#砂時計の砂が落ちきる前に(10)
『時計に例えたら、多分俺…からくり時計だなぁ(笑)』彼は笑いながら言った。
彼女は聞く。『何でからくり時計なの?』
『何となく(笑)からくり時計って、時間になると音楽が流れて、人形が動き出すだろ?その時計を見てる人って笑顔になっているんだよね。』小学4年とも思えないほど大人の発言をする彼。その後もすぐ、『ほら、俺って皆んなの前で面白い事するじゃん?そうしたら皆んな笑って笑顔になる。だから、俺はからくり時計みたいっうこと(笑)』
彼女は納得し再び図鑑のページをめくりはじめた。
『あっ!』彼は声を上げてページをめくる彼女の手を止め『お前は…』彼は図鑑に指を指す。再び彼は『お前は、コレだな!』指の先には"砂時計“の写真。
『お前は砂時計だなぁ(笑)』笑顔で言う彼。彼女は何故、砂時計なのか気になり聞こうとした瞬間、チャイムが鳴った。
2人は元の場所に図鑑を戻し教室へ戻る。教室までの間に彼女は、なぜ"砂時計"なのか?聞きたかった。
『ねぇ、なんで…』彼女は彼に声をかける。
『おーぃ、蓮!』後ろから彼の友達が声をかけてきた。友達の所へ行く彼。
彼の友達は彼が行くと皆んな笑顔になっていた。
『からくり時計』かぁ…
一人で教室に戻る間も、彼女は後ろを振り向き彼を見る。彼も笑っていた。素敵な笑顔だった。キラキラ眩しい太陽の様に見えた。
彼女は彼が言っていた『砂時計』の意味が少し気になっていたが、勝手に解釈していた。『まぁ、私は地味だし』彼女の中での『砂時計』はカップラーメンにお湯を入れ、砂時計の砂が落ちきったらラーメンが食べれる事を静かに知らせる地味な時計。そんなイメージだった。
時間は過ぎ放課後になる。
『グラウンドで待ってるからな!』元気な彼の声。
ランドセルに荷物を詰め込み、急いでグラウンドへ向かう彼女。
グラウンドに着き、彼の仲間たちと一緒にサッカーを始める。彼女はゴールキーパ。
ジャンケンで負けたからしょうがない。
ボールを取り合う彼らを見つめる彼女。
赤とんぼがゴール網に止まる。
まだボール来ないよね?自分の方にボールが向かって来ないか確認し、人差し指をクルクル回しながら、そっと赤とんぼに近づく。
もう少しで赤とんぼを捕まえられる。
『ボール行ったぞ!』彼の声が聞こえた。
とっさにコートを見る。右側にボールが飛んで来た。取れる!彼女は確信した。
"バキッ“激痛が走る。
ボールはゴールの中。
右手小指が痛い。左手で小指を押さえる彼女。
『何で取れねーの!?やっぱ女はダメなんだよ!使えねぇー奴!蓮、そいつ置いて帰ろうぜ!』一人の男子生徒が言い始めた。それにつられ、数人の男子も『使えねぇー(笑)ダッサ(笑)』
『お前ら、先帰ってろ!こいつを保健室まで連れて行ったら、すぐ追っかける。』彼の言葉が耳に入るが痛過ぎて、『大丈夫!』って笑って返そうとしたが、それどころじゃない。
ゆっくりお互い無言で保健室へ向かう2人。2人の影は夕陽に照らされ大人になったかと思えるくらい背の高い影が地面に写る。




