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ロボット兵器

 カレン、まもる、要一の三人の前にはまだ煙の上がる広範囲な焼け野原が広がっていた。そこには建物の土台のようなものだけが残り、他には焼け焦げたガレキや色々なものが転がっている。


「ひどい状況ですね」


 カレンはそれだけ言ってその焼け野原を見回した。


「これって、さっき要一君が言ってたロボットの仕業だったりとか」

「わかりませんけど、でもあれだったらこれくらいできそうですよ」


 そうして三人が歩いていると、カレンが立ち止まり、瓦礫が積もっている場所に目を向けた。すると、その瓦礫がわずかに動いていた。カレンは黙ってそこに近寄ると、その場所の瓦礫を素早くどけ始める。


 要一とまもるもすぐにそこに駆け寄ると、ちょうど地面に頑丈かつ重そうな扉が見えてきたところだった。


「俺が開けます」


 要一はその地面の扉に手をかけると、一気に持ち上げた。その先にあったのは、拳銃を構えた人影だった。


「敵ではないようだな。だが、何者だ」

「あー、通りすがりです」

「妙なことを言う奴だな」


 人影は銃を下ろすと、姿を現した。その男はまだ若く、シャツにベスト、ジーンズというラフな格好だった。そして、まもるのことを見てから、カレンを見て首を傾げた。


「剣? 本当にあんたらは何者だ?」

「話すと長いんですけど、どこか落ち着ける場所は」

「それならまずはこの周囲に危険がないか見回るのに付き合ってもらおう」

「いいですよ」


 それから男は扉を閉め、先頭に立って歩き始めた。


「そういえばまだ名乗っていなかったな。俺はケイランだ」

「要一です」

「まもる、よろしく」

「カレンです」

「ヨウイチにマモルにカレンか。お前達もこことは違う世界とかいうところから来たのか?」

「お前達も、ということは私達以外にもこことは別の世界から来た者がいるのですか」


 カレンが聞くと、ケイランは頭をかいて首を縦に振った。


「ああ、あいつらが来てからここは滅茶苦茶だ」

「あの巨大なロボットのせいですか?」

「ロボット? あのでかいガラクタはそういう名前なのか」

「いや、俺の世界ではそう呼ばれてるっていうだけです」

「そうか、ロボット、ロボットな。これからは俺達もそう呼ぶことにしよう」

「あれがどこから来ているかはわかるのでしょうか?」


 カレンが聞くとケイランは首を横に振った。


「わからない。ただこの近くでないだろうな。俺もだいぶ遠くまで偵察に出たんだが、それらしきものは見当たらなかった」

「そうですか」


 カレンは口を閉じて何かを考えているようだったが、そこにまもるが近づいた。


「巨大ロボットが敵だったら、なんで要一君が襲われなかったんですかね」

「情報がうまく伝達されていないのかもしれませんね、それとも」


 カレンはそこで言葉を切ると、ケイランに顔を向ける。


「ケイランさん、ロボットは空を飛んでいるときに人間を確認できるのでしょうか?」

「いいや、連中が飛んでたら地面の人間は見つけられないはずだ。おかげで俺も遠くまで偵察に行けたんだがな」


 そうして話しているうちに、焼け野原の安全は大体確認できた。


「とりあえず問題はなさそうだな」


 ケイランがそう言うと、いきなりカレンはショートソードを抜いてその身体を押し倒した。次の瞬間その上を銃弾が通過して、後方に着弾する。まもると要一もすぐに地面に伏せて上空からの銃撃を回避していた。


「なんだ!?」

「動かないでください」


 カレンはそう言いながら髪と瞳を白銀に染め、その身を漆黒の鎧で包むと、一気に立ち上がってさらに飛来してきた銃弾を白銀の剣の一振りで消し飛ばした。


 それを見て唖然としているケイランを尻目に、まもるは変身し、要一も次元の鉄槌を呼び出した。


「お二人はケイランさんをお願いします」


 そのカレンの視線の先には、まもるの姿を二回りも大きくし、両手が長い銃になっているものが三体降下してきていた。


「あれって、パワードスーツ!?」


 まもるは驚いていたが、それでも銃を手に取ると、そのパワードスーツのようなものに向けて撃つ。だが、すでに散開していたためにそれは回避されてしまう。


 しかし、カレンはそのうちの右の一体に素早く迫ると、袈裟切りに剣を振るった。その一撃はパワードスーツのようなものの胴を切り裂き、真っ二つにする。そして、カレンが飛び退くと同時に爆発した。


「無人です! あと一体は頼みます!」


 そう叫んでから、カレンは上に逃れたほうを追って地面を蹴った。


「こっちは大丈夫です!」

「オーケー!」


 要一は鉄槌を盾にしてケイランの前に出て守りを固め、まもるはブースターを全開にすると、残りの一体に向けて突進した。


 パワードスーツのようなものはそれに両手の銃を向けるがまもるはマスクの奥でにやりと笑う。


「フルドライブモード!」


 一気に推進力を増したまもるは銃弾をかいくぐると、パワードスーツのようなものの横を通過しながらその脚部に銃を連射した。


 そして急激に軌道を変えて宙返りをするとブレードを抜き放ち、そのまま降下しながらバランスを崩している標的の片方の腕をすれ違いざまに切り落とす。


 さらに、そこから再び上昇して同じように宙返りをするとその逆さまの体勢のまま銃を構えた。


「いけ! チャージブラスト!」


 まもるの銃が光を発し、銃口に集中した。引金が引かれると、それがそのままパワードスーツのようなものの中心に吸い込まれていった。


 その一撃は装甲を貫き、パワードスーツのようなものは小さな爆発を起こすとそのまま動かなくなった。すぐにその上にカレンがしとめたものの残骸が落ちてきて、二体とも潰れた。


 それからカレンは素早く、しかし静かに着地すると、元の姿に戻ってすぐに着地していたまもるに近づいた。


「大丈夫でしたか」

「はい、この程度だったら全然問題ないですよ」


 それからまもるも変身を解除し、二人で要一とケイランの元に戻った。すでに立ち上がっていたケイランは今の戦闘を見てなんと言っていいのかわからない様子だったが、とりあえず口を開く。


「いや、すごいなあんた達。それにしてもあんなものは初めて見た」

「あれくらいならば問題はありません。どうやらあれは対人用の新しい兵器のようですが、無人であれほどの戦闘力ですと、数がまとまると厄介なことになります」


 カレンの言葉にまもるもうなずいた。


「私達ならともかく、ここの人達だと対処できないんじゃないですか? あれじゃ大きいのと違って接近されてもすぐにわからないですし」

「それもそうだな、あれが人間用とすると、俺達も今までと同じようにしてたら生き残れない」


 ケイランは難しい顔をしていたが、そこでまもるが勢いよく手を上げた。


「はい、とりあえずここじゃなんですから、ケイランさんのいた地下に行きましょう。巨大ロボットの爆撃にも耐えられるなら、とりあえず外に出なければ安全だと思いますけど」

「そうですね、いいですか?」


 カレンにそう言われると、ケイランはうなずいた。


「ああ、あんた達が一緒にいてくれるなら心強い。それより、さっきの奴らはもういないのか?」

「それは大丈夫です。ですが、敵はあれが倒されたことに気がつくでしょうから、時間はあまりないですね」

「そういうことなら心配するな」


 ケイランは笑みを浮かべてそう言うと歩き出した。要一はそれに首をかしげたが、とりあえず黙ってついていくことにした。

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