#砂時計の砂が落ちきる前に(18)
『俺は女じゃないから妊婦は出来ないけど、病人役でいいなら、俺が代わりにやるよ!』
"おーぃ!何を言っているの!?”
『美月を俺の役にすればいいじゃん?俺、消防士役だけど、俺、消防士になって救急救命士になりたいから。だから、運ばれる病人の気持ちもわかりたいしさ。だから、俺と美月の役を代えてよ。』
"まじ!?本気で言ってるの!?"
周囲は静まり先生が話し出す。
『水上が言った事に反対意見あるか?』
騒つく生徒。
『水上、本当にいいのか?』確認する先生。
『いいよ!美月は看護師役にはなれないけど、病人を運んで医者の所まで連れて行くから看護師とあまり変わらないじゃん。』
思いもよらない大人びた彼の発言にビックリする先生、生徒、そして彼女。
彼は彼女に聞いた。
『お前、病人役でいいだろ?』
彼女は椅子から立ち上がり『お願いします!病人役をさせて下さい。』
また騒つく生徒。
呆れて、小さなため息をつきながら先生は答える。『わかった。水上は病人役、若葉は消防士役に変更する。』
"蓮くんに謝って、ありがとうって伝えなきゃ!
そのまま劇の練習に体育館へ向かう生徒たち。
『蓮くん、一緒に行こう!』
『いいよ!』
体育館まで間、二人で歩き出す。
『蓮くん、ごめんね。やりたい夢をオレのせいで役をかわる事になって…本当にごめんね。』必死で謝る彼女に笑いながら答えた。
『お前が謝ることない。お前の将来の夢は看護師だろ?まぁ、いつかは妊婦になると思うけど、やりたい事を今やればいいんじゃね?』大人びた二人の会話は続く。
『うん…でも、ワガママだったなぁって思っちゃったけど…妊婦さんの気持ちがまだオレにはわからなくて…気持ちがわからないまま妊婦役には出来ないって思ってさ…』
『まだ、わからなくていいんじゃね?もし、お前が、看護師の夢じゃなくて女優の夢なら演じて夢に向かってやるしかない(笑)』
体育館に向かう二人の足取りは二人同時に歩く速度をゆっくりとおとしていった。
『なぁ、今日一緒に帰ろうぜ!お前といっぱい喋りたい!将来の夢の話とか!』
『わかった!いいよ!いっぱい話そう!』
"やった!蓮くんと帰れる!しかも、将来の夢の話とか出来る!何を話そうかなぁ“
さっきまでへこんでいた彼女は何処へ行ったのか…彼女は単純なのだろうか…言葉を言い換えれば…ある意味、切り替えが早いということなのか…
そうこうしている間に体育館に着く。
広く寒い体育館に着き、練習を開始。
初めは皆んな、なかなか台詞が棒読みで慣れずにいたが時間と共に上手く出来て行った。
彼女もそのうちの一人。彼が勇気をくれたからだった。




