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#砂時計の砂が落ちきる前に  作者: 海底の真珠
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#砂時計の砂が落ちきる前に(11)

保健室のドアを開ける。『先生居ないじゃん!俺、教務室行ってくるからお前待ってろ!』彼が慌てて言い直ぐ教務室へ向かった。

直ぐ養護教諭と担任が来た。

養護教諭は彼女の指を見て慌てて言った『直ぐ病院に行かなきゃダメ!とりあえず、氷水で冷さなくちゃ!』銀のボウルに氷と水を素早く入れテーブルの上に起き、『この中で小指を冷やしててね!冷たいけど我慢よ!先生、電話してくるから、水上くんそこに居てね!』慌てて保健室から出て行く先生達。静かな保健室。

彼女は痛みに耐えながら、そっと氷をよけ指を入れる。

『冷たっ!』思わず口にし、指をボウルから出してしまった彼女。

冷たいボウルに彼の右手が入る。

『冷えなぁ(笑)お前も指入れろ!』

彼女も指を入れる。

『蓮くん、冷たいから手出しなよ。』心配そうに言う彼女。

笑いながら彼は言ってごまかした。『サッカーしてて暑かったからちょうど良いかなぁと思ったけど…冷たすぎるな(笑)』それでも手を氷水から出さない彼。

少し場が和む。

『蓮くん、いつもごめんね…』彼女が氷を見つめ話し出す。『昼休み…私嘘ついてた。本当は泣いてた。蓮くんに嘘言われたと思って、疑ってた…でも、蓮くんが教務室に呼ばれてたって聞いて、疑ってた自分がムカついちゃって…』

ニコッとした顔で彼女を見る。

『俺が嘘つくわけないだろ。俺は嘘が嫌いだから絶対つかない。ありがとうな!話してくれて。だって、俺、お前の…』2人は目を合わせた。キョトンとする彼女に目を泳がせた彼。その瞬間、保健室の壁時計が鳴る。17時だ。音楽と共にクルクル可愛いキラキラした妖精の人形達が踊りだす。『これが、からくり時計…』図鑑と写真が違うが、からくり時計に目がいく彼女。

彼の話を全部聞けないまま、からくり時計の音楽が止まると同時に、彼女の母親が迎えに来た。ボウルから手を素早く取り服で水を拭う彼。怪我する時の状況を先生と母親に話をした。

『ごめんなさい。俺がサッカーに誘ったんです。』下を向き小さな声で話す彼。それに対して先生に謝る母。

『うちの子が悪いんだから気にしないで。』母親は彼に話した。

先生達と母親が話をする。

彼がいつもと様子が違うのに気付く彼女。静かに立たずむ彼。彼の右手は冷えて赤くなっていた。

彼の様子が気になる彼女を母親は手を引き保健室から出て行った。

『これから、病院で診てもらう。』苛ついてる母親の声。

学校から病院までは数秒の場所だったから彼女も母親も無言で病院へ行った。

すぐレントゲン。名前が呼ばれて診察室へ。

『痛かっただろ〜。前のお腹の痛みよりはまだそこまでじゃないよなぁ?小指折れてる。骨折だね。小指を固定すれば大丈夫。』この医師は以前、彼女の命を救ってくれた先生。見た感じヤクザ!?髪型はリーゼント、眼鏡をかけていかにも!と思う人。

『また手術するか?どうする?手術した方が治りは早いけど…』彼女に聞く先生。

彼女の言葉をヒヤヒヤした状態で見つめる母。

『手術したくない。』彼女の言葉にホッとする母親。

『わかった。じゃ、毎週診せに来てね。あと、固定するからあんまりヤンチャな遊びするなよ〜。』

『はい!』

先生は彼女の頭を優しくポンポンと触れながら『良い子だ。』一言だけ良い看護師に指示を出し、指に湿布、添木、包帯…優しく声掛けしながら手当てをしてくれる看護師。

看護師になりたいなぁ〜。優しくて笑顔で…カッコよくて…いつも患者さんのそばに入れて…いいなぁ〜。祖父を亡くしてから看護師になりたいと思っていた彼女だったが、この日から看護師になりたいと強く思い始めた。


会計窓口に着く。

『時間外となりますので明日受付開始時間からでも次回の診察の時でもいいので、お支払いをお願いします。』

車に無言で向かう彼女と母親。

また彼女は地雷を踏んだ。

帰宅後。

『お姉ちゃん大丈夫?』妹の声に『大丈夫だよ。』心配してくれるのは妹だけだった。

学校へ電話する母親。『ご迷惑お掛けして申し訳ありませんでした。』

そして再び受話器を持ち同じ内容を何処かに電話をしていた。

電話を終え両親が揉め始めた。いつもの事だと思い妹とテレビを観る彼女。

『何で、骨折する!?』苛立ち始めた父親。

『男の子達とサッカーして遊んでたみたいだよ!』母親は夕食を作りながら言う。

彼女の中で、嫌な予感が心臓の心拍数を上げる。

『金はどうするんだ!?誰が払うんだ!?学校か!?男の親か!?俺は金、持ってねーからな!』怒鳴る父親。

『そんな事言われても、どうしようも出来ない!月賦で払うしなないでしょ!?』母も負けじと怒鳴り返す。

『誰に向かって言ってる!?この野朗!』父親の怒りはMAX。母親に手を上げる。

『痛いから辞めてよ!あの子が男の子達と遊ぶからだ!』恨むように声を上げ言う母親。

足音はこっちに向かってきた。

彼女は思わず立ち上がった。

『お前が男と遊ぶからだ!ふざけるな!家は金がねーんだよ!馬鹿野郎!男と遊ぶなら髪切って男になれ!』父親は彼女に罵声を浴びせ、大きな手で頭を叩く。

母親も父親を止める事なく一緒に彼女を追い詰める。『お前のせいだ!お前のせいでご飯食べれなくなったら、どうする!?許さないからな!本当は男で生まれてきて欲しかった!』

『ごめんなさい!ごめんなさい!許して!ごめんなさい!』両手を合わせ拝みながら謝り、土下座をする彼女。

それでもかと思うほど気が済むまで罵声を浴びせる両親。

小指の包帯が取れ始める。

『そんな物、取ってしまえ!』強引に包帯、添木を取る父親。見て見ぬふりをする母親。冷静に様子を見る妹。誰も助けてくれない。

『親なんていなくなればいい。お爺ちゃん…逢いたいよ…』泣き祖父の遺影の近くで泣きながら両親にずっと謝り続け彼女はもぅ、心も身体もボロボロだった…

『男の子で生まれてきて欲しかった…』

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