#砂時計の砂が落ちきる前に(22)
〜あらすじ〜
空は澄んだ色をし太陽が砂時計とカラビナウォッチを照らし出す。時が経っても変わらぬ時計。
彼女の人生は砂時計から始まることになる。砂時計とカラビナウォッチ…
2つそれぞれの時計の意味は何か…
彼女の幼年期から青年期を経て、成長し恋をしていく。
彼女の物語がここから始まるのだ。
『わぁ!水上蓮くん!』
彼女の妹が図書室の入口に立ち彼を見て声を上げた。
妹の手には束ねた手紙を持っている。
『美月の妹じゃん!初めて喋る!どうしたの?姉妹で図書室!?』
興味津々に聞く彼。
妹は何も言わずに、彼の横を通り彼女の前に来た。
『昨日言ってたやつだよ!渡してね!てか、何で居るの!?』
焦りながら小声で話し、彼の顔に視線を向ける妹。
『蓮くん居るから直接渡しなよ!』
彼女も焦る。
テンパる姉妹を見て笑う彼。
『お前ら仲良いな!』
"おーぃ!その笑顔は反則だょー!若葉美月、水上蓮に60のダメージをくらう。若葉美月の残りのゲージは、あと…40…”
彼女に手紙を渡す妹。
慌てて図書室から出て行ってしまった。
『ちょ、ちょっと!!』
"自分で渡せば良いのに!私はキューピットでも郵便配達でもなんでもないのに!逆にキューピットや郵便配達をしてくれーー”
彼女の心は叫ぶ。
彼女の所に来る彼。
『妹になに頼まれたの?』
彼女の両手には【蓮くんへ】【蓮先輩へ】【水上先輩へ】色々と名前が書かれた封筒があった。
彼女の手かに置かれた手紙を取り彼は、
『お前、どんだけいい奴なんだよ!』爆笑しながら話す彼。
『でも…ありがとう。嬉しい。』
椅子に腰掛け、一枚、一枚、封筒から名前を確認し手紙取り出し読む彼。
『後輩にも想われるって嬉しいよな。あっ、この子、字が間違ってる(笑)』
何枚も何枚も読む彼。
そして、読み終わり口を開いた。
『美月、頼みがあるんだけど。』
"蓮くん!なんでも聞きますよー!蓮くんのお願いならなんなりと!“
『明日の昼休みにまた図書室に来て欲しいんだけど…』
“私も同じ事言いたかったの!明日渡したい物があるのよ!ありがとう!神様!仏様!”
だが、まだ彼の話が続いた。
『後輩の返事を妹に渡して欲しいんだ!ちゃんと返事を返してあげたいからさ。』
“そっちかぁー!そー来たか!そこまで考えてなかったわ…神様、仏様、違ってましたよー!”
『わかった!蓮くんは優しいね!』
彼女は、その言葉しか出てこなかった。
チャイムが鳴り始める。
2人揃って教室へ向かう。
"私は、いつ渡せばいいのかなぁ…”
彼は彼女に話しかけ、2人の会話が始まった。
『なぁ、美月は中学行ったら部活入る?』
『私!?わからないなぁ…。蓮くんは?』
『うーん。バスケ、サッカー、陸上。悩むなぁ…どれかには入りたいけど、入ったらそのまま高校でも同じ部活したいから、ちゃんと決めたいんだよなぁー。消防士って体力が勝負じゃん?だから悩む。』
『そっか…蓮くん凄いね!ちゃんと先のことまで考えてて!』
『別に、凄くもないよ。普通だぜ(笑)』
教室に向かう廊下や階段がいつも以上に短く感じた。
帰宅し、最後の裁縫に入る。
"やっと出来たー!!終わったー!!”
最後に机の引き出しから金色の折った鶴を出し、作った袋に入れ、煎餅の袋に結んであった紫色の紐を通し完成した。
長さ7センチ
幅5センチ
赤いフェルト布の表紙には、白い糸で
《おまもり》と縫い付けた文字。
彼の願いが叶う事を願って作った御守り。
"カッコイイ消防士になれますように!”
"カッコイイ救急救命士になれますように!”
出来上がった御守りを、ランドセルの内側ポッケに入れた。
だが、いつ渡せばいいのか?どのように渡せばいいのか?など…色々考えていた。
階段下から名前が呼ばれ入浴へ行く彼女。
今度、彼女の頭の中は"御守りをいつ渡せばいいのか?”でいっぱいだった。
いつもの如く妹が風呂場に来る。
『お姉ちゃん、渡してくれてありがとう!てか、なんで水上蓮くんが図書室にお姉ちゃんと2人っきりでいたの!?』
『たまたまだよ。アンタを待ってたら蓮くんがたまたま来たんだよ。』
『えーっ、お姉ちゃん、あやしいー。まさか!?付き合ってるの!?』
彼女は手前にあった洗面器でお湯を入れ妹の顔にかけ言った。
『付き合ってないし!バカの事言わないでよ!』
『絶対あやしい!本当の事いいなよー。』
無言で湯船から上がり鏡を見る。
"御守り渡すとき何て言って渡せばいいのかな…“
着替え早々と布団へ入って色々考えていた。
“御守りすら喜ばないかもしれない…”
“捨てられたら、どうしよう…”
考えだすとキリがない。
バサっと布団をめくり起き上がり階段を降りて行く。
冷蔵庫から牛乳を取り出しカップへ注ぎ、レンジでチン。
寒い台所でホットミルクを飲み、再び部屋へ行き布団に入る。
卒業式まであと2日…




