従魔(聖獣)と従魔(邪竜)と従魔(魔王)
プーニャさんに抱き着いて離れない子供になんでこんな所にいるのか経緯を聞いてみた。ちなみに犬と猫は昔話が本当だったらしい。子供が邪竜に会う為に封印を解いたからフェンリルが復活してああなった所にオレ達が到着したと。
子供は拙いながらも一生懸命今までの事を話してくれた。
「ボク・・ボクもっとずっとずーっと向こうにパパとママと住んでたんだ。周りに少ないけど魔族の人達もいて・・・。でもね、ずっと前に急に邪神様の声が聞こえてね。お前は今日から魔王だって・・・・人間を滅ぼせって・・・・パパとママも人間はひどい奴らだって言ってたんだけど、魔王になったって言ったらね・・・急に旅に出ろって言ってきてね・・。イヤだって言ったんだけど、ママにもお願いしたんだけど、追い出されちゃったんだ。おなかがすいても食べる物もないし、ドコに行っていいかわかんないし、泣いてたらボクよりずっと強い魔物が寄ってきてね・・・・食べ物をくれたんだ。魔族に会うのも人間に見つかるのも怖くて・・・魔獣はいろんな魔獣がいたけどみんな食べ物をくれて親切にしてくれた。ときどき人間に見つかりそうになって、魔獣たちがボクを逃がしてくれて・・・。生きてはいけたけどどうしていいかわからなくて・・・・。そんな時にマオウグンシテンノウ?っていう魔族の人に会ってね。どうすればいいか聞いたんだ。そうしたらその人は教えてくれた。勇者と相打ちになって死ねばいいって・・。いずれそうなるからそれまで出来るだけ人間を殺すんだって・・・。別に人間を殺せって言われてもイヤじゃなかったんだけど・・・・・・ボクが死ぬのはイヤだったんだ・・・だって死にたたくないもん。・・・・。痛いのも絶対いや!、怖いのも・・いや。そういったらシテンノウの人は教えてくれた。ずーっと南の魔獣の住処に昔封印された強力な邪竜さんが眠ってるって。その邪竜さんが目を覚ましたらボクを守ってくれるようにお願いしてみたらどうかって。魔獣たちの助けを借りてなんとかここまで来たんだ。入り口に見えないカベがあって入れなかったから泣きながら叩いてたらなんか見えないカベが消えて、奥で邪竜さんを見つけたからお願いしようとしたら・・急にでっかい犬が飛んできて、邪竜さんと戦い始めて。ボクなんか消し炭になりそうだったからころさないでーって叫んでたら誰かに頭を撫でられて・・・ねちゃった。わすれちゃったけどなにかすごいいいゆめをみていたらボクがまだ赤ちゃんだったころ嗅いだような気がする匂いがして。目が覚めたらキレイな女の人がいて。この人はボクのママなんだってわかって・・・。それで・・・。」
大体の所は分かった。
「泣ける話だけど、プーニャさんに抱き着いてるから50点・・・おまけで60点。」
オレはとりあえず魔王をプーニャさんから引き離す。脇に手を入れて持ち上げる。辛うじて形を保っていた魔王の服ともいえないボロきれが崩れていく。すっぽんぽんになった魔王は・・・。ついていなかった。
無表情でじっくり見つめるオレの視界が急に黒に覆われ、おそらくソフィの扇が頭をはたく。子供だよ?幼女だよ?欲情とかするわけないじゃん。とか思っても口に出してはいけない。そういう事ではないのだ。
それにしてもどうやら魔王はボクッ娘だったらしい。目が見えるようになると魔王は即席のワンピースを着させられている。服がしっかりするとちゃんと女の子に見えなくもない。目は3つあるけど。
「幼女なら加点がある。85点だ。」
辛口の評価に定評があるオレなのだ。幼女だからとて容赦はしない。
とりあえずオレの発言はスルーされた。いつもの事だ。
「いろいろあったけど、成り行きとはいえ、テイムしちゃったからね。責任はとらないと。これからよろしくね。まおちゃん。」
「まお・・ちゃん?」
「うん。魔王だからまおちゃん。今からキミはまおちゃんだ。」
「まおちゃん・・まおちゃん!。ママ!大好き!」
いい話でまとまった。まとまったのだ。突っ込んではいけない。
「プーニャさん。とりあえずオナラテイマーの力で絶対に守るように言いつけて。まず、このPTの全員に敵対してはいけない。犬猫もね、仲が悪くてもいいけど傷つけたり裏切ったりは絶対だめ。」
「”わたしの従魔はPTのみんなを傷つけたらダメ。危険が迫ったらわたしじゃなくても守って。お願い。」ぷ
プーニャさんが真剣に命令する。頭の中に充満するおならテイマーの力がプーニャさんの心からの命令に絶対の枷を掛ける。
「他の人を傷つけてもダメ。ただし、排除してほしい人間もいるしこっちは絶対じゃない。殺していい場合はちゃんと指示をするから従って。」
「他の人にも攻撃しちゃダメ。攻撃してほしい時はちゃんと言うから・・・それと、ミーちゃんとまおちゃんにも魔族とか、魔獣とか・・倒してもらうかもだけど、これも譲れないから・・・ゴメンね。」
「まおちゃんは多分魔王ってだけで戦力にはならないと思うよ。問題が多すぎるからそばを離れてお留守番とかには出来ないけど、戦闘はしないかな。シルヴィと一緒に隠れててね。」
まおちゃんはホッとしている。戦いがイヤでも今は強制されたら従わなくてはならない。両親に見捨てられたと思っている子供にはキツイだろう。
「あとはまぁ、あんまりふらふら離れても困るけど、迷惑をかけないで、ちゃんと擬態してくれればある程度自由にしていいよ。さっき言ったように犬猫は従魔登録するけど・・・さすがにまおちゃんを従魔登録は出来ないからなぁ・・・後でどうせ国の偉い人には言っとかないとだし、どうするかは相談するかー。」
それでも懸案の勇者魔王問題がかたずくのだ。ナーラさんがなんとかしてくれるだろう。勇者と魔王が相打ちになるのがバランスなら一生戦わないで両方存在するならそれでバランスが取れてると思うんだ。神々がどう思うのかわからんからヴィルヘルム君には引き続き頑張ってもらうんだけど、そういう事は言わなくても分かるだろう。ヴィルヘルム君はいいやつで、空気が読めるのだから。
「あとはーーああ、まおちゃんの見た目をどうしようか・・・まんま魔族だし、可愛いけど・・人間に擬態する?こっちもネコにしちゃう?」
ネコにされそうでガタガタ震えている。
「ネコは一匹で大丈夫です。それよりも擬態や隠蔽は案外破られますから、強力な認識阻害の魔道具を作ってそのままで暮らせばどうです?ずっと付けてるアクセサリーにすれば。」
ダークの提案はなかなかいいと思った。認識阻害は意識をずらす力だ。そこにいるのに気が付かれないとかじゃなくて、そのまんま魔族の見た目で認識されているのに問題があるように意識がいかない。そういう魔道具の強力なやつなら隠蔽したりするより違和感がなくなる。
「よし、ぽん太、みーちゃん。爪と鱗くれ。」
「お願い。」ぷ
”仕方がない。仲間の為だからな!使うがいい。”
”わらわの鱗はスゴイのよー。崇めなさい!あともうちょっと増量してもいいわよ。おなら。”
「ちなみに、従魔の上下は強さじゃなくてテイムされた順番だからウサギが一番偉いからね。」
””え””
”ぷうぷう”
貰った素材と魔石大、破れない例の布に台座のミスリル合金。
シルヴィに内容を伝えて、ソフィに神の力を集めてもらって魔道具を作ってもらう。
「”がんだむ~しーらかんす~そんで!ブリッツギャルン!”」
シルヴィの気合と共に大き目の魔石が台座にはまっているチョーカーの魔道具が出来た。
「首輪じゃないけれど、コレを付けて、外さないで。オレ達には魔道具の効果は効かないように出来てる。これを付けてればまおちゃんがそこに居ても誰も問題がある事に気が付かない。でもちゃんと居る事は分かるから買い物だって出来るし、一緒に散歩も出来るよ。」
「あ・・・ありがとう!よろしくおねがいします!」
幼女に感謝されるのは気持ちがいいものだ。ぷーにゃさんは彼女になってもらう前にすでに母親になってしまったのだが・・・まぁホントに親子じゃないし、従魔の契約なのだ。まおちゃんもちゃんと分かってるだろう。
おならの恩恵の女の子は仲間に出来た。その子を支える従魔も揃った。ミッションコンプリートだ。
「ふふふ。さて、今度はどうしますか?おにいさま。」
「もちろん!。」
全ての問題は解決した。これで心置きなく。
「スイーツフェスティバルの続きだ!。」
「え?」
プーニャさん。いや、プーニャ。幸せになるのはこれからだぜ!。




