帰郷
ダークとレオン君が付き合いだして1週間ほどが経ち、光の翼はダンジョンの攻略に旅立った。と、いっても新規に加入したメンバーの階層更新がメインだ。驚く事に光の翼は70階層のボスを倒したそうだ。そこで新メンバーも増えたので一緒に登り直しをするらしい。新規のメンバーはまだPTとして動くには日が浅く、高層階ではたとえクリアする実力があったとしても連携の掛け違いなどで簡単に破綻する。なのでPTとして共に過ごし、連携の練度を上げるのだ。1か月ちょっと長期でダンジョンに入って現在の攻略階層を目指すそうだ。さすがに1か月じゃ70階層はムリだけど。以前聞かれて空を飛べばいいよとかアホな事を言った空中階層をどうやって攻略したのか気になって聞いてみた。空中階層の3階層くらい前の階層で天使型の魔物が出てきて空を飛んで襲ってくるんだけど、そいつらが靴を履いているらしい。光の翼の攻略しているダンジョンは装備ダンジョン。ダメもとでその敵を狩りまくったら”空を歩く靴”がドロップしたらしい。もちろんレアドロップで相当苦労したみたいだけど、全員分揃えたらしい。それで、溶岩階層とかの地面ダメ系の階層も突破して進めたようだ。また、単純に空を歩ける靴というのは利便性の塊だった。床のトラップにかからず、敵に対して上空も含めた3次元の位置取りができるようになった恩恵はかなり大きかったが、使いこなすには少しコツも必要でその運用訓練も兼ねて下層から上るそうだ。あくまで空を”歩く”靴であって”空を飛ぶ靴”じゃないらしい。そして、その靴を発見して思い返してみるとどうやら攻略のキーとなりうるアイテムがそのちょっと前の階層で落ちるようになっているらしい・・・。多分、素材ダンジョンも魔道具なんかを作れる素材が落ちるようになっていたんじゃないかと。邪竜にのって攻略じゃーいとか護衛はフェンリルに任せようとか力押しで通ってきたほうがおかしかったらしい。解せぬ。
あと、その1週間でダークはつやつやの肌になり、レオン君は若いのにしおしおになっていた。だが本人が幸せそうだから問題ないのだ。問題だったのは姉のレジーナさんだった。拉致淫行の犯人がダークでお付き合いすることになって、母親も了承済と知ったレジーナさんは毎日ウチに苦情を言いにきたのだ。苦情を言いたくなる気持ちは十分分かるが、もう死刑と死罪とギロチンを何回聞いたか分からない。そして猛り狂うレジーナさんに姿は見せないくせにダークが耳元で”義姉ちゃん”とかささやくのだ。”義姉ちゃんも彼氏を作ったほうがいいですよ。王女はあきらめましょう”とか煽るのだ。剣を振り回し始めるとダークが拘束してレグリット家へお持ち帰る日が続いたが以前ダークが悩んでいた通り光の翼はダンジョンへ行ってしまった。ならば、闇の住人はどうするか・・・。そう、帰郷するのだ。ダークはもういつでも結婚していい感じだし、ナーラさんと打ち合わせも必要なので。あとはさすがにそろそろ本物の妹に会いに行かなければ。偽物の妹はあくまでソフィの妹らしいのでオレの妹ではないとはっきり言われてしまった。わけがわからない。
ナーラさんに情報共有とちょっと頼み事をあらかじめ頼みたくてロックパッカー商会へ行ってスカーレットさんに伝言をお願いする。手紙だと普通に情報が漏れるのだ。漏れるのはおしっこだけにしてもらいたいが、そういうものなのでしょうがない。ロックパッカー商会は会長だけがナーラさんと直通の魔道具を持っているので便利に使わせてもらう。あと、馬車も馬ごと借りる。さすがに6人とペットと子供1人は乗り合い馬車ではムリすぎる。幸いマリアンネが商人メイドの恩恵とちゃんとロックパッカーで教育を受けて馬車の操作から馬の世話まで全てマスターしているらしいのでお任せだ。一応邪竜にのって飛んでいく案も出たし、大分早く到着できるのだが、そんなのが街の近くを飛んだり降りてきたら普通に騎士団が決死隊を組んで討伐案件だろう。急ぐ旅でもないし、途中の町で名物(食べ物)でも食べながらゆっくり帰る予定だ。
ダークもやっと色ボケモードから帰ってきたので馬車でゆっくり出発する。あんまり寄り道しないで3週間くらいだから、まぁ1か月くらいかな。ダークがちょっと不満そうではあるが、結婚に関しては本人達だけ盛り上がってもダメなのだ。根回しが大事。だからオレの家族にもソフィとプーニャの事は話しておかないといけない。まぁプーニャにはまだお付き合いOKをもらっていないのだが。女子組は実践を経たダークの話でだいぶ盛り上がっているらしくオレにも春が来るかもしれない。来ないかもしれない。
そんなことをだらだら考えながら寝ていると悪夢の山賊に襲撃された当たりで、また囲まれた。
「止まれ!おとなしくしろ!」
全員普通の村人みたいな恰好だが、強姦魔だ。手をわきわきさせながら近づいてくる。マリアンネは強硬突破するか迷ったようだが、ここで馬が傷つくのもいやだから排除しようとなった。
「お、おおんなだ!襲え!!」
マリアンネのスカートが翻りナイフが強姦魔に突き刺さる。だがゴブリンのように仲間を気にせず近づいてくる。ダークが動きを止めようと動く。
「シャドウバインド!」
敵の影から鎖が飛び出て拘束するかに思えたが驚く事に鎖が跳ね返る。
「縛るのはオレだ!縛られるのはおまえだ!」
跳ね返った影の鎖はダークの影から今度は縄のような形で卑猥にダークを拘束しようと蠢く。
「シャイニング!」
ダークの影も縄も鎖も一瞬で消え失せる。敵はレスリングの選手のように前傾姿勢で手をわきわきさせながら徐々に迫ってくる。キモ!
「拘束系は効かないみたい!あと多分グラップ系で組み付かれたら厄介だろうから接近させないで!」
ソフィは剣をぶらぶらさせて馬車を降りた。大丈夫か?まぁ大丈夫か。ダークとマリアンネは拘束じゃなくて普通にナイフとかダガーとか投げて殺している・・・だが、避けるヤツもいる。
「ふははは我ら強姦魔!相手が女性ならばレイプが終わるまで最大のバフを受けるのだ。おとなしく天井のシミでも数えていろ!もっとも・・・ここに天井はないがなぁ!!!」
めんどくさい。でも一応対人戦の練習とかもあるので神の力の制御とかナシで遊んでいる。遊んでいるが、失敗したらレイプとか死ぬよりイヤだな。微妙に強いし。プーニャは犬猫を少しだけ解放して護衛に当たらせている。フェンリルと邪竜はさすがに過剰だろう。まったく恐れる事なくソフィが敵を切り刻んでいると・・。
「あぶない!」
今まさに切り殺されそうになった強姦魔が両手で押されて転んで剣が空ぶる。んん?なんか今へんな運命が介入したぞ。
そしてどこにいたのか出てきた4人の男。パンツを頭にかぶった醜い腹の出たおっさんが全裸で立っていた。ううううう見たくない。
「われら4人!痴女魔女ドレミ様より直々に脱ぎたてのパンツを賜り!強姦魔の上級職!レイプマンへと至った精鋭!全員妊娠するまで帰れると思うなよ・・・。」
「醜い。」
ソフィが適当に魔法剣を飛ばす。
「「「「あぶない!!!」」」」
さっきと同じように全員突き飛ばしあってごろんと倒れてすぐさま起き上がる。魔法剣は回避された。・・・なんだあれ、危機回避とかの恩恵がパワーアップしてるのか?わきわきしながら、いつでもあぶない!できるように近づいてくるレイプマン・・・・。
とりあえず、もう見たくないのでマジックバックから長めの木刀を取り出して手当たり次第にレイプマンも含めて殴っていく。ぐっすり眠った後なら避けようがないのだから。そしてバフがついて強くなるのは女性が相手の場合だけなので、男相手には一般人だった。さくっと全滅させたが、これだけやって痴女魔女はいっさい表に出てこない。まだ捕まってなかったのか・・。めんどくさい・・・やっぱり5人とかいるのかな。痴女魔女オンプがいたら会ってみたい気もするが、やはり女性は恥じらいがないとダメだ。
「おにいさま!怖かった!」
ソフィが棒読みで腕にしがみついてきておっぱいを当ててくる。くそう!ダークめ!なんて技を教えるんだ。・・・卒業したいなぁ。そういう意味ではなかなかバラバラに行動する事もないPTなので帰郷はチャンスかもしれない。本人が結婚してもいいと言ってくれているのだ・・・。だがオレは知っている。前世でも話だけは知っていた。これは罠だ。タイミングを間違えると”そんなつもりじゃなかった”で全てが終わるのだ。・・・いつだ・・・タイミングっていつだ!!!!知らんわ!。
そのあとは得になにもなく我が故郷へと帰り着いたのだった。




