新たなる脅威
メイドさんが仲間になった。ダンジョンに連れて行って驚かせたり、ドラゴン肉を食べさせて驚かれたりしながらボチボチ慣れてもらっている。さすがロックパッカーの教育だけあっていろいろ知っていてすごい。だけどいろいろ知っているから、このPTの現実を知るといちいち驚いてくれる。楽しい。戦力的には正直今の所は必要ではないけれど、山賊とか海賊に襲われた時の為に自衛出来る実力も付けなければ危ない。
戦闘メイドや商人メイドの恩恵は、あくまでメインはメイドなのだ。戦闘が出来るメイド。商売が出来るメイド。それぞれ本職には劣るとされている。
戦闘メイドの適正武器はバトルアックスかナイフだ。どちらもロマンで出来ている。可愛い小柄なメイドさんがバトルアックスを振り回すのはとてもいいと思おう。でも、ウチのPT前衛は危ないのだ。魔法剣が飛んでくから。コントロールをミスる事はないとは思うけど、わざわざ接敵するのもどうかと思う。前衛はいざとなったらぽん太とみーちゃんがいるしね。と、いうわけでナイフです。ほとんど女性陣に任せて口出ししなかったオレはコレだけは譲れないと厳しく指示を出す。ふともものベルトナイフだ。女性陣の目が冷たかったが、力説して押し切った。メイドたるもの目に見える所にナイフの所持はいただけない。必要な時にスカートを翻し、しかしパンツは見えない絶妙な動作でナイフを抜き放つ。熟練の技が必要だろう。ナイフ投げの技術はどうでもいいのでダークに任せてオレはパンツを見せずにふともものナイフを抜く技のチェックだ。まだ慣れていないのかパンツは見えてしまっている。そこをスキルでもなんでもいいから見せないのがメイドの嗜みなのだ!と、押し切ったが、めくれるスカートを見ながらパンツが見えてるぞ!とチェックしていたら30秒で正気にもどって追い出された。でも一応ちゃんと練習はしてくれるらしい。
その他の戦闘技術に限らず、普段の情報収集やもっと単純に”歩く”技術などスカウトの技術と親和性が高く、いつの間にかダークの事を師匠と呼んでいた。さすがに呼び捨ては出来ないという事でソフィはおねえさま、ダークが師匠、シルヴィはシルヴィちゃん、プーニャはぷーにゃさん、オレはアルさん。呼ぶ時々でぶれるけどそのうち馴染むのだろう。
商人メイドはあんまり出番がないのを本人はちょっと不満そうだが、ウチのPT特にお金に困っていないのだ。ただ、鑑定のスキルは役に立っている。いままでダークの目利きとかで適当にスルーしていたのだが、アイテムやドロップや敵の名前が分かったのだ。一応シルヴィが素材として使うと名前が分かるので困ってはいないが、詳細が分かるのはやはり便利だ。剣でなんでもスパスパ切れるので意味はないが弱点属性とか分かるらしい。これもダンジョンでLVを上げると内容が細かく分かるようになったりするらしいし、あんまりレアなモノは鑑定できなかったりするので頑張って鍛えてほしいものだ。
スカートを翻しても決してパンツを見せないメイドの嗜みをマスターした頃、ソフィが買ってきた雑誌に特集が出ていた。ジューシーでストロベリースイーツコンテストが開かれるらしい。なんでも今年は新たに品種改良された3種類の特徴の異なるイチゴが市場に出回り、それぞれの店の特色を生かしたスイーツ作りがさらに白熱しているらしい。そしてもちろんイチゴも好きな領主がナンバーワンを決めるコンテストの開催を発表した。あまりの出場店の多さに事前審査で10店舗に絞られるらしいが、1店舗で何品も出展出来るので事前審査だけでも大変な事になっているようだ。このニュースに我々闇の住人はすぐにジューシーに行く事が決定したのだ。
てくてくとジューシーへ向かって街道を歩いていくと前方になにやら怪しい空間がある。だが、神の力の話なので他の人には見えていない。・・・虎穴に入らずんば虎子を得ず。オレは特に何も言わずにそのまま突っ込む事にした。決して虎児にわくわくした訳ではない。
街道なのに不自然に前後に人が居ない。そのうち前方から男が一人歩いてきてオレ達の10mほど先で止まる。と、同時に後ろから驚くような、呻くような声が聞こえる。振り返ると女性陣がみんなしゃがみ込んでいた。イヤ、マリアンネはメイドの意地で一応立っているがぷるぷるしている。
「やぁやぁ、はじめまして。オレの名前はアンチアルク。神々が創造神のレギュレーションを破らないでイレギュラーを排除する為に、アルク=カーバンクルを研究し、作られたアルク=カーバンクルの対となる物。」
「く、鑑定!・・・え。人間じゃ・・ない?」
「そう。すでに居る人間や魔族に干渉するとバランスを崩す。ならば、アルク=カーバンクルを排除するだけの存在を作ればいい。オレは神人。キサマを排除する以外の干渉をしない存在。」
「な、なんだと。」チラッ
「・・・知っているぞ。こういう時キサマは運命の流れを誘導する為に能力の詳細などをわざと聞かせる。クククク、驚け!オレはおしっこを支配する能力をもらっている。キサマ等はすでにオレの”マーキング”したエリア、”しーしーWORLD”に捕まっているのだ!。そして最強の能力、無限の尿意工場によりシーシーWORLD内に絶え間ない尿意を押し付ける!。知っているぞ。キサマ一人では雑魚だという事を。いつも仲間が敵を倒している事を。」
チラッ「なんて恐ろしい能力だ・・・」チラッ
いつの間にか携帯トイレが出ていて誰か入っている。
「あ~あ~だ~く~さ~ん~で~て~~年上に~ゆずるの~です~」
どうやらダークが入っているらしい。さすがだ。シルヴィが泣きながらもじもじしながらドアを叩いている。まおちゃんとウサギはじゃばじゃば漏らしている。
「く・・・アルくんゴメン!今おならすると漏れちゃう!><」
犬猫は排泄しないので特に変わらないが、神の干渉か多分プーニャがおならで命令しないと動かないのだろう。
「この能力のキモは、あくまでおしっこをお漏らしさせる能力ではないという事だ。ギリギリがんばれば耐えられる尿意がずっと続く。スキルを使う集中力はなくなり、身動きが出来なくなる。そして、たとえ漏らしたとしても!オレはいくらでも膀胱におしっこを送り込む事ができるのだ!一度決壊すれば永遠に漏らし続ける。エターナルしーしーWORLD!」
まおちゃんとウサギは漏らし続けている。
「だ~く~さ~ん~そろそろ~終わらないですか~ねえええ~」
内側から絶対防音なので紙がにょきっと出てきた。”もう、止められぬ”と書いてある。止まらないのだろう。
「こ、こ、この!へんたい!しね!」
顔を真っ赤にしたソフィが魔法剣をやたらめったら放つがコントロールが甘い。しかし、数は多いからこれなら・・・と思ったが、ヤツは恐るべき身体能力で魔法剣の雨を搔い潜った。チラッ
「そして!オレ自身はおしっこを我慢すればするほど強くなる!”おしっこブースター”!くらえ!おしっ切り!!!」
すんごいスピードでオレに切りかかってくるのでいつも通り薄く眠れる森の美女を張ってギリギリで回避する。チラッ
「なんてヤツだ!!」チラッ
くそう、せっかく虎穴に入って虎児を得たのに録画の魔道具とか作ってないよ!。ギリギリで攻撃をかわしていたらマジトーンでソフィに怒られた。
「アル・・まじめにやれ。」
「ハイ。」
魅惑のおしがまタイムは終わりのようだ。
「えっと、このスキルおしっこの神の力使ってるからソフィなら使っちゃえば解除されるよ。」
オレの体の中には神の力は干渉しないから尿意も特にないし。
「・・・・・・・・」
周りにある大分濃いおしっこの神の力がアッという間に魔法剣になってはるか彼方に飛んでいく。
「はやく言え!しね!」
スキルは解除されたが現在の尿意をなんとかする為に家のテントも出して女性陣はトイレに並ぶ。
敵は急にスキルが解除され驚いている。
「バカな!しーしーWORLDすら解除されただと!」
似たようなスキルを作って対抗しようとしたみたいだけど、オレが使ってるのとは根本が違うしなぁ。
「く、仕方がない。ここは一旦引くとしよう。”にょうテレポート”!」
残念にょうテレポートは発動しません。でも結構すごい勢いでおしっこの神の力が補充されている。このままだと逃げられるけど・・・。ダークはもうお花摘みが終わっているのだ。
「しね」
おお、あれは周りの神の力をなんでもかんでも吸い込んで敵を拘束する魔道具!
「13分割」
やはりスッキリしたソフィが神剣で小間切れにする。真っ二つになっているはずなのになぜか奇数に切り刻む理外の剣技13分割!
「悪は滅びた。」
オレがしみじみ呟くとシルヴィがぽかぽか殴ってきた。
「あるくんは~まったく、あるくんは~。」
「恐ろしい敵だったねー。」
「おまえも死ね。」
ダークからナイフがいくつも飛んでくるが結界はまだ張ったままなのだー。ギリギリ躱していたらソフィにハリセンで殴られた。ついでにウサギも尿まみれのまま突っ込んできやがった。プーニャさんも怒っているらしい。こういう時は男らしく!潔く!・・・DOGEZAだ!
「まことにごめんなさい。」
しばらく殴られたり蹴られたりしながら脳裏にみんなの痴態を焼き付ける。ダメだ!顔がにやけてまた蹴られる!録画の魔道具作ってくれないかなぁ。
美味しいストロベリースイーツを奢りまくってなんとか許してもらいました。
プロットが尽きたので次の更新は遅くなる予定です。前の話を少しづつ直しながら変な敵を思いついたら続きを書きます。




