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#砂時計の砂が落ちきる前に  作者: 海底の真珠
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#砂時計の砂が落ちきる前に(17)

彼女の砂時計の砂が落ちきってしまい、彼女は元に戻す力はなかった。


音が聞こえる…何処かで聞いたことがある音…目を開けると真っ白の天井。ゆっくり体を起こす彼女。

保健室?

『若葉さん、大丈夫?お家に電話したけど、留守みたいで。早退してお家帰る?』

優しく話しかける養護教諭。

彼女は少しの間、考えた。

チャイムが鳴り出す。

『もう少しだけ休んでもいいですか?そしたら教室に行きます。』養護教諭に聞く彼女。

『もちろん、若葉さんの具合次第だから、大丈夫と思ったら教室に戻りなさい。』天使の様に優しい養護教諭。

保健室のドアの開ける音がした。

彼女は再度ベッドへ横になった。

『先生!美月は居る?帰った?』息を切らし喋る声は彼だった。

『大丈夫。今、寝てるわよ。もう少し休んだら教室に戻るみたい?』落ち着かせる様にゆっくりと彼に養護教諭は話した。

足音が彼女の所へ向かってくる。目をギュッと閉じる彼女。

薄ピンクのカーテンを開けベッドに近づきしゃがみ込み彼女の顔に近づける。

『美月』小声で呼ぶ彼。

ゆっくり目を開けると窓ガラスから差し込む柔らかい光に包まれた彼の顔が、目に映る。

恥ずかしくなり、ふわっと柔らかい掛け布団を彼女は顔半分まで隠した。

『大丈夫か?』優しく聞く彼。

コクっと頭を下げてうなずく彼女。

何も言わず、微笑む顔の彼は彼女の頭を撫でた。

またまた恥ずかしくなる彼女。

"この前と同じ“彼女の心臓は早くなる。

休憩時間終了のチャイムが鳴る。

『また来るから。』小さな声で言い立ち上がる彼。

とっさに彼女の手が彼の左手を掴む。

一瞬の事だった。

振り向き彼女の顔を覗き込む彼に、

『ありがとう』5文字の言葉を彼女なりに言う。

ニコッと微笑む彼。そのまま手はそっと解かれた。 

彼といた時間…数十秒。窓ガラスから差し込む柔らかい光を見つめている彼女。

彼女の目には涙が流れて枕に染みていった。『涙』は誰かのせいだと祖父の死から心に宿していた彼女だったが、彼のおかげで"誰かのせい“での『涙』ではなく"誰かのことを想う"ことの『涙』だと気付き、彼女の砂時計が元に戻りまた砂が落ち始める。

"負けない。頑張らなきゃ!"彼女はゴクンと唾を飲みベッドから起き上がり布団を直し養護教諭に話しかけた。『先生、もう大丈夫なので教室に戻ります。』

『そう、良かった。本当に大丈夫?でも無理はしないでね。』安堵の表情で話す養護教諭。

ペコっと頭を下げて保健室を出る彼女。

教室に向かう途中トイレへ向かい鏡を見た。

"恋をするとキレイになる…”

昨日の夜とは全く表情が違う彼女。

口角を上げニコッと笑ってみる。

"私笑えるじゃん!ちょっと八重歯は邪魔だけど。そこまでブサイクじゃないよ!大丈夫!笑えてるから!“鏡越しに映る自分に言い聞かせる彼女。


教室の前に立ち。自分が変わった時の様に深呼吸をし、『よし!』小声で自分に言い聞かせ教室の扉を開ける。

"まただー。皆んなの目線。”

『若葉大丈夫か?』担任先生が言う。

『はい!大丈夫です!』元気な声で答える彼女。その姿は以前とはまた違う表情で明るかった。

彼もそんな彼女を見て微笑む。

『よし!続きをするぞ!』先生の声で授業は再開した。

だが、授業内容は『将来の夢の劇について』だった。

先生は口を開いた。『ちょっと聞いてくれ!若葉が妊婦役を辞めて違う役になりたいと言ってきたのだが。皆んなの考え聞かせてくれないか?』

"そこまで、皆んなに話すの!?ありえない。先生って最悪。めっちゃ嫌がらせじゃん。皆んなは反対に決まってる。言ってくる言葉が予想できるし。”教師に対して信用が無くなり、さっきまでの明るかった表現はだんだんと無表情になっていき沸々と怒りを感じている彼女。

案の定、周りは反対。

『それ、ワガママじゃない?』

『ナマケモノが妊婦役じゃなくなれば、私達はどうやって劇をするの!?』

『絶対反対!』

"でしょうね。やっぱり予想通り”

生徒に一つの提案を出す先生。また心の中で会話をする彼女。

『誰かが、若葉の代役したらどうだ?』

"いやいや、そう来たか!?『うっ、産まれるー』って経験したことないのに出来るわけないじゃん!!女優でもないのに!”

『嫌だよ!私、絶対看護師がいい!』

『私も嫌です!自分の将来の夢を発表したいもん!』

『私だって嫌です!赤ちゃん産んだことないしー。』

"ですよねー。私もあなた達と同じ思いです。”

『俺は、女じゃないから無理ー(笑)』

"そりゃーそうさ!君は男の子だよ!”

『もう、めんどくさいからナマケモノを抜かして劇すればいいじゃん!』

"私もその方がありがたいわ”

クラス中は、反対意見が飛び交う。

『先生!ちょっといい!?』手を上げ声を出す彼。

彼に目線が集まる。

"蓮くん、何を言い始めるの!?“

席を立ち発言する彼。

何を発言するかわからず焦る彼女。

"何!?蓮は何を言うのー!?"

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