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WANTED GIRL ~惑星をなおす少女~  作者: 野乃々
2部 2章 ふたたび宇宙へ
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彼の好み

 ワープステーションで物資を買いそろえた後、出発の時刻に近づいた。

「準備できたようだな。いくぞ」

 以前より多弁なミュートさんが合図をする。最初の頃は「……くぞ」くらいしか言わなかったのにすごい成長だ。

 子どもの成長を喜ぶ親みたいに頷く私を、怪訝そうな顔で見てくる。

「人の話、聞いてるか?」

「はい、もちろん!」

 まずい、にやにやが止まらない。一年前の彼に聞かせてあげたいぞ!

 不服そうな顔をしてトライズを加速させる。

 船はゆったりと政府のシステムエリアに入り、船の制御を明け渡す。

 ワープのタイマーがモニターに表示される。

 それまでミュートさんは映画を、私は必死で太陽計画のデータを調べる。

 トライズはワープ装置の輪っかに入ると、白色の光の中に包まれた。

 私の意識が途絶える。


 ーーーー。

 意識が戻ると、まばたきをして視覚を戻した。 

 背部のモニターは光が溢れていて、少し進むと黒い船があった。ミレイヤさんの乗る宇宙船だ。

 彼女の誘導にしたがって進むと、正面モニターに通信が入る。

 それを見た瞬間、私はすぐさま咳ばらいをした。


「ミレイヤさん! なんて恰好してるんです!!」

「民間人より優先されたから、先にシャワーを浴びてたわ」

 長い髪を束ねたミレイヤさんは、つやつやな褐色の首筋とバスローブから見えるふくよかな谷間を画面いっぱいに映した。

 おい!ちくしょう!

 むずむずしながら、隣にいるミュートさんに視線を送る。

 彼は画面いっぱいに映るミレイヤさんを一瞥すると、小型端末から映画を開いた。

 もしや私の視線を気にした? 全然わからん!!

 にしても、なんてプロポーションだ、うちの査察官は。


「とにかく上着を着てください! ミュートさんも隣にいるんです!」

「べつに減るもんじゃないでしょ」

 なんでそんな恥じらいがないんだ! こっちが困るっての。

「まぁ、髪も乾かしたいから手短にいうわ。ツクモちゃんのプラン、ほんとにあのプランでいいわけ? 前時代すぎない?」

 お、おう。

 ピアートの再生計画か。

「それでミレイヤさんはどうおもいます?」

「多少のツッコミどころはあるけど、ほかの人の反応次第ね。技術が必要なら政府が協力するわ」

 うぅ、痛し痒しか。

「それじゃ、ピアートでまた話しましょ」

 ミレイヤさんはバスローブの宗元を抑えながら通信を切った。男子が見ていたらドギマギする映像だった。

 あ! 思い出したかのように脇のミュートさんに向いたが、彼は一瞬だけこちらを見てムービーを眺めている。

 もしかして盗み見した? わかんないな。

 彼をじっと見ながら、

「ミュートさんはおっぱいが好きですか」

「は?」

 動揺しているのか変な声が漏れた。

「男の人って一般的に好きじゃないですか」

「そうだろうな……。俺はチョコレートのほうが好きだが」

 思わず座席から転げ落ちそうになる。

「食欲と性欲は別ですよね」

「生憎、俺は母親を知らない。ヒトのぬくもりもな」

「でも、本能ってあるじゃないですか!」

 つい声が大きくなる。なにを聞いているだ私は。


 ミュートさん呆れたようにこちらに向くと、

「お前はそんなことを気にするのか。あってもなくても、お前はお前だろ。いまさら自分を着飾ってどうする」

 うぅ、ど正論……。

「身体が目的なら、最初からお前の誘いに乗っている」

「そういえばそんなことありましたね……」

 やばい、恥ずかしくて乾いた笑いしかでない。

「くだらないことを考えてないで寝ろ。どうせ明日もプランを練るんだろ」

 ミュートさんはムービーに集中したいのか、しっしっと手で払った。

 うぅ、なんだこいつ。

 生い立ちを聞いたところで、ますますこの人のことがわからなくなった。

ぶっちゃけ蛇足です。

初期原稿では設定など書いていましたが、次話以降で同様の内容が語られるので削除しました。


また仕事が忙しくなったのと、改稿が多くなりそうなので、投稿頻度がさがるとおもいます。

本編は3部中盤までできているので、完結はほぼできるとおもいます。


よろしくお願いします。

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