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WANTED GIRL ~惑星をなおす少女~  作者: 野乃々
2部 4章 地底探索
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三途の川

 目が覚めると船内にいた。身体は上下に波打っていて、いくつかの電子音が鳴っている。

 モニターの計器は正常の値を表示されて、画面には波打つ海が見えた。

 ――三途の川じゃないよね?

 横をみると、ミュートさんが口をあけてよだれを垂らしながら寝ていた。


 機器の異常を確認するため各種操作すると、現在地が表示される。

 惑星ピアート。

 それも近くにホバークラフトの空母があるようだ。

 ケインさんは?

 後ろを見るが、空いた座席があるだけだ。シートベルトを外して立ち上がったそのとき、ある物がないと気づいた。

 ブラッドゴールドだ。

 どこかにいったんだろうか。座席を立って船の後部に向かうと、トイレや居間や私とミュートさんのプライベートルームに入る。

 どこにもいない。

 まさか一人で外にでたのだろうか。

 いや、ありえない。外は暗くて極寒だ。まともに母艦へ帰れるわけなかった。

 ーーでも、ケインさんは私たちを置いて消えた。


 操舵室に戻ると、気を失っていたミュートさんの肩を揺らした。

「起きてください!」

「ここは? 俺たち死んだのか?」

「いえ、生きてます。液体コアに刺激を与えた後、逃げている最中に光に包まれてここへ戻ってきたんです」

「そうか……無事だったわけだな」

 ミュートさんは涎を手で拭くとツナギの脇で拭いた。汚いな!

「でも、どうしてワープできたかわからないです」

「ケインがやったんだろ」

 え?

 動揺する私をよこにミュートさんが周囲をみる。

「その張本人はどこにいる?」

「消えたんです。おそらくブラッドゴールドをもっていって」

 ミュートさんは安堵するように息をついた。

「なるほど…… 。俺たちは上手く出し抜かれたわけか」

 まっっったくわけがわからない!

「ミュートさん! 最初から教えて下さい!」

 彼はシートベルトを外して首を回すと、転がっているボトルをもってストローで水を飲んだ。

「これは推測だが、 ケインと名乗る男はピアート人ではない」

 ウソ……そんなの疑ったことなかった 。

「根拠は何ですか?」

「あいつが俺たちと接していた頃、ピアートにはワームホールを形勢しなくてもワープできる技術があるといったろ? あんなのはデタラメだ。イース人の技術はコールドスリープが精々だし、ワープ技術があれおそらく宇宙に出ることも可能だった」

 私は腕を組んで宙に目をやった。

「でも、何かの制約でいけなかったかもしれませんよ」

「それは俺も知らない。だが、シード264の転移が可能なら、眠っている奴らを政府の船に乗せて一時避難もできたはずだ」

「 それは……政府が宇宙移民を受け入れてないとか……」

 ミュートさんが首を振る。

「ミレイヤはケインのワープ技術を喉から手が出るほど欲しかった。あんなのがあれば、巨大なワープリングを作る必要がないからな。その技術が手に入れば、政府もピアート人のためにシリンダーコロニーの一つくらい渡すはずだろ」

「うぐぅ」

 そう言われたら反論の余地はない。

「そして、ワープはケインとブラッドゴールドが揃わなきゃ不可能な技術だったんだよ。技術というより魔法といったほうが的確かもな」

「魔法ですか」

「もっと雑にいえば特技ともいっていい」

 私は額に手を置いて瞼をぎゅっと閉じる。

「それなら、どうしてケインさんはピアートの人々や私たちに協力してくれたんですか? 海を再生したときにブラッドゴールドは貸したままです。そのままトンズラすればよかったじゃないですか」

「それは知らん」

 ミュートさんは論理を投げ捨てると、胸ポケットに入れた栄養バーを開けて食べ始めた。

「ちょ、そこまでいうなら動機くらい考えましょうよ!」

「人間は偏屈な生き物だ。俺が深海や地底を求めたのと同じで、ケインも何かを経験したかったんだろ」

「漠然としすぎです!」

 ミュートさんは栄養バーをくわえながら、腕を伸ばして私の頭に置いた。

 わわっ!

「別にいいだろ、こうして生きて帰ってこれたんだから」

 ミュートさんの澄んだ目が私を捉える。頭に乗っている手は温かくて、そっと左右に揺らして撫でてきた。

 え、あ、はい…… 。

 急に距離感縮まるようなことされると戸惑うんですが……..。


 惚けていると、いきなりその手が離れて縦に軽い刺激を受けた.。

 優しく触っていた手が手刀に変わっている。

「とりあえず母艦に戻るぞ。衛星オーリスがどうなったか気になる」

 思い出した! そもそも惑星コアのエネルギーを太陽に変えるのが目的だったんだ!

「はい、行きましょう!」

 ミュートさんが操縦桿を握る。

 メーターの各所の表示がおかしい中、トライズはフラフラしたフライトで母艦へ向かった。


49話と50話について。

物語に余韻を与えるため、あえて連投する形になりました。

時間を置いて登校する術もありましたが、それもややこしくなりそうだったので……。


リアルタイムで読んでくれた方がいたら、申し訳ないダス。

(そんなやついるのか!?)

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