002 ◇ 電話
大学一年生となった私、佐内美衣子は深夜遅くまで大学のレポートに追われていた。律と美衣子とは幼馴染だ。
のちに水無月現象と呼ばれる歴史的瞬間――その異変に遭遇した。スマートフォンが突然発狂し、意味不明な画像を表示し続けた。時計を見ると、ちょうど二時。その現象はそこから五分間続いた。テレビを付けると、どのチャンネルでもこの出来事を報じていた。どうやら世界中で起こったことらしい。
深夜のバイトをしている律のことが気になった。もしかすると、まだ状況を知らないかもしれない。そう思い電話をかけた。
『もしもし? りっちゃん、大丈夫? さっき、変なこと、起こったでしょ?』
『うん……想定できない異常事態が発生したみたいだ……』
『どういうこと?』
『さっぱり分からない』
『世界中がパニックに陥ってるよ』
『世界? そんなことに……美衣子もスサノオとは会った?』
『スサノオ?』
『うん、須佐之男命』
『……』
律の言っていることがよくわからなかった。スサノオと、この現象……どう関わりがあるのだろう。
『今、スサノオって言ったんだよね?』
『そうだよ、スサノオ』
『スサノオとこの現象と、一体どんな関係があるの?』
『誰も見ていないのか? 最初はただの老人だと思っていたんだけど』
『んんー、ちょっと話の内容が見えてこない……』
『……そっかー。まあそうじゃないかなって思っていたんだけど。明日、会える?』
『うん。じゃあ、うちで待ってるからね』




