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024 ◇ 部屋に来た神たち

「(誰なの? この部屋を使う神は)」

「(しーっ……美衣子……何者かはわかりませんが、こういった脳内の話までも聞かれてしまう相手かもしれません)」

「(なっ……)」


 誰かが近づいてきている。

 私はその足音をよく聞いてみた。遠くから少しずつ聞こえてきた……タ……タン……タン、タン、タタタタタタン、タ、タ、タン、タタタタタタタタタタン、と、激しく乱れている。酒にでも酔っているかのようだ。

 前方に、歩いている二人の人物? 神物? が見えた。

 あっ、危ないかも……こちらから見えるということはあちらからも見える……。息を止めて全く動かないようにしてこちらに来ている人物を伏せ目がちに見た。ひとりは顔……に位置するあたりがそこだけ光を吸い込んでいるかのように見えづらくなっていてキラリと鋭利な刃物――三日月のような刻印のようなものが刻まれている……ように見えた気がする。葦原国では到底見ることのない、神。現象。

 その神と手を繋いでいるもうひとりの神はなんと……小さな女の子――


「(――美衣子、その方がアマテラスです)」

「(えっ! ……うわぁ! ほんとに可愛いんだね! ……トヨタマの言ったとおりだね)」

「(可愛いですよね? ……それとですね、もうひとりの神もはっきりとわかりました)」

「(えっ、なんていう神!?)」

「(ツクヨミ……です)」

「(あ、あの方がツクヨミなんだ……ていうことはさ、ねえ、トヨタマ。もしかしてこれ、ものすごいチャンスなんじゃない?)」

「(……スサノオが不在であり、仲間になって欲しいということを伝えるチャンスということですよね……)」

「(そうそう! 行こうよ!)」

「(……)」


 珍しく、トヨタマが黙った。何か考えているようだ。どうしたのだろう? 私はこの機を逃した場合、二度とこのような幸運には恵まれないだろうと考えた。しかし向かおうとしない。トヨタマは相変わらず黙ったままで、身体を動かすことができなくなっていた。どういうことなのだろう?

 こちらに向かってきた二人の神は、豊玉姫命が隠れているベッドを使うようだった。であれば、しばらくはチャンスが続くということになるだろう。

 ところで……アマテラスは想像していた姿とは全然違っていて、可愛らしい小学生くらいに見える。真っ白な髪の毛は自身の足のあたりまで伸ばしているようで、すごく美しく綺麗な少女の姿だ。

 そしてもうひとりの神、ツクヨミ。おかしな足音を鳴らしているが……その足音からは、とても嬉しそうな気持ちが伝わってきた。どうしてだろう、別に私は足音鑑定士ではない。……そもそもそんな鑑定士存在しない……いや、世の中最近、分からないからなぁ……意外に存在する……まあそんなことはいいとして。

 神、と言っても色々なバリエーションがあるんだな、となんだか感心していた。踊るように、嬉しそうにしているこのツクヨミという神のルックスはというと……なんていうか、まあ、なんだか月っぽい……うん、月を司っているんだから当然のことだけれども……。

 人の形をしているのに、月を連想させる。そして人間で言うところの顔の位置が特に暗くなっていて、また身体全体はだいたい一〇%くらい透けているようだ。向こう側が見える。

 不思議なのが、一目でもツクヨミの姿を見た次の瞬間には忘れてしまうのだ。そういう特性が備わっているのだろう。アマテラスではそのような現象は起こらなかった。それと……飾りなのだろうと思うのだが、月の、なんだろう、魔法的な何かで浮いているんだけど……んんーと、要は小さな月みたいなものがツクヨミの周囲に浮いていた。あ、全体的に、中世の鎧みたいな感じの質感をまとっているような……そんな感じだ。

 ……ああ、そうか! 喜んでいる様子がりっちゃんに似ているんだ!

 身体がドクンと波打った。トヨタマの姿であるからトヨタマの身体がドクンとなった。


「(トヨタマさ、私に何か隠している?)」


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