62 黒天の厄災
舞台は戻り、アシュラが『雷神器之黒衝撃』を奴隷解放の合図をする為、地面に打った少し後。
「ヤッバ! 流石に今の音はデカ過ぎじゃね? いまので鼓膜破けた奴も居るんだろ?」
コロシアムの観客たちは、大きな雷鳴により鼓膜に大きな負担が掛かった為、耳を塞ぎながら顔を合わせ合っていた。
コロシアムの真ん中には、『雷神器之黒衝撃』による土煙で、アシュラとゼロ2人の姿が完全に隠れていた。
「うぇ〜、土煙やばいな。ツカサ、生きてるか〜?」
「ハッハイ、何とか無事です。でも、本当に殺されると思って動いちゃいそうでしたよ」
「ハハッ、まぁ殺意だけをツカサに向けてたからね。勘違いしてもしょうがないなぁ~って思ってたんだけど。ちゃんと僕の意図を分かってくれて良かったよ」
『グギャャア!!』
僕達がそんなやり取りをしていると、上空から恐ろしい咆哮が聞こえてきた。
「ちょ、ちょっと! あれは何ですか!」
実況のお姉さんはコロシアムの上空を指さしながらそう言った。
その視線の先には、黒雲立ち込めるコロシアムの上空に浮遊し、黒雲の隙間からこちらを見つめている巨大な黒龍の姿があった。
「っ! ヤバイなあれは……」
僕は、黒龍のあまりのカッコ良さに、黒龍を見て、ニヤけながらツカサにそう話した。
「そうですね。来ることは分かってましたけど、本当に来られるとやはり怖いですね」
え? ツカサはあの黒龍が来るの分かってたのか? なら、教えてくれても良かったじゃん。他にも用事があったのかな?
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舞台は変わり、コロシアム上空の黒竜の頭の上。そこでは、魔将軍ゴウエンがシューゼに黒竜王ルナと共に連れてこられていた。
ゴウエンは、ルナの上から辺りを見渡していた
「う〜ん。シューゼ様に、お前は勇者パーティーと戦えって言われてるけど、フライム様に勇者の外見を知らされているとは言え、特別小さい訳でもない国から、一人を見つけるのは難しいぞ」
ゴウエンは、暫くムーア全体を見渡していた。
「おっ! あれじゃねぇか?」
その視線の先には、黒龍が現れたことにより、混乱している貴族エリアの民衆達の流れに逆らいこちらへ向かってきている、ゼーレとレイラの姿があった。
「2人は見つけたけど、確か勇者パーティーって3人だったよな? まぁ別にどうでもいっか」
そう言いながら、ゴウエンは黒龍王ルナの頭から二人の元へと飛び立って行った。
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「グァァァア!!」
僕達が黒龍の姿に気を取られて居ると、黒龍の頭から一つの影が飛び去って行き、黒龍が雄叫びを上げながら口の中を黒い魔力で光らせていた。
なっ! あれはもしかして、ブレスを撃つ気か?
黒龍の次の行動を読んだ僕は、影の中に居るディストラに話しかけた。
「おい、ディストラ。居るか?」
僕は、影の中に話しかけた。
「ハイ、ここにおります」
ディストラは、影の中から返事をした。
「よし。なら、ちょっと影魔法で僕を隠しながら、僕の雷鳴スーツと剣を出してくれ。あっ後、ツカサの分も頼む」
「かしこまりました」
ディストラはそう言うと、僕達の周りに小さく、ドーム状に影魔法を展開して、僕達の姿を隠した。
数秒後。僕は影のドームを雷魔法で壊し、雷鳴を響かせた。雷鳴と共に姿を表した僕は、ライトニングの姿に、ゼロはツカサの姿に変身していた。
「なっ! おい、あれ見てみろよ。アシュラって雷鳴の猫王、ライトニングだったのか?」
まだコロシアムに残っていた男がライトニングを見て驚く。
おっ! 雷鳴の猫王の名はちゃんとここまで轟いてるみたいだな。
ライトニングは内心ほくそ笑んだ。
「今はそんなの良いから、早くここから離れるぞ!」
一緒にいた男は驚き棒立ちになっている男を連れてコロシアムの外へ走っていった。
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VIPルーム。そこには、アカキ、クロエ、イーサンの3人が居た。
「っ! アシュラさんが今噂のライトニングだったなんて……」
クロエは口を両手で抑えながら後ずさりしながらそう言った。
「何! たかが賊の長とその仲間が、あのレベルの強さを持っているだと!」
アカキは、拳を強く握りながらそう言った。
「ハハッ、あの人がアシュラなら、あの強さにも納得だな」
イーサンは、少しニヤつきながらそう話した。
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雷鳴スーツに着替えた後、僕はツカサに話しかけた。
「おい、ツカサ。お前はこの騒動に乗じて紅の牙を倒せ。クロエには、倒す瞬間を見られるなよ」
「分かりました! ですが、さっきの影はおそらく魔将軍ですよ。そちらはどうするんですか?」
「魔将軍なら、多分ゼーレ達の所に行くはずだ。なぁに、魔将軍が相手だろうとあいつ等2人なら勝てるさ。いずれ、魔王を倒す奴らなんだからな」
「それもそうですね。それではお気をつけて下さい」
ツカサはそう言うと、コロシアムのVIPルームまで、地面を蹴って飛んでいった。
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ツカサが地面を蹴り、VIPルームに向かった数秒後。ツカサの拳により、VIPルームの窓ガラスが割れた。
「アハッ。今の俺は、ライトニング様と戦うはずだった体力が有り余ってるんだ。相手してもらうぞ紅の牙!」
ツカサがそう言いながら、アカキ目掛けて飛びかかると、何処からともなく雷鳴スーツを身に纏った獣人達が現れて、クロエをコロシアムの外へ連れ去った。
「ちょっと、貴方達なにするのよ! こんな事をしてただじゃ済まさないわよ!」
「おいおい、お前等って確かサンダーパラダイスだっけ? 今のは立派な王女誘拐だぜ?」
「ふっ、貴様も似たようなものだろ? それに、弟の無惨な姿をお姉さんに見せたいのか?」
ツカサはそう言いながら、アカキ目掛けて拳を打った。
「ふっ、巷では正義か悪かどちらだと、議論されているが、お前等はとうに悪の道にいるみたいだな!」
アカキはツカサの拳を剣で受け止めながらそう話した。
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「なぁ、ディストラ。ツカサにはあぁ言ったけど、一応ゼーレ達の所に向かってくれないか?」
「ハイ、かしこまりました」
ディストラはそう言うと、影の中に隠れたままゼーレ達の所へと向かった。
「よぉ〜し。これで戦いの舞台は整ったな。じゃあ、龍狩りを始めますか!」
僕は、鞘から漆黒の剣を抜いて、黒龍に向けながらそう言った。




