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【勇者が】残念なPT【最弱】  作者: かんちゃん
9/13

第9話「うちのパーティ、戦闘になるとバグります」


最強のはずの勇者は封印の腕輪でレベル−100、泣き虫で剣も持てない。

国家随一の魔法使いはサディストで、仲間を実験材料扱い。

忍者はなぜか高確率でハト。

そしてそこに、何も知らない冒険初心者の少女――『初心者ちゃん』が加わった。


雑すぎる王国と、じわじわ崩壊していく世界の中で、

彼らは今日も笑って、泣いて、叫んで旅をする。


ゆるいけど危険、危険だけど笑える。

そんなドタバタ勇者パーティーの冒険譚が、今はじまります。

魔法使いさんは、指先で小さな炎を弄びながら、目を細めてつぶやいた。


「さて……君たちの断末魔を、どう表現すべきかな」


炎はただの火球ではなく、幾何学模様の光の輪となって空中に描かれていく。

その模様はぐるぐると絡まり合い、まるで光の万華鏡のように複雑な陣を組み始めた。


「ちょ、ちょっと待ってください!普通に火の玉でいいじゃないですか!!」

「ふふ……シンプルなんて退屈さ。せっかくだから、君たちの断末魔を“炎の交響詩”として仕上げたいんだ」


魔法陣からは音符のような火花が散り、路地裏全体が赤く染まる。

チンピラたちは完全に腰を抜かしていた。


「な、なんだよこれ……」

「お、おい! 殺される! 芸術に殺されるぅううう!!」


勇者さんは涙目で前に飛び出した。

「だめですぅぅ! みんな燃やされちゃうじゃないですかぁぁぁ!!」


そのまま勇者さんは魔法使いさんの前に仁王立ち――しようとした瞬間。

「うぐっ……! 腰ぇぇぇ……!!!」

ガクンと崩れ落ち、皮肉にも先ほどチンピラに要求された通り土下座する形になった。



「や、やめてくださぁぁぁい!!!」

まるで“燃やしてください”と言わんばかりの姿勢。


「ふふ、なるほど……勇者自らを生贄に捧げるとは。芸術点が高いね」

「高くないですからぁぁぁ!!!」


その時――

「クルッポー!!!」


頭上から白い影が急降下。

ハト(忍者さん)だ。


勇ましく羽を広げ、華麗に回転しながら飛び込んでくる。

その嘴は、まっすぐ勇者さんの後頭部に――


ガツンッ!!!


「ぎゃああああ!! なんで僕なんですかぁぁぁ!!!」

「クルッポー(勇者は囮)」


「翻訳しても容赦なさすぎですよね!?」

私が叫ぶが、ハト(忍者さん)は胸を張って誇らしげ。


だが、その突撃で勇者さんは前に転がり出て、偶然にもチンピラの足にタックルする形になった。

「うわっ!?」

チンピラは見事に転び、後続の仲間たちと将棋倒し。


「えっ……あれ?勇者さん、今すごい活躍しませんでした?」

「ぐすっ……僕、頭つつかれて泣いてただけなんですけど……」


魔法使いさんは冷めた目で勇者を見下ろし、肩をすくめた。

「ふふ……無様でも結果的に役立つ。まるで君そのものだね」

「ひどすぎません!?!?!?」


一方チンピラたちは怒りに燃えて立ち上がる。

「こ、こいつら……遊んでんのか!?絶対に許さねぇ!!」

「囲め!一人ずつぶっ潰す!!」


彼らの目にはもう恐怖より怒りの色が強い。

錆びた剣や棍棒を振りかざし、こちらに一斉に迫ってくる――。


「わぁぁぁ!! いよいよ本格的に戦闘開始ですか!?」


路地裏の空気は一気に緊迫し、

だがこちらの仲間たちは――勇者は腰を押さえて泣き、忍者はハト、魔法使いは芸術魔法を構築中。


「……いや、これもう詰んでません!?」

私は木刀を握り直し、背筋に冷や汗を感じた。

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