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かみさまのいるせかい  作者: MIH
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【閑話】神々の一幕、茶番・戯言・人形遊び

 その事件は闇の住人(ナイトメアパーティー)がスイーツの街ジューシーへと向かっている途中の野営でのなにげない会話が発端だった。


 皆で夕飯を食べている時ぽん太とミーちゃんがゴハンを食べなかったのでプーニャが聞いたのだ。

「あれ?2匹共食べないの?」

ウサギとまおちゃんはガツガツ食べている。

”高位存在である我は周囲に満ちる力を取り込む事が出来る。食事も睡眠も必要とはしない。”

”そうねー。あ、わらわは昔暴れまわってた時に人間の家畜をつまみ食いしてたわよ。牛を丸飲みにするとね、喉にツノが引っかかって暴れながら体の中を通るのがまたいいのよー。”


「・・・2匹共必要がないだけで食べれるのよね?」

”食べれるはずだ。食べた事はないが・・。”

”この体になっちゃったから、牛の丸のみはムリねー。”


「じゃあ、これはおならナシでの主としてのお願い。これからは一緒にゴハンを食べよう。スイーツも。」

”構わぬが・・。”

”別にどっちでもいいわよー。”

2匹は少しずつ、そしてパクパクと、食べる速さが上がっていく。


”ふむ、ふむ。なかなか。これは美味しいのではないか?”

”牛の丸のみよりは美味だわね。ちゃんと味がするわ。”

シルヴィの料理は邪神の力が入っていないので美味しいのだ。2匹が食べているのを見てプーニャさんが微笑む。

「ごはんはね、みんなで食べるから美味しいの!。」

それを聞いたぽん太が少し考え込む。

”実は・・・昔勇者と旅をした時一緒に食べないか誘われた事がある・・・。我は神より与えられた使命に囚われ必要ないと断ったのだ。・・・一緒に食べればよかったのだな・・・・。”

「・・・ずっと使命の事だけ考えて、ゴハンも食べないで・・・そんな人生、獣生?悲しいよ。私が主になったんだから、みんなで幸せになろう!。使命の問題も解決?したし、美味しい物をたくさん食べて、自分の好きな事を見つけて、なにもしないでのんびりして!いままでの分取り返さないと!じゃないとバランスが悪いよ(・・・・・・・・)。」

”わらわは好きなようにしていただけだけど、犬が襲ってこないならどうでもいいわ。美味しい物はいただくわ。・・・主、ちょっとこのお肉におならかけてよ。もっと美味しくなると思うのよ。”

”な・・・・猫、貴様・・・天才か!主!我も!”

お皿をお尻に突き出してくる2匹の前にぷー子がカットインする。

ぶうぶう!!

「ぷー子!助けてくれるの!?」

ぶうぶう!ウサギは自分のエサをお尻に押し付けた。自分の分を優先しただけだった。まおちゃんの目が自分のごはんとぷーにゃさんを行ったり来たりしている。

「もーーーー!幸せにおならは含みません!!!。」



という本当にどうでもいい会話に神々は震撼していた。その場にいた少数の神々の動揺は瞬く間に神々を駆け巡り、神界での会議となったのだ。




 神々は実は自分達の人間界の運営は素晴らしいと自負していた。実にバランスが取れている、と。何なら人間からいいバランスを取ってくれてありがとうと感謝くらいされるべきだと思っていた。しかし、神の寵愛を受けたおならの巫女が言ったのだ。バランスが悪い・・と。聖獣フェンリルは遥か昔にバランスを取る為に神々が作ったのだ。その今までの在り方がバランスが悪かったと。・・・。今までも生まれてから死ぬまでずっと不幸だった人間や、ずっと幸せだった人間はいた。神々に酷いと嘆く者もいたし感謝する者もいた。だがそれは個々の話で人類全体でバランスが取れてれば問題ないと思っていた。誰もバランスが悪いとは言わなかったのだ。バランス、調和これらは創造神の最終目的にして神々の絶対条件。それが揺らぐ。


「個人の不幸や幸せなど全体でバランスが取れていればどうでもいいと思っていたが、全体のバランスが取れているのならその中で個人の幸不幸を調整してもいいのではないか?」

「出来る出来ないという話なら出来るのだろうが・・・干渉しすぎでは?」

「だが、確かにずっと不幸なだけの人間もずっと幸福なだけの人間もバランスが悪い。極端な話ではなく、ずっと不幸な人間に少し幸福を。ずっと幸福な人間に少しの不幸を。それぐらいなら大した影響はでないのではないか?」

「なるほど、幸福な人間は不幸を知り自分の幸福を認識する。不幸な人間は少しの幸福に希望や生きがいを見出し、上手くいけば死ぬときに不幸な人生だったがコレがあったから幸せだったとか思うかもしれない。なかなかいいかもしれないな。」

「バカを言うな!一人一人の人生に干渉するなど秩序の暴走だ!人間がただ神の定めた道を歩くだけの人形となる!どんなに努力して幸せでいても神が不幸を差し込み、ナニもしなくて不幸になった人間がナニもしなくても少し幸福になる。人間に知覚ができなくてもそんな不合理が続けば破綻を招く!その為に創造神は混沌を作ったのだ!」

「人は自由であるべきだ。幸福になりたければそうなるようがんばればいいし、不幸で構わないのならナニもしなければいい。その上で全体のバランスが崩れそうな時に干渉すればいいのだ。」

「がんばってもどうにもならない運命もあるじゃないか。勇者と魔王のように。」

「アレはまぁバランスを取る為のそういうシステムだから。」

「勇者や魔王にもその運命に値するだけの幸福を与えるというのはどうだ?」

「だから、個人の運命への干渉はなるべく控えるべきだ。」

「だが、干渉しないほうがいいという話であれば、イレギュラーの事はどうなのだ?アレを排除する為に大分運命に干渉したじゃないか。バランスを取るための影響がすでに多く出ている。」

「なにを言うのだ!イレギュラーの排除はあの時点で全ての神々が同意したはずだ。」

「同意はしたがその余波ですでに個人への運命の干渉は起きている。干渉しない事ではなくバランスを取る事が大事なはずだ。」

「だが、バランスを取る為に干渉した結果生まれた人間の魔王はさらにバランスを崩したのだぞ。」

「あの魔王は重要な局面で神々の干渉を拒否した。コントロールできない力は危険だ。」

「コントロールできない力が危険だからイレギュラーを排除しようという話だったではないか!」

「だが、あの時イレギュラーがなにをしたのか知らんが、なにかをして魔王を排除した。おかげでバランスが保たれたのは事実だ。魔王が排除されなければもっとバランスが崩れていた事は明白だ。」

「だが、そもそもイレギュラーがいなければ人間の魔王など生まれなかったのだ。今後も排除に動くべきだ。」

「そういえば、もう一人人間の魔王?いや剣鬼だったか?いたよな。アイツも干渉できなかったんだろ?」

「ああ。やめろと言っても邪神の眷属も大分殺したし、排除されなければ人間側もバランスが崩れたはずだ。」

「あの場にはイレギュラーがいなかった。オレは見ていたが、なかなかいい運命だったと思わないか?途中で運命を確定したのオレなんだぜ?」

「ああ。相手より弱い恩恵の者が努力で差を埋める。やはり応援してやりたくなりますな。バランスもとれて、剣鬼も排除出来ましたし。」


「神々に申し上げます。」

この会議には大雑把な神々に代わりアカシックレコードにアクセスして事実を上申する執事のような者がいた。

「あの場で確定した運命には台本がございました。」

「は?・・台本?」

「イレギュラーとおならの巫女が用意いたしました物で、取るべき行動や言葉まで指示されていて、結果どうなるかが明記されております。その台本の通りに進行して運命が確定いたしました。」

「なんだそれは。オレは知らんぞ。」

「いいえ。王城にて台本が作成された際、神々の力があったので貴方様と他にも神々がその場にいらっしゃいました。」

「そう・・だったか?なんかやってた気もするが、あいつらなにをやってるか言わなかったから気にしなかった。と、いうか人間ごときが神々の運命に逆に干渉したというのか!?」

「干渉ではありません。運命を確定させたのは貴方様です。また、台本については運命ではなく可能性を記した物でした。ですので複数の台本が確認されております。」

「なんだそれは!」

「あの時、確かに貴方様の確定した運命は可能性の中では一番大きなモノでした。次が剣聖だけが死に剣神が覚醒して剣鬼と相打ちの運命でした。運命に干渉しなくても同じだったと思われます。」

「じゃあ問題はないな。」

「ただし、同じくらいの可能性として剣聖も剣神も死んで剣鬼が生き残り人間側のバランスを大きく崩す可能性もありました。確定しておいて正解だと思われます。」

「・・・だが、2番目の剣神と剣鬼の相打ちが本来意図したバランスではないのか?」

「ん?それでは剣神だけ生き残ったのか?」

「最後の願いにより剣神の恩恵は剣聖へと書き換えられました。結果としては剣鬼と剣神の両方がいなくなったのでバランスがとられております。」

「ああ、特に考えていなかったがそういう運命になったようだ。・・・まて、そういう運命になるように台本とやらに書かれていたのか?」

「はい。台本にはそこも指示がされております。」

「人間が運命を自分の都合のいいように誘導したというのか!」

「ですが、元々そうなる可能性は十分ありました。付け加えるならば、イレギュラーがもたらした武器や防具がなければ95%の確率でバランスが崩れる可能性が選択され、それを修正する為に大規模な干渉が必要となったでしょう。こちらも可能性の話ではありますが。」

「巫女はこんな台本をいつも作っているのか?」

「いいえ。ここまでの物は初めてでおそらくイレギュラーの協力あってでしょう。今までも周囲の者に可能性を話してはいました。ただ、助言や指示は一切せず、話を聞いた者が自分で対応しただけなので巫女の運命への干渉などは一切認められません。また、これまでも巫女の行動によってバランスが崩れた事はありません。」

「やっぱり、干渉しすぎなんだよ。ほっとけばいいよ。」

「運命も思考も読めず、干渉も出来ないイレギュラーのほうが後々問題になる。」

「そうだ!この間もバランスの為に準備した聖獣と邪竜がテイムされた。そんな運命はなかったはずだ。」

「魔王もテイムされた。おならの力は強力すぎるんじゃないか?」

「誰だ!あそこに魔王がくる運命を紡いだのは!」

「聖獣と邪竜の戦いに魔王が加わればイレギュラーなどひとたまりもないとか言ってたじゃないか!」

「あんな事になる可能性はなかったはずだ!。イレギュラーの運命は見えないからわからんが・・」


議論が煮詰まった頃執事が言う

「創造神さまの要請により、イレギュラーの元の世界の神をオブザーバーとして招待いたしました。直接の招待は出来なかった為音声のみとなります。」


「やぁやぁ、呼ばれたんで来たよ。ざっと話は聞いたけど不毛な事してるねぇ。」

「なにを言うか!キサマの世界の魂が原因だぞ!」

「いやいや・・・こっちの世界からの転生で魂はたくさんそっちに行ってるじゃない。こちらには関係ないよ。」

「だがイレギュラーがバランスを崩している!。」

「えーー話を聞いた限りではバランスを崩してるのは神々で、あの子はバランスを整えてくれてるんじゃないの?」

「・・・だが、そもそもイレギュラーがいなければこんなことにはなっていない・・・。」

「そもそもさー、なんであの時あの子に恩恵をあげなかったの?あの子は確かにこちらの世界から魂を転生させたけど、ちゃんとそちらの世界で生まれたそちらの世界の子だよ?なんでもいいから恩恵あげればそのうち世界に馴染んだと思うんだけど。」

「あの時点ではこの世界では異物だったのだ。正しい判断だった。恩恵もなくこの世界から異物とみなされてすぐに死ぬはずだったのだ。キサマが余計な力を与えなければ!」

「与えた恩恵は本当に大したものじゃないよーそれにそちらの世界の魂じゃないって判断されたのならあの時点ではボクの世界の魂だって主張も出来る。恩恵を与えたってそちらの神々に文句を言われたくないねぇ。」

「・・・そんなことより、オブザーバーなのだろう?イレギュラーを排除するにはどうすればいい?」

「なんで排除しようとするのさー。・・・オブザーバーとしてはね、ほっとけばいいと思うよ。どうせ100年も生きないだろうし。そっちの世界はバランスバランスってめんどくさいねぇ。ボクも忙しいからそろそろ切るよ。あの子をよろしくねー。」



 多くの神々が会議を続けたが、その会議に意味などなかった。なぜなら誰一柱として他の神の意見を聞く気は最初からなかったのだから。自分の恩恵にそった思考でバランスを取る事だけを考える。最初から最後までなにも言わない神々も多くいたが、別に他の神に同意した訳ではない。会議の内容など関係なくそれぞれが自分のバランスの取り方だけが正しいとしか思っていないだけだ。そして創造神はそういう風に神々を作っている。全てを内包してバランスを取る為に。


 不毛な会議の果て、天上より光が舞い降りる。トイレの女神様が降臨する。トイレの女神様は創造神により唯一自らの意見を持たず、神々を取り纏め創造神の言葉を宣告するように作られている。

「裁定神がまとめた神々の意見を反映した、創造神よりのお言葉です。まず、実装した各種のシステムは混乱を避ける為、継続とします。なるべく干渉しないで、バランスを見るように。人間側に邪神の使徒を作るのは許可します。人間に危機感と団結をもたらす一端としてある程度の効果を認めます。こちらもやりすぎないように注意してください。正し、これまでの経緯を鑑みて人間に魔王の恩恵を与えるのは禁止します。リスクが大きすぎると判断されました。また、そもそもの原因である人間に劣化勇者が簡単に生まれるのに対して劣化魔王を授ける器が少ないという問題があり、人間側に劣化勇者を与える場合慎重な協議を経てください。こちらは禁止ではありませんが、予めバランスが取れるよう確認してから動いてください。総じて、今現在バランスは保たれており、なるべく干渉しないよう推移を見守るように。イレギュラーに対しても積極的に動くのではなく、バランスの崩れる兆候を見逃さず見守るように。今まで通り運命の干渉は恩恵に留めておく事。そして最終目的は一切の干渉なく永続する調和の世界を作る事で変更はありません。各自が自分の考えで動いてください。・・・以上が創造神様からの宣告です。厳守するように。会議を終了いたします。」




実に茶番である。

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