救命士になる事!絶対、私のこと忘れない事!あと…大人になって会えたら絶対デートしようね!わかった!?』

『わかった!約束する!お前こそ約束守れよー!大人になるのが楽しみだなぁ!本当にありがとうな!じゃ、ゆびきり!』

彼と彼女の小指が絡まり、ゆびきりをした。

"このまま、指を離したくないなぁ…このまま時間が止まればいいに…”

『ヤベッ!もう時間だぞ!戻るぞ!』

絡まった指は解かれた。

あっという間の25分…だが、たった25分だっ

たが彼女にとっては、一瞬一瞬、一秒一秒が嬉しく幸せで価値があったから25分と言う時間なんて関係なかった。


彼から貰った"カラビナウォッチ”を握りしめ夢に向かって彼女は一歩踏み出したのだ。

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