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ソウル・ロンダリング ある日突然、裏導師 ~南大阪御伽草子~  作者: 富田林 浩二
第二章 遺ー産ハント

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第二章 遺―産ハント 第一節 ボーン・トゥ・ビー・特異体質

 令和七年 二月十三日(木曜日)


 誰かが角成の耳元で

「起きて」とささやく。

「起きないと、キッスしちゃうぞっ」

 ガバッと角成は起き上がった。

 おそろしく寝不足だったので、急な挙動に頭の芯がジーンと痛む。

 般若さんはソファーで眠っていた角成を、

 ……彼女なりに、優しく起こした。

 昨日の抱擁から般若さんは角成への距離を、急速に詰めてきた。

 あれから昨日、というか今朝の三時頃まで角成たちは起きていた。

 角成は疲れていたので、そのままソファーで眠り、なんとなく泊ってしまった。

 玄宗さんはものすごくお酒に強い体質のようで、発泡酒に始まり、フルーティーチューハイ、赤と白のワイン、変な形をしたボトルのブランデー、ラベルの貼られていない紛れもなく怪しいテキーラやラム酒まで……。

 それらの酒類を、ワンカップを飲み尽くした般若さんとともに、二人とも水のように飲んだ。

 般若さんは『鬼』だから多少の特異体質でも驚かない、が、玄宗さんは妖怪並みの特異体質みたいだ。

「朝ごはんできてるから、食べてって」

 般若さんがにこやかに言った。

「う~ん、どうしようかなぁ、……食欲ないなぁ」

「だったら味噌汁だけでも、そうそう、口移しで飲ませてあげよか?」

 角成はほっぺをブルブルならして首を振った。

「かっくん鬼とキスしたら寿命が三日縮むで」

 先にテーブルでハンバーガーを食べている玄宗さんが言う。

「あっ、それやったらさっき寝てる間にこっそりいただいちゃったから、かっくん何日か寿命縮んだわ」

「えぇーっ、そんな。しかもファーストキスが……」

「いいねぇ、般若っちのその一連のお調子者感。かっくん別にええやんけ、オオカミの牙とキスした後に鬼とキス。ナイス・チャレンジャー」

 玄宗さんがガッツポーズをした。

「してへんしてへん。安心して、襲ってナ・イッ」

 般若さんの言葉に角成は一応ホッとした。

(でも、本当に縮むんだろうか、……寿命が)

 そんなことを聞く勇気は角成にはない。

 また、どうせ聞いたって、この流れなら、

「じゃあ試してみる?」とくるだけだろうし。

 角成はゆっくり立ち上がった。

 昨夜の緊張と寝不足で身体中の関節がこわばっているようだ。

「はい、これ。半身浴しておいで」

 そう言って般若さんは、バスタオルと新品の下着を差し出した。

「あのぉ、でも、これ……」

「あっ、それ全部私の。かっくんにあげる」

 般若さんは黒いセーターにデニム地のミニスカートを今日は着ている。

 そのスカートの下にトランクス? 

「ウソやウソ。俺がさっきコンビニに行った時に、ついでに買うてきたんや」

 角成は遊ばれているようだった。。

 角成がお礼を言い般若さんの案内でバスルームに行く。

 大人三・四人が横に寝て並んでも入れそうな広いタイルの浴槽を角成一人で独占する。青い色のお湯も気持ちがいい。

 角成は生き返ったような気分だった。


 角成は昨日あったさまざまなことを順を追って思い返した。

 方向音痴の角成が地図を頼りにここに来たこと。

 アルバイトをしてくれと言われたが、最初は『匿名・流動型』か何かアヤシイことをしているのではないかと疑ったこと。

 断るつもりでここに来たのに、おばあちゃんと現代科学では不可能な再会をしたこと。

 そして、おばあちゃんを見送り、超美形の鬼のお姉さんと、美形だがよくわからない男の人と夜遅くまで語り合ったこと……。

 そして今は寝不足で半身浴。

(いいのだろうか? これで?)

 そう思った時、「ガラッ」と風呂場の戸が勢いよく開いた。

「大丈夫―っ、起きてる? 寝てなかったら背中流すよっ!」

 角成は滑って溺れそうになった。

「いっいえ、け、結構です」

「遠慮は罪よ。それに破魔子さんに頼まれたんよ『かっくんの背中のひとつぐらい流してやってね』って」

「ホントに?」

「ウソっ。無駄な抵抗はやめて早く来なさい。草葉の陰でおばあちゃんが泣いてるよ」

 昭和の立てこもり犯に対する説得のような妙な言い回しに、角成は言い返せなかった。

 令和の高校生な角成はあきらめて、必死で股間を隠しながら風呂椅子に座る。

「いきますよ」

 般若さんは石鹸を付けたタオルで角成の背中に何か文字を書いている。

「何書いてるんスか?」

「おまじない」

「何の?   ……って言うても、「恋の」とかは無しですよ」

「バレてた。身体から魔物を追い出すおまじない」

「えっ、僕何かに取り憑かれてたんスか?」

 その時、勢いよく玄宗さんが入ってきて角成の横に座った。

「おう、俺も頼むわ」

 般若さんは返事もせずに、右手で玄宗さんの背中を、左手で角成の背中を一定のリズムを取りながらマッサージの要領で文字を書いている。

「かっくんは疲れ、夜更かし寝不足の疲れ。まっ、魔物ってほどでもないか。んで、玄ちゃんの場合はアルコール。昨日言うたでしょ、お酒のこと般若湯って。お酒を飲むと性格が変わる人がいてるでしょ、アレを魔物とかトラが取り憑いた状態って昔の人は喩えたんよ。だから、泥酔者や二日酔いの人は身体中で魔物が暴れ回ってるっ、てこと」

 ということは、玄宗さんは鬼に魔物を追い出してもらっているようだ。

 角成はそのことを聞いてみた。

「あのぉ、般若さんって……」

「そう。鬼をもって魔物を制す。鬼の道は鬼。効くよぉ~、鬼のように」

 そう答える般若さんは、勘も良いようだ。

 タオルでのマッサージは、効くかどうかは別として、痛みなど全く無く、角成は大変心地良かった。

「よしOK。これでもう少し温まったらかっくんは疲労物質、玄ちゃんはアルコール抜けるよ」

 そう言って般若さんは二人の肩を勢いよく「パシーン」と叩き、出て行った。

 もう一度青いお湯に浸かっていると、本当に角成の毛穴からは疲労物質が、玄宗さんの毛穴からはアルコールやアセトアルデヒトが出て行くようだった。

 二人ともお湯に浸かっていると頭がスーッと冴えてくるのがわかった。

 そして角成は冴えてきた頭で一つのことがわかった。


 玄宗さんと般若さんは、『シャイ』なのかも……。

 昨日もおばあちゃんとの別れに、落ち込む暇を与えずに、笑わせたり和ませたりしてくれたり、今も寝不足過労の角成を気遣ってこうして入浴させてくれている。

 でも、それを直接言うと恩着せがましくなるので、ああやってワル乗りめいた冗談で角成を困らせるフリをしながら、あれこれと世話を焼いてくれている。

 角成にとってこういう人間関係は、家族以外では若菜だけだ。


 角成は小学生の時に、激しいイジメに遭った。

 忙しい両親に心配かけまいと黙っていたので、この地球上で角成の力になってくれたのは若菜だけだった。

 だが、若菜が中学校に上がると、バカな小学生たちの箍が外れる。

 登校後から下校前、要するに学校内にいる間は誰も助けてはくれない。

 集団での言葉や腕力での暴力。

 何人かいたイジメ常習者たちの、突然後ろからの飛び蹴りや、通りかかりのビンタ、なども経験した。

 だが、担任の先生は一切救いの手を差し伸べてはくれず、校長はじめどの先生も見て見ぬ振りを通した。

 それ以来、親しい友達、気軽に話をする仲間、それどころか、挨拶を交わす顔見知りすら、中学・高校に入学してからも、角成は一人として作らなかった。

 それは角成自身が周りに高い塀を張り巡らせ、誰も近づかないように、悲しき自衛手段をとっていたからでもある。

 角成は、『いつもひとり』、『ときどき若菜』、『のち一時両親』、が当たり前になっていた。

 そして今、『彼女』どころか、『仲間』『親友』どころか、『友達』という言葉すら、角成にとっては虚ろな響きしか持たなかった。


(仲間……、なのだろうか。僕が仲間と呼んで良いのだろうか、この人たちを……)


 角成がぼんやりとそういうことを考えていると玄宗さんは、

「お先にっ!」

 と言ってあがって行った。

 角成が、

(そろそろ出よう)

 と思った時に「ガラッ」と、また風呂場の戸が勢いよく開き、

「ぬるかったら言うてね。私が火をブワーッと吹いて温めるから」と般若さんが勢いよく真顔で言った。

 再びの突然の出現に、角成はまたしても湯船で滑り溺れそうになった。

「……それから、出る時にお湯抜かんとそのままでいいからね。かっくんいつも湯舟きれいにしてあがるんでしょ?」

「どうしてそこまで知ってるんですか?」

「これは私の予想が当たった。かっくんお父さんとお母さんに協力する意味で、掃除担当してるんちゃうかな? って思って」

 角成は黙ってテレたような顔になってしまい、何とかごまかそうとしたが、あきらめて何も言わなかった。


 角成がお風呂からあがると頭も身体も別人に生まれ替わったようにスッキリしていた。

「どうぞ」と般若さんはグレープフルーツジュースと卵雑炊を出してくれた。

 角成はジュースを一気飲みして、雑炊を食べる。

 懐かしい。

 角成が熱を出した時におばあちゃんが作ってくれた雑炊だ。

「おいしい。いいお嫁さんになれますよ」

「鬼嫁やけどね」

 般若さんはフフフと笑う。

 控えめな姿も美しい。

「コレも破魔子さんに教わったんよ、わかってると思うけど。でもね、かっくんは致命的なマチガイ犯してて、それ作ったのは玄ちゃん」

「鬼の姉ちゃんがお風呂覗くのに必死やったから、俺が作った」

「今度ツノで刺していい?」

 般若さんは両手で闘牛の牛のようにツノを作り、顔を下に向けて言った。

「鬼のションベンが入ってるお湯は初めてか? 青いお湯気持ち良かったやろ」

 角成は目が点になる。

……溺れそうになった時に、角成は少し飲んでしまっていたのだ。

「もぉ、ヤメテ、下ネタは。あれは市販の入浴剤。漏らしてないよ、私は、……今日は」

 さっき角成は風呂でこの人達のことを好意的に考えたが、単に角成をオモチャにして楽しんでいるだけに思えてきた。

 だが、角成はその方が嬉しかった。

 幼稚園以来の感覚に、懐かしさと新鮮さを覚えた。


「今日は何か予定ある? 無かったらちょっと手伝ってよ」

 玄宗さんがアルコール検知器で、0%を確かめながら言った。

 平日なので、角成は当然学校に行かねばならない。

 腕時計を見ると七時半を過ぎている。

「うわっ、ヤバっ。八時半登校!」角成が急いで立ち上がる。

「なぁーんや、予定あんの。だったらこっちの予定明日に伸ばすか、でもうーん、困った」

 そう言って玄宗さんは、角成の荷物、おばあちゃんから譲り受けた大神様やノート、その他を包んだ大きな紫の風呂敷を渡してくれた。

 その丈夫そうな厚手の風呂敷には、ド真ん中に梵字が一文字染め抜かれていた。

 なかなかオシャレだ。

 角成は急いで裏に回り自転車を持ってくる。門のところでおふだを剥がし、玄宗さんに返した。

「自転車、気ぃ付けてな」

「またね~」般若さんは投げキッスをした。

 それを見て、昨日玄宗さんに言われたことを思い出したが、

 ……出来ない。

 角成は投げキッスを受け取った手を大事にポケットにしまって、ポケットをポンポンと叩いた。

 玄宗さんは親指を上に向けてうなずいている。

 般若さんは、

「ピュア~」と言って微笑んだ。


 路地の出口までは、白と黒の猫が見送ってくれた。

 角成は猫たちに挨拶した後、片手運転で自転車を必死にこいだ。

 だが、一キロも走らないうちに、前後輪共にパンクした。

 角成の人生では、『困る』という時を選んでこういうトラブルが発生する。

 小学生の時のイジメもそうだった。


 ことの発端は角成が小学校低学年の時、角成の父さんが経営していた会社が倒産の危機に瀕した際、切羽詰って借りた高利貸しからの容赦ない取り立てを知った同級生たちが、最初はからかい、次は暴力、そして若菜の介入後は集団無視、若菜卒業後は再び暴力。

 角成はその後小学校生活では、まともに誰かと喋ること、それどころか、目を合わせることすらなかった。

 そのことが原因で角成は人との関わりに、特に同世代の人間とのあいだには、濃く太い線を引き、こちらがその線を越えることも、向こうが越えてくることも決して無かった。

 これは先生、というか、大人に対しても同様で、ある意味両親でさえ、特に父親に、角成は一定の線を引いていた。

 しかしそれなのに角成は今日、女性に、……一応大人の女性の姿をした人にまで、かなり親しげに会話をしていた。

 さっきまで味わっていた、あの心地良い緊張感。

 愛情や思いやりそれに優しさ、それらを互いに与え合うことで、何でも言い合える間柄、いわゆる友達関係になれることを、角成は十六歳にしてものすごく久しぶりに味わった。

「ブランク長いは低音の魅力、って、父さんがよく言ってたやつだ」

 独り言を言いながら自転車を押していると、自転車の各所からギシギシ、キーキー鳴り始めた。

 角成は勘が鈍い方である。

 だがこの自転車に関しては、かなり高確率に的中しそうな『不吉な予感』がしていた。


 角成がボロボロになりつつある自転車を駐輪場に置き、マンションの階段を急いで登るとドアの前に若菜がいた。

「あんた朝帰り? 昨日の夜から何回も電話してるのに、どこで何してたんよぉ。あんた携帯持って出てへんかったん、何のために携帯の契約してんのよ……」

 若菜が一気に喋る、……いつものように。

 角成が「ごめんごめん」と言いながらドアを開けて若菜と家に入る。

 家の電話が「留守電メッセージを預かっています」と点滅している。

 八件中七件は若菜だった。

 残り一件は担任からで、公共交通機関の遅延が出ており、今日は特例で一時限目の授業が自習になり、しかも二時限目からの登校でも遅刻にならない、という連絡であった。

 これはラッキーだった。

 角成がダイニングで椅子に座ると 若菜がいつものように勝手に冷蔵庫から野菜ジュースを出して飲んでいる。

 若菜が角成の方に野菜ジュースを一パック投げながら、

「昨日あれから道明寺さんの所に「届けましたよ」って言いに行ったら、「葛葉さんによろしく」って伝言頼まれたんやけど、葛葉さんってカクナリのおばあちゃんやよね。道明寺さん認知症はないし、人を騙して喜ぶ人、でもないし。何~んか納得出来へんねんけど、カクナリどういうことかわかる?」

(うん、昨日あれから葛葉おばあちゃんとおじいちゃんに会って、その後で美形の男女、但し女性は鬼、と一緒に深夜まで語り明かしたました)

 ……言える訳がない。

 角成は仏壇の前に行き扉を開け、風呂敷包みを前に置き、お灯明とおじいちゃんとおばあちゃんにと二本の線香を上げ、般若心経を唱えた。 

 角成は小さい頃、おばあちゃんの膝に乗り一緒に手を合わせて般若心経を唱えていたので今でもこれだけは空で言える。

「おばあちゃんに報告しといた」

 角成は苦し紛れに言ってみた。

 若菜は、

「仏壇に向かって報告か……。フツーはそうやよね。まっ、それでええか」 と言い、一応納得したような顔をした。

 ガスコンロと線香とろうそくが消えているのを確認し、角成は若菜に学校まで送ってもらった。


 授業が終わりバスが来るまで停留所周辺でブラブラしていると、この周辺に暮らす首輪の付いた放し飼いの犬が一匹、近付いて来た。

 この犬は角成が外で昼ご飯を食べていると、学内に侵入して来て、いつもおねだりに来るヤツだ。

 いつもは元気で走り飛び回っているのに、今日は妙に大人しい。

 頭と尾まで下げている。

 体調でも悪いのだろうか?

 角成は心配になり近くのコンビニへ行き、ちくわを買って犬に差し出した。

(あれっ? 食べない)

 いつもは角成の膝に前足を掛けて弁当箱を覗き込んで、スキあらば盗み食い、という顔をしていた犬がどうしたのだろう。

 角成が少しかじって「おいしいよ」と出すと、今度はひどく遠慮がちに食べる。

 角成はこの犬を眺めながら、

(オオカミって大きさはこれくらいかな?) と考えた。

 その瞬間、犬はビクッとして食べるのをやめて後ずさった。

(何? ……どうしたの?)

 その時、真っ赤なオープンカーが角成の横に止まった、

 その犬は一目散に逃げて行った。

 運転席には玄宗さんが座っている。

 玄宗さんは挨拶もなく、

「犬が怖がるやろ、破魔子さんもそう言うとったわ。あいつらは大神様が見えるんかなぁ。……たしか犬って視力良くなかったよなぁ。……じゃ、におい?」

 そう言った。

 角成は『犬はオオカミを怖れ敬う』そんなことをどこかで読んだか聞いたかした覚えがあった。

 本当なのだろうか。

「今度チワワ見たらガン飛ばしてみ。即死するんちゃうか」

 そんな動物虐待、角成は絶対にイヤだった。

……まぁ、冗談だろうけど。

 角成がイヤ~な顔をしていたのだろう、玄宗さんは、

「機嫌損ねずに乗り。送って行くから」と言った。

 助手席には昨日角成が持って帰ったおばあちゃんから受け継いだ風呂敷包みが。主の膝の上に乗せてもらうのを待つように置いてある。

「これなんでここにあるんですか?」

「かっくんの家に行ったらドアの前に女性がおって、かっくんが忘れ物した、って言うたら部屋から持ってきてくれた」

「ふ~ん、そうですか、若菜姉ちゃんかな?」

「ごめ~ん、急いでて名前はお互い名乗らんかったからわからんわ、とりあえず乗って」

 角成は言われた通りに乗る。


 角成が助手席に乗ると車は軽快に走り出す。

 生まれて初めてオープンカーというやつに角成は乗ったのだが、今日のようによく晴れた日には非常に気分がいい。

 ……身体が異常なほど冷えさえしなければ。

 玄宗さんはこの車のことを、MG-Aと言った。

 イギリス製の古~い車だという。

 できれば横に乗っているのはパートナーが望ましい車、とも言った。

……角成もそう思った。

 車に乗るとすぐにメールが来た。

『さっき男の人に風呂敷包み渡した。仕事で連絡遅れてゴメン。かっこよかった、めっちゃ』

 若菜からだった。

 角成は『ありがとう、受け取りました』とだけ返す。

 携帯電話から目を離すと玄宗さんが、

「ちょっと付き合ってくれる? 一ヶ所だけケリつけんといかんとこあるねん」と言った。

 家に帰っても何もすることなどなかった角成は、素直にうなずいた。

 だが、十五分ほど走った所で車がプスプスと不平を言い始めた。

 玄宗さんは、

「またか、……ちょっと寄り道」と言いしばらく走ると、とあるマンションの駐車場に車を停めた。

 玄宗さんは携帯電話で、車の修理引取りを依頼しているようだ。

「今度は数時間じゃなく、数日は乗れるようにして」と笑いながら言っている。

 玄宗さんは電話を切り、ボンネットを開けて角成を手招きする。

 その車のエンジンルームのエアークリーナーに赤い紙のお札が貼ってある。

 昨日角成の自転車に貼ってくれたのとは全然違う、丸と線が入り混じる、何か意味のある文様なのだろうが意味はサッパリわからないそのお札を、玄宗さんはベリッと剥がし、

「西洋の製品には日本の神符・霊符は通用せんか」

 笑いながらそう言って角成にそのおふだ、霊符と言うのか、を「捨てといて」と渡した。

「国産車なら効くんですか?」

「効く訳ないやろ。こいつらはみ~んな物やモノ。御利益あるって思える心がないモノに効くはずがない。それは俺の自己満足のために貼っただけ」

 その程度のことだと玄宗さんは笑いながら軽く言うが、昨日角成の欧州製の自転車に貼ったあのおふだの効力もひょっとして……?

 角成が玄宗さんにそのことを言うと、

「おっ、忘れとった」そう言って、MG❘Aの横に止めてあった赤い軽四に乗り込んだ。

 この車も玄宗さんの車だと言う。

「用事の前に確かめに行こか」

 角成は自宅マンションの駐輪場に置いてあった自転車の前でボーゼンとなった。


 鉄の所は真っ赤に、アルミの所は真っ白く錆びている。

 ライトグリーンのタイヤもボロボロだ。

 フレームはチタン合金なので塗装があちこちポコポコ浮いているだけだが、スポークからリムにかけては悲惨だった。

 プラスチック部品も指で触るとサクサクと崩れる。

 しかし、ハンドルとサドルとリヤフェンダーの一部分、要するに玄宗さんの霊符というものを貼った場所だけが健在だった。

「あっちゃ~ぁ、やっぱりかぁ。弁償するわ、いくらやった?」

「三十数万円」

「えっ、今乗って来た軽四一台と半分買えるやんけ。高っかーっ。かっくんボンボンやったんかぁ」

「夏休みのバイトのお給料全部ブチ込みました」

「そうかぁー、苦学生。近々お金で返すから好きなことに使え。そのためにも今からついて来て」

 そう言って玄宗さんは高笑いした。

 角成は何がどうなってこうなったのかを玄宗さんに聞いたが、

「あそこは時空とかが歪んでるんとちゃうんかな、表札上げてる俺でも用事の無い時は行かれへんから」ということだった。


 あの場所には用が無いと行けない、物を持って行くのは可能だが、それなりの儀式無しに持って帰ると何らかの障害が起き、大多数は崩壊する。

 …どうもそういうことらしい。

 角成は腕時計を焦りながら見た。

 動いている、時計はOKなのか?

「身体に密着してる物はたいてい大丈夫や。アクセサリーに服に靴。歩いて帰る時に、気が付いたらハダカでした、じゃあシャレにならんから、やろか? だからかどうかは知らんけど、それらはセーフみたいやで。ポケットに入れてる物も、キーホルダーとかボールペンとかの単純な構造の物はセーフ。携帯電話とか電子辞書なんかはアウト、前に一回、懐中電灯の電池が破裂したこともあったなぁ。俺も一回ケータイ壊れてメチャクチャ困ったわ。二百人の女の子のメモリーがパー」

 玄宗さんが手の平を上に向けて、グーからパーの動きをするとともに、まつ毛の端が、ピクッと動いた。


 ウソだ。


 角成は、昨日長居をするつもりが無かったので携帯電話を持って行かなかった。

 が、

(フツーこういうことは最初に説明しない?)

 角成は真剣にそう思った。

 だが、事前に説明されて信用しただろうか。

 携帯電話を持って来るなと言われていたら、角成は警戒して絶対に行かなかったはずだ。

 う~む、微妙~。

(まっ、壊れた物は元に戻らない。弁償してくれると言っているのでキッパリ諦めよう)

 角成はそのように決めたようだった。

「あっ、それと、もし間違ってケータイ持ってって、帰ってから壊れた時は鬼の姉さんに言うたら、状況にもよるけど、データくらいは取り出してくれるで」

「えっ、意外」

「近頃のあの世はIT化が進んでるのか、あの姉さんが特異体質なだけなのか、俺にはようわからんけど、とにかく、オモチャの修理からパソコンのOSセットアップやらウィルス除去と後処理とか、懇切丁寧にあなたをサポート。ええ腕、ええ顔、ええカラダ。そういうこっちゃ」

 うまいキャッチフレーズだが、要するに般若さん、……自称般若さんは、ITにも精通した手先の器用な鬼? なのだろうか。

 角成は思わず腕組して、「うーん」と唸ってしまった。

「理解しようとするから悩むねん。丸呑み丸呑み、噛まんと呑んでまえ。理屈は後から付いて来る」

 それは言う通りかも知れない。

「悩み、迷いはスキを生む、っちゅうてね、時にはそのスキで命落とす可能性まであるから、気ぃ付けや」

 その時また玄宗さんが真剣な顔をした。

 この人の真剣な顔は怖い。

 角成はうんうん頷いた。


 玄宗さんの軽自動車で一時間ほど走ると、地方都市の開発前の駅前広場に着いた。すぐそばの山肌が削られて、そこが大規模な宅地として造成されている。

 そのために、田舎の風情を残している旧駅舎の反対側に、商業施設の入る新駅舎とセットになった、巡回バスの停留所兼ロータリーを造る予定らしい。

 駅前ロータリー予定地は、ちょっとした学校の運動場より広い範囲を杭とバリケードで仕切られていた。

 しかし、平日4時過ぎなのに工事関係者は全くいない。

 玄宗さんの話では、今日は早仕舞いしたのではなく、あまりに事故が多過ぎて、役所からの行政指導と検査のため、この数日工事は一時中断しているということだ。

 角成は車を降りて、ロータリー予定地のほぼ中心に立つ二本の木を眺めた。

 一本は広々と枝を伸ばしているが、もう一本は焼け焦げて無残な姿になっている。

(なぜ残っているのだろう、あの焼けた木は? 木を中心にしてロータリーを造った駅はよく見かける。しかし、あの木は残す必要があるのだろうか?)

 角成がそう考えた時に、「忘れてるよ、忘れてるよ」玄宗さんが裏声で話しかけた。

「バァーッ」

 角成が振り向くと、大神様の顔、むき出しの頭蓋骨、がそこにあった。

 角成は死ぬかと思うほど驚いた。

「これ忘れたら、話にならんやろー。もぉ~、わ・す・れ・ん・ぼ」

 もう疑う余地はない。

 角成は自分がオモチャであることを自覚した。

「実を言うとな、かっくんがおらんと早期解決出来へんねん」

「どぉ、えっ、何がですか?」

 角成は色々な意味で動揺している。

「神様呼び出すんよ、ここに。二週間前から精進潔斎してたのに、今朝、コロッと忘れて、俺ハンバーガー食べたやろ。あれでアウト。二週間の苦労がぜ~んぶ水の泡。だから、かっくんにここの神様を呼び出してもらうために、ここに来たんよ」

 角成は「手伝う」という言葉の意味に、そんな大それた要求が含まれている場合があることを、この時初めて知った。

「でも、どうやって?」

「かっくんと同類の神様、しかも神様同士が知り合いっていう方々がここにおるから、出て来やすいかと思て」

 そう言って玄宗さんは、バリケードを横によけて中に入る。

「玄宗さん勝手に入ると怒られますよ」

「俺この会社の人間やから、不法侵入にはなれへんで。大丈夫」


 会社員?

 いわゆるサラリーマン?

 しかもゼネコン?

 玄宗さんが?

 角成はものすごく意外だった。


 二本の木から五メートルほどの所で玄宗さんは立ち止まり、二礼二拝一礼した。

 神殿での拝殿時の作法、角成がよちよち歩きの頃から、おばあちゃんと神社に参詣するたびに言われた、「神様への礼儀」だ。

 角成も玄宗さんに倣う。

 大神様を腋に挟んでいるので、かなりやり難いようだ。


 玄宗さんが木に近付く。

 二本の木の周りに等間隔にそれぞれ五個の小さなマスが置いてあり、それにお酒を注いでいった。

 もう一度二礼二拝一礼。


 これが神様を呼び出す儀式なのか?


「こっちが榎。昔の街道には一里塚とセットやった木で、旅人、行商人とか通る人たちに木陰を提供してた、ありがた~い存在やった。せやのに、今では葉の多い木には虫が付くって、あんまり重宝されてへん。困ったこっちゃ。それでこっちがコナラ。残念なことに落雷でこんな姿になったけど樹齢数百年らしいよ。総数で何個くらいドングリ落としたんやろね」 

そして玄宗さんはくるりと振り向き、

「このコナラの神様呼び出して」

 角成にそう言った。

「えっ? 何の脈絡もなく突然そんなことを言われても……」

 角成でなくとも、フツーに誰でも困るだろう。

 神様を呼び出すなんて、とても初心者が簡単に出来ることとは思えない。

 何をどうすれば良いのか全くわからない、どころか、見当すらつかない。

 角成がおろおろしていると、風が一吹きして、


「日暮れに待つ」

 『風』が言った。


「日暮れか。ちょうどええわ。一軒行くところあるねん」

 そう言って玄宗さんは木にそれぞれ一礼して車へ向かった。

 角成も急ぎ一礼して後を追う。

「風が喋りますかねぇ?」

「喋る訳ないやろ。メキシコ湾流もジェット気流も『うなり』は上げるけど、みんな無口や」

「じゃあさっきのは何?」

「あれは空耳の一種やろなぁ。聞こえる者には聞こえるし、信じるか否かで結果が変わる。神のお告げか、悪魔の仕業か、信じる者は救われる、あとは開けてのお楽しみ~っ」

 玄宗さんはどうやら真面目に答えるつもりは、全くないようだ。

「実を言うと、俺にもわからんねん。聞こえた気がしたからそれに従う。ただそれだけや。神様相手に疑ったら、あとが怖い」

 それは玄宗さんの言う通りかも知れない。

 神様に話の整合性を求めるのは不遜なことだ。


 車は五分も走らずに大きな旧家の前に止まった。

 表札は土師ノ里となっている。

「ここは?」

「唯一の駅前ロータリー建設反対してる人の家」

 バリバリにハードな社用らしい。

「さっ、行くで」

 そう言って玄宗さんは車を降りて、一人でインターホンに話しかけている。

 玄宗さんが角成においでおいでしている。

 部外者の角成を同席させるつもりらしい。

 しぶしぶ車を降りた角成に、

「最初に頭下げるから、その時俺の足の指見て、もぞもぞしたら頭上げや。あとはここの人の話を真剣に目を見て聞く。それだけ」

 玄宗さんはそう言った。


 温厚そうな六十台の女性に案内され、床の間に日本刀が飾ってある立派な部屋に通された。

 玄宗さんは座布団を横によけて正座する。

 角成もそれに倣い、玄宗さんの斜め後ろに正座した。

 すぐにこの家の主と思われる和服を着た男性が現れた。

 年は六十台前半くらいだろうか、背筋がピッと伸びている。

 角刈りの頭髪もヒゲもまゆ毛も真っ白。

(うわぁ~、ガンコそうだぁ~)

 角成は思った。

 玄宗さんは深々と頭を下げた。

 角成も言われた通りにする。

「今日はあの木の来歴をもう一度伺うためだけに参りました。今一度よろしくお願いいたします」

 玄宗さんが言い終わり、足の指がもぞもぞ動いたので角成は頭を上げた。

 この家の主人は角成を見て、

「こちらは」と言った。

「楢の葉守の神にお目通りが叶う者です」

(えっ、うそっ!)

 角成はキョドっていることを悟られないよう、ゆっくり深々と頭を下げた。

「そうですか。それはお疲れ様でございます」

「土師ノ里さん、二週間前に聞かせて頂きましたお話を、失礼ながらもう一度お願い出来ますでしょうか」

「長野さん、あんただけですわ、私の話真剣に聞いてくれたのは。それにあれから毎日来てはったらしいですなぁ。楢の神さんにあれだけしてもろおたら、もぉ反対する理由も無い、そう家内と、さっき話しとったとこですわ」


 玄宗さんの姓は長野、なので『ナガノ ゲンシュウ』が、フルネームらしい。

 そして土師ノ里さんはゆっくりとした口調で語り始めた。

 あの榎は玄宗さんが言ったように、一里塚の目印とセットでよく植えられた木で、旅人以外に、地元の人達にもたいそう親しまれ、広く張り出した枝葉は夏には遊ぶ子供たちを日射病から守り、夕立の雨宿りの庇にもなった。

 しかし時代を遡れば、ここでもやはり旱魃、飢饉などがあると、行き倒れ、野ざらしがあった。

 当時は、無縁仏を葬る寺が遠かったこともあり、青年団等の元気な若者が、榎の近くに遺体を埋葬したそうだ。

 だがここで『榎に生きた者の面倒と、死んだ者の両方の面倒をみてもらうのはしのびない』と、今話す土師ノ里氏の何代、何十代前も前のご先祖が菩提寺の裏山からコナラの実、要するにドングリを頂戴してそこに植え、無縁仏の墓標代わりとしてあの木は長年あそこで弔い続けて来た、

 ……ということだそうだ。


 ところが十数年前、なぜか榎より低いコナラの木に落雷があり、その大半が燃えてしまった。

このことを土師ノ里氏は、

「今では遺体を葬られることもなくなった楢の神さんが、榎に落ちる雷を自分の方に向けて身代わりにならはったんと違うか」と言った。

 古来『楢の葉守神』という『木々や植物の守り神的な意味』をコナラの木が持っている、ということを、この時土師ノ里氏に教えてもらった。

 その後何度かコナラの木を撤去しようとしたのだが、その度にトラブルが起こった。

 トラブルと言ってもチェーンソーが動かなかったり、業者の車が故障してたどり着けなかったりと、大したことではないが『これは何かの祟りか』となり、御祓いをしたり有名霊能者を呼んだりと様々な試みは行われた。

 しかし、再度木を切ろうとすると何かしらトラブルが起こり、今では皆怖がってしまい、結果コナラの木はあのままの状態が十何年か続いている。

 そして昨年、駅周辺の開発に着工した。

当然着工前に神事仏事は数々行われたが、やはりトラブルは多発した。

 トラブルと言っても、死人けが人は出ていない。

 資材搬入車や重機が突然故障したり、トラックの積荷が路上に散乱したり、資材置き場でボヤ騒ぎが起こったり、作業員の車の車上狙いが頻発したりと、あわや大事故というものから、それは関係ないだろうということまで、多数起こったという。

 そういうことが多発すれば、当然行政からは注意監督義務違反の疑い有り、と指導が来る。だが、役所の人間が現場で指導、監視、確認までして、積荷が突然落下してしまうと、何らかの手を打つにも、企業、行政、双方これはどうしようと、頭を抱えているのが現状。

 という話だった。

 そして土師ノ里氏は以前から、

「駅前の開発は反対ではない。しかし、楢の神さんの扱いに関しては反対だ」と言っていたらしい。

 それは、以前に来た神官、僧侶たちの、

「ちょこっと来て、ささっと何かをして、スッと帰った」ということに対する、不満だった。

 某有名霊能者にいたっては、テレビカメラを従えて仰々しい脅しまがいの文句を並べ立てただけで何もせずに帰り、後日『霊障を取り除きたくば一千万円用意しなさい』と言ってきた、ということだった。

 このように、

「今まで楢の神様に対してあまりに非礼であったことがそもそもの原因で、墓標としての役割と、動植物の守り神としての二つの役割を果たして来た神様に、きちんとした礼を尽くせばそれなりのよい結果がもたらされるのではないか」と以前から言っていたのに、誰も耳を貸さなかった。

 ところが二週間前、玄宗さんがここに来て、身を清め毎日欠かさずああした儀式を行い、礼を尽くしたことで、土師ノ里氏は、

「満足している、もう事故は起こらないのではないかと思っている」というふうに、今日やっと言ってくれた。

 玄宗さんは土師ノ里氏にゆったりと恭しく話す。

「今日の日暮れに仕上げを行います。今日までは楢の葉守の神に会うための儀礼、今日の日暮れにはお出まし頂き、ご意向を伺う所存です」

「あぁ、そない言わはりましたなぁ。そちらの方なら楢の神さんにお目通り叶う、って」

 土師ノ里氏は角成を見た。

 角成は内心アセった。

(何を言えば良いんだぁぁぁ)

 と叫びたいのを堪え、

「はい、よろしくお願い致します」

 と、大声で言ってしまった。

「こちらこそ。楢の神さんに、今でもお慕いしております、とお伝え下さい」

 土師ノ里氏の言葉を受けて角成は、殿様の前に出た足軽のように平伏した。


 角成は車に乗り、土師ノ里邸が見えなくなってから口を開いた。

「どうやって呼び出すんですか」

「んっ、神様か? 準備は俺がしたから、後は日暮れにあそこに行くだけ」

「何故僕が必要なのか、ちゃんと説明して下さいよ」

 角成は不安から涙声になりそうなのを必死に抑えている。

玄宗さんは、

「楢の葉守の神様と大神様が親戚やから」そう言った。

「親戚? 動物と植物が?」

「うん、親戚と言うか、一族と言うか、同門というか、同じ山の神の眷属やし、どっちも山の神自身やし。まぁ、そんなとこや」

 そんなとこらしい。

 角成はよくわからないが、これ以上どう質問して良いか、それすらわからなかった。

 角成はなにか喋っていないとパニックを起こしそうだった。

「もう一つだけいいですか?」

「何や?」

「玄宗さん、長野っていう苗字やったんですか」

「堅苦しく長野さんって呼ばんといてや。なぁ~んか知らんけど、そう呼ぶ人とは関係が長続きせぇへんねん。だから『長野さん』って一回呼ぶたびに……、そうや、鬼の姉さんとキスして寿命縮めてもらおか、うん、そうしよ」

(それはイヤだ。玄宗さんでも玄サマでも何とでも呼ぼう、いや、呼ぶ!)

 角成は地味に固く硬く決心した。


 第二章  第一節  ボーン・トゥ・ビー・特異体質  終


第二章 遺―産ハント

第二節 ランニング・ウィズ・ザ・ゴッズ

                    に続きます。 

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