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022 ◇ 扉の向こう側

 思い切って鳥居の先にある扉に飛び込んだ。向こう側がどんな世界になっているのか。トヨタマも私も臨戦態勢をとり、そして辿り着く。……少なくとも黄泉国ではない。匂いでそれは分かった。葦原国でもない。窓の外が……窓!?

 この場所には窓がある!

 見回すと、どうやら依然として高天原におり、ここは誰かの部屋のようだった。シンプルなベッドが三つある。


「(トヨタマ、ここに来たことある?)」

「ないですね。高天原に葦原国のような『部屋』が存在するとは思ってもいませんでした」

「(部屋っていうからには、誰かの部屋だよね。高天原だから、少なくともその『誰か』は神ってことになりそうだよね?)」

「そのようですね」

「(一体、誰だろう……)」


 今は誰もいないが、これから来る可能性はものすごく高いだろう。葦原国で陽が沈んだからだ。


「(トヨタマ、ベッドの下に隠れよう)」

「そうですね。ここは安全にいきましょう」


 トヨタマは床に這いつくばり、ベッドの下に潜り込んだ。


「ここで待機だね」

「(ええ。そのようですね)」


 待機することに決まった。ひとまず安全なので、律に連絡を入れようと思った。しかしスマートフォンは圏外になっていた。……そりゃそうか。


 トヨタマは少し前衛から中心へ戻り、私にだけ聞こえるように言った。


「(美衣子は、いつも律さんのことを気にしていますね)」

「(うん。弟みたいなものだからね)」

「(弟……ワタクシには兄弟がいなかったので、よく分かりませんが……)」

「(まあ、私だって実際に弟がいるわけじゃないのよ)」

「(それは把握しています……随分前からイザナミに何度も、美衣子のことを聞かされていたからです)」

「(そのことなんだけど、すごく気になってるんだけど)」

「(イザナミが消えてしまったのでもう真実は分かりませんが……聞いた話を簡単に申し上げると、美衣子の血筋に理由があり、そのためワタクシの緊急時避難場所として美衣子の部屋だと聞かされていました)」

「(血筋……実家が神社だから、なにかしら関係があるのかな?)」

「(そうです。ですからワタクシは美衣子に半分を渡したのですが……普通はそれだけで神になれる人間はほぼいないです)」

「(え!? そうなの? 意外と簡単に神になれちゃうんだとばっかり思ってた……)」

「(例えばですね、今は半分ずつ神の座を持っていますが、普通の人間と契約するとした場合、半分渡そうとしても渡せません。扱うことができないからです。ですので、ほんの少しだけを渡すことになるか全く渡せない結果となるか、いずれかとなります。つまり人間が神になるということは、そう簡単ではないということですね)」

「(そうなんだね……)」

「(スサノオを簒奪した老人には扱えるだけの資格があったということですので、例外であり、また、美衣子も例外です)」

「(なるほど、そういうことなのか)」

「(はい。そして、美衣子の血筋なのですが、血筋を辿っていくとですね、ワタクシと――)」

「(誰か来た!)」

「(……心静かに……)」

「(……)」

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