021 ◆ 三貴神「天照大御神」
目の前――というか、目の下のほうにアマテラスがいた。
俺は……見惚れた。アマテラスは、美しい白髪が足元あたりまで伸びていて、可愛らしい女の子の姿をしていた……小学生みたい……だ。マジで? なんでこんな姿なんだ?
「新しいツクヨミ、何をジロジロと見ておる」
「あっ、すいません。ごめんなさい」
「……ワタシが小さいとか、小学生か! とか思っていただろう?」
「いえ、そんなことは全く……」
「そうかな……よいよ、許してあげる。だってそういう姿だから……」
「そうですよね」
「今、ロコツに同意したな、ツクヨミ?」
「ええっ……」
「よいよ、許してあげる」
「はぁ……?」
なんだろう、この子。なんかすげぇ可愛い……。兄妹なんだよな。決めた。絶対妹にする。本気で。ていうか実際、妹のはずなんだよな?
「新しいツクヨミ! 仕事を与える!」
「はい!」
どんな仕事だろう。アマテラスの警備とかだったら、すっげぇ嬉しいんだけど。
「スサノオを監視!」
「はっ! ……え?」
「……え? ってなに?」
「え? はですね……スサノオはいつでもどこでも呼び出せますし、なんだか友だちみたいな関係でして……」
「いや、兄弟だろう? ワタシも兄妹だ」
「……はい。その兄弟を監視するんですか?」
「うむ……お主にしか出来ない仕事だ」
確かにそうかもしれない。高天原でスサノオを呼び出す方法はよく分からないが、葦原国ではいつだって呼び出せる。様々な情報を引き出せるだろう。
「具体的に、アマテラスちゃんはどんな情報が欲しいんですか?」
「アマテラスちゃん!?」
「あっ……」
「ツクヨミ……思いっきりちゃん付けでワタシ呼んだな……?」
「つ、つい……きょ、兄妹だからかな……す、すいませんでした」
「……ゃん」
「はい?」
「……アーちゃんって呼んで?」
ああっ、何それ! キュンとした。うぁあ可愛いな、アーちゃん! すげぇ可愛い!
「い、いいですね! アーちゃん!」
「うむ! それがただしい」
「アーちゃんは、どんな情報が欲しいの?」
「新しいスサノオはさいしょに人間なのに神の座をさんだつして、イザナミをころした。その理由がわかんない。イザナミはいちおうだけど、さんきしんから見てぎりの母にあたる。新しいスサノオは、あばれすぎている」
「ああ、その理由は知っています」
「えっ、ホント? おしえて?」
「あっ、う、うん。ええと……人間だった頃に死にかけたみたいで、その時に一時的に黄泉国に行ったらしくて。それでイザナミに地獄へ落とされて、地獄を体感した。その後、生き返ったそうなので、地獄は五分ほど体感しただけらしいのだけど」
「……なるほど。あの地獄へ行ったのか、ナットクできる」
「たったの五分ですよ?」
「五分でもすれば、だれもがイザナミを恨む」
「そんなに酷いところなんですか?」
「ぱないの」
「……えっ?」
「ぱないの!」
「あっ、はい! ぱないんですね!」
「うむ」
ぱないのって、どこかで……。まあだいたい意味はわかるけど。
そして、アーちゃんは腕を組んで、何か考えているようだった。
「知りたいこと、もう分かっちゃった……」
ああ、そうだったんだね……。




