#砂時計の砂が落ちきる前に(21)
〜あらすじ〜
空は澄んだ色をし太陽が砂時計とカラビナウォッチを照らし出す。時が経っても変わらぬ時計。
彼女の人生は砂時計から始まることになる。砂時計とカラビナウォッチ…
2つそれぞれの時計の意味は何か…
彼女の幼年期から青年期を経て、成長し恋をしていく。
彼女の物語がここから始まるのだ。
毎日、慣れない手つきで裁縫する彼女。何度、指に針が刺さったのだろうか…
彼女の姿は今までと全く別人かのようだった。その姿は恋している女子へとなっていた。
『お姉ちゃん、何作ってるの?』
妹がニヤニヤしながら聞いてくる。
『別にー』
素っ気なく返事をする彼女に、しつこいほど色々聞いてくる妹。
『お姉ちゃん…恋だ!恋だねー!最近おかしいもん!いつも髪の毛はボサボサなのに、最近髪の毛をくしで梳かしてるもん!誰の事好きなのー?』
『中学生になるから梳かしてるだけ!好きな人居ないし!』
姉妹で色々言い合う。
"よし!あと、もう少し!蓮くん喜んでくれたらいいなぁ…“縫いながら作りかけの物を見て思う彼女。
部屋に行き机の中から金色に輝く千羽鶴用の小さな折り紙の内側にある文字を書き始めた。
『大丈夫』
そして、鶴を折った。
折り鶴をまた机の中にそっと優しく入れた。
翌日から卒業式の練習が始まる。
一日一日を大切に過ごそうと決めていた彼女。彼と一緒に居れるのも少しだけ。
沢山、彼と話したいが他の生徒も彼女と同じ気持ちだった。彼と一緒に居れる時間を過ごしたい…男女問わず彼の周りには沢山の生徒が集まる。
彼にプレゼントや手紙を渡す女子生徒。遊ぶ約束をする男子生徒。
彼がどれだけ人気者だったのかがわかる。
彼女は、彼に自ら話かけることは無くなった。
下校する彼女。頭の中は作成中の事。だが、頭の中の大半を占めていたのは“デートの約束"の事だった。
“大人になって蓮くんと会ってデート…”
どこからどう見てもニヤついている彼女。
“消防士の蓮くんカッコイイだろうなぁ〜“
救急車の音が聞こえてきた。
彼女は立ち止まり辺りを見渡す。
後方から救急車が走ってきた。目が救急車に釘付け。
再び歩き出す。
"消防士…救急救命士…“
“救急救命士、水上 蓮…“
彼女の妄想が止まらない。
“ヤバッ!めっちゃカッコイイ…“
“蓮くんに運ばれたーい♡"
足をジタバタさせ、両手で顔を覆う。
本格的に乙女の彼女だった。
そうしている間に家に着く。
そしていつもの様に裁縫を進める。
やっと裁縫が慣れてきた彼女。
“これを明日やったら完成!“
大きく背伸びをし、入浴する。
そこへ、また妹がやってきた。
『お姉ちゃんと一緒に入りなさいだってー。』
ここ最近ずっとだ。彼女の様子を伺う妹。
『お姉ちゃんのクラスの水上蓮くんってモテてるの?』
思いもよらない事を聞いてくる妹。
『知らない。モテてるんじゃないの?男女問わずにモテてるかもね!』
バレない様に話す彼女に尋問する妹。
『私のクラスの女子のほとんど水上蓮くんの事が好きなんだよー!』
焦る彼女。ライバル出現。
『クラスの女の子に水上蓮くんへ手紙を書いて渡したいって言っててさ!直接渡すのが恥ずかしいって言ってたからお姉ちゃん替わりに渡してくれない?』
またまたサラッと言う妹。
焦りながら彼女は言う。
『手紙は直接渡しなよ!その方が伝わると思うよ!私が替わりに渡しても嬉しくないと思うし!』
彼女を神の様に両手を合わせ願う妹。
『クラスの女の子にok出しちゃったから、お姉ちゃん、お願い!明日の昼休み図書室に来て!』
"勝手に決めないでよー!私だって蓮くんに渡したいもん!“と思いながらも彼女は渋々了解した。
"私だって、渡したいもん…”
翌日、学校の昼休み。
渋々、図書室へ向かった彼女。
扉を開けると、いつも2人が座っている場所に目が行った。そこには、彼が彼女を見て微笑んでいる姿が…
だが、よく見ると彼すらいなかった。
“ヤバイ…幻覚だ…“
ガラガラ扉が開く。
『お前、何してるの?』
彼の声が聴こえる。
"今度は幻聴!?私ヤバイ…”
頭を左右に振る彼女。
扉を見る。
そこには水上蓮の姿があった。
彼女は驚き目を擦り、二度見した。
“幻聴じゃなぁーーーーーい!“
『お前、何してるの?』
同じ事を聞く彼。
そして、テンパる彼女。
たった、1日、2日喋らないだけでこんなに喋れなくなるのかと思うほど、言葉が出てこない。
『いや、別にー!そうゆう蓮くんは何しに図書室に来たの!?』
『俺は、お前が居るかと思って来ただけ。』
何故かお互い、ぎこちない。
ガラガラ…扉が開く音。
2人の目線が扉へ向く。




