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015 ◆ 天井修繕

 人間の姿に戻った俺は、疲れてベッドに寝転んだ。

 神になっちゃったんだな……俺も、美衣子も。どうしよう。この選択は間違っていないだろうか? 普通に学校に通う高校二年生でいられたなら、死の恐怖に怯えることもなかったんじゃないか。……俺の場合なんかはそもそも選択肢がなかった。スサノオが勝手に推薦して、それをアマテラスが承認した。でもそれはあらかじめ決まっていたことで、ツクヨミのオーエスを操作できるのが俺だけだからだと……。

 ――よくわからないけれども、東京六大学に推薦で合格したみたいな感じなのかもしれない。超有名な神に承認されたという意味では。いや、そんなレベルの話ではないな……。

 軽い気持ちで炎を出してみたせいで、天井には今も穴が空いたままだ。太陽光が差し込み部屋の床を丸く照らしている。その様子は虚しくて少しつらい……しかしあの炎は……完全に神だ。人間には出来ない。絶対に。今、葦原国にいるけれども、こんなことができてしまうというこの状態の俺は、果たして人間と呼べるのだろうか? 姿こそ人間だけれど……炎も水も出せちゃうし。他にもたくさん出来ることが「ツクヨミ脳」で分かる。普通じゃない。俺はツクヨミだ……。

 しかし今はとりあえず……この天井をどうにかして、それから急いで美衣子のアパートへ行こう。天井の穴をどうするか……これは絶対に母にバレるだろうから、言い訳も考えておかないと。

 さて、と俺はベッドからゆっくり起き上がった。

 片付けに取り掛かる。水でびっしょびしょになったところは雑巾で吸い取り、バケツに絞る。その繰り返し。

 水を吸い取って拭き上げると、少しはまともになった。しかし多くの本が濡れてふにゃふにゃになってしまっている。これは捨てるしかないだろう。

 水でダメになったものをゴミ袋に入れ、外の小さな倉庫みたいなスペースに放り込んだ。本当はちゃんと仕分けをしないといけないのだが……。

 さあ、問題の天井だ。およそ直径三〇センチメートルの穴。どうしたらいいんだ……DIYなんか絶対無理だからな……。

 スマホから生成AIに聞いてみた。


『天井に穴が空いた。どうしたらいい?』


 すぐに回答がずらっと出てきた。……そうか、うちは賃貸だから、まず大家さんに電話するんだな。……えっ、大家さん、誰!? 電話番号知らないんだけど!

 続けてAIに聞いてみた。


『大家さんの連絡先が分からないんだけど、どうしたらいい?』


 回答には「重要書類一式を探してみてください」とある。なるほど。そういえば重要っぽいものを入れている棚が母の部屋にあった。よし、あそこを探そう。

 部屋を出て母の部屋に入った。母は仕事でいない。そう思って、堂々と入ったのだが。

 ……その予想は外れた。母は部屋のベッドにいたらしく、扉を開けて無言で入ったら母がいた。しまった。


「律……さっき律の部屋のほうでものすごい音がしたんだけど……何してたの?」

「ああ、なんかさ、突然空から隕石みたいなのが落ちてきて、それが俺の部屋に落ちたんだよ。危なかったマジで。死ぬところだった。その隕石みたいなやつは燃え尽きたけど、天井の穴とかに火がついて燃え広がりそうになったから、水を必死にぶっかけたりしていたんだよ」

「……律、それって相当ヤバい事態じゃないの? 消防でも呼んだほうが良かったんじゃない? さっきの音が本当に恐ろしくて、わたしはここで固まっていたの……なんかその、全然関係ないかもしれないけど、おじいさんみたいな人の叫び声も聞こえた。うぉーみたいな、聞こえたのよ。なんかそれはそれで違った意味で怖かった。本当に……隕石だったの? それにしたって、まず誰かに……私でもいいから、助けを呼びなさいよね」

「母さんは仕事に行ってると思ったんだよ……それにまああれは隕石だとは限らないよ、なんかそれっぽいものだったっていう話で……」

「隕石っぽいものって他にどんなものがあるのよ……あとそれと、どうして急にこの部屋に入ってきたの?」

「大家さんにすぐ連絡しないといけないと思って。でも連絡先が分からなかったから、重要書類一式を探しに来たんだ。賃貸借契約書ってやつを見つけるために」

「へぇー……まあ、わかったわ。大家さんには私から連絡する。ちょっと部屋、見せてね」

「うん」


 天井の穴の処理については母がやってくれることになった。物分かりのいい母で助かった……。

 それにしても、ツクヨミという神は一体、何をしているのだろう……。

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