#砂時計の砂が落ちきる前に(23)
〜あらすじ〜
空は澄んだ色をし太陽が砂時計とカラビナウォッチを照らし出す。時が経っても変わらぬ時計。
彼女の人生は砂時計から始まることになる。砂時計とカラビナウォッチ…
2つそれぞれの時計の意味は何か…
彼女の幼年期から青年期を経て、成長し恋をしていく。
彼女の物語がここから始まるのだ。
昼休み。約束通り図書室へ向かう彼女。
彼女のズボンの右ポケットには作った御守りが入っていた。
図書室の扉を開ける。
『おせぇーよ!』
彼の声が聞こえた。
"また幻聴!?”と思いながらも声がする方へ目を向ける彼女。
そこには、幻聴でも幻覚でもない本物の彼の姿があった。
彼女は彼の姿を見てテンションが上がる。
彼は話始めた。
『これ、妹に渡してくれね?昨日全部返事書いたから。』
彼の手には束ねて輪ゴムで止めてある封筒を彼女に渡した。
チーン………テンション上がっていた彼女は封筒を渡された瞬間にテンションが下がる。
"蓮くん、コレですかぁー!?私に頼みって!!てか…どーゆう返事を書いたんだろ…”
手紙の内容が気になる彼女だったが、『どんなふうに書いたの?』なんて聞けない。
"御守りいつ渡せばいいのかな…”
色々考えていた彼女に彼は手紙を渡した。
『じゃ、美月!頼む!』彼は片手で彼女に拝みそのまま友達が待つ体育館へ行ってしまった。
彼女は御守りが入っているポケットをギュッと握る。
結局、その日は御守りを彼に渡せなかった。
卒業式まであと1日…。
不安と焦りが彼女を襲う。
まるでこの感情は、長距離を走ってゴールの光が小さく遠く見えているのに、一生懸命走って、走って、走りまくってもゴールに近づくことができない不安、そして早くゴールしなくてはならないと思う焦り…そんな感情の様なものだ。
"恋ってこんなに辛いのかなぁ…“
"恋ってこんなに苦しいのかなぁ…”
色々な思いが心の中を埋めていく。
帰宅し、ポケットから御守りを出し、見つめる彼女。
"こんな御守りなんて、貰っても嬉しくないだろうなぁ…カッコよくないし、貰ってくれたとしてもゴミ箱行きだと思うし…”
彼女は今日の出来事が引っかかっていたから尚更だった。
それは、偶然に教室で彼にプレゼントを渡す女子生徒の姿を見かけたのだ。目をそらせば良いものの、気になって食いつくかの様に一部始終みてしまった。
『蓮!今開けてみてー!』
嬉しそうに言う女子生徒。
彼は、小さめの袋から取り出した。
そこに入っていたのは、男の子用のカッコイイ紫色でラメが散らばれている《御守り》だった。
『カッコイイ!ありがとうな!』喜ぶ彼に、ドヤ顔の彼女の姿を見てしまったのだ。
ため息をつく彼女。
作った御守りをランドセルへ入れ、手紙に気付く。
"妹に手紙渡さなきゃ!!”
急いで帰宅する。
息を切らす彼女。
ランドセルの中から手紙を出し妹へ渡した。
『蓮くんが手紙を書いてくれた子に返事を書いてくれたみたいだから、明日渡してね!』
"私は何してるんだろう…キューピットでも郵便配達でもないのに…”
『お姉ちゃん!ありがとう!やるじゃん!!』
"うるさい!何がやるじゃん!だよ!こっちの気持ちにもなれ!!”
『明日、ちゃんと渡しなよ!』
イラついている彼女。
そしてまたため息。
1人になりたかった彼女は早々と入浴する。
静かに色々と考えたかったのだろう。彼女は初めて鍵を閉め入浴し始めた。
"どうしよう…蓮くんとちゃんと話せないまま卒業しちゃう…御守り…渡せないかも…でも逆に渡さない方がいいかも…ダサいし…”
色々考えながら久しぶりにブクブクと湯船に顔を沈めていた。
まだ気持ちの整理がつかない彼女は湯船から上がり鏡を見た。
彼女の心の中を映し出しているかの様に鏡は湯気でくもって彼女の顔がはっきりと見えなかった。
彼女は、くもった鏡を手で拭く。
"そうだ!"彼女は閃いた。
早く服を着て部屋に向かって駆け出す。階段も凄いスピードで駆け上る。
彼女はランドセルに付けていたキーホルダーを外し決心した。
"御守りと、キーホルダーを蓮くんにあげよう!”
そのキーホルダーは亡き祖父が沖縄へ旅行に行った際、お土産に買ってきてくれた小さな砂時計のキーホルダーだった。
チャンスは明日。
明後日は卒業式で親も居るから100%話せない。
彼女はどのような行動に出るのか…
彼女の想いは届くのか…
静かに時間は過ぎて行く…
卒業式まであと1日…




