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かみさまのいるせかい  作者: MIH
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43/58

切り札

切のいい所まで書いたら長くなりました。セリフも多いのですんなり読めたらうれしいです。

 じゃーん!プーニャ=アニマエールが仲間になった!。うれしいね。


「それで・・・、この後はどうします?一度王都に戻りますか?」

ソフィがこれからの予定を聞いてくる。勧誘することばっかり考えてたからPTに入ってもらったあとどうするか全然考えてなかった。うーーん。


 その言葉を聞いてこれからの冒険にワクワクしていたプーニャさんの瞳が曇る。そうだった。

「プーニャさん。」

「はい。」

「オレ達はキミに仲間になって欲しくて勧誘して、見事仲間になってもらいました。なので、こちらはPT加入の契約金です。」

懐から金貨の詰まった袋を取り出して渡す。300枚入っているはずだ。中をみてプーニャさんがビックリしている。

「あ、、あの!ワタシまだなにもしてないし・・・こんな大金・・。」

「契約金はPTに入ってもらう事への対価だから、まだなにもしてないのは当たり前だよ。そのお金はさ、よければプーニャさんが少しでも安心してこの町を離れる事が出来るように、プーニャさんの好きに使ったらいいよ。」

大きなタレ目がちの瞳と目が合う。言いたい事はわかってくれたようだ。

「    ありがとうごまいます。」

「今ウチのPT美味しい食べ物以外はほとんどお金使わないんだよ。シルヴィになんでも作ってもらうから。・・・それにね、現実問題それだけあってもずーっと安泰って訳じゃない。誰かが病気になったらお医者さんにかからないとだし、お金は使えば減っていく。・・・・・・だからさ!今度はプーニャさんが自分の力でたくさん稼いで自分で持っていけばいいんだよ!子供達に両手に抱えきれないほどのお土産をもってね!マジックバッグもシルヴィが作れるからお土産が大量にあっても大丈夫だよ!。」


 あんな輝く笑顔を見てしまったのだ。不安に怯える顔は見たくない。少しは好きな子の前で恰好をつける事が出来ただろうか。ソフィはどや顔でうんうん頷いているので今回は100点だったようだ。


「まぁ、冒険者ギルドにいってPT申請と町を出る報告、孤児院にいってやっぱり町を出る報告と一旦お別れの挨拶・・ここら辺は済ませるとして・・・うーーーん。  !そうだ!せっかくテイマーが仲間になったんだからフェンリルをテイムしよう!。」

「? ??フェンリル?」

女性陣は覚えがないらしい。この世界じゃメジャーじゃないのか?。

「テイマーといえばフェンリルなんだよ。初心者冒険者のテイマーがたまたまフェンリルと遭遇して、気に入られてテイムしたらできちゃった!そして始まるもふもふな旅。ってのが定番だよね?。」

「定番だよねって言われましても~毎度のことながら~どこの定番なのですか~。」

「ふぇ・・ふぇん・・まさか、伝説の聖獣フェンリル様の事ですか!?」

「お、プーニャさんは知ってるの?ドコにいるか知らない?」

「い、いえ!知っているというかですね・・・昔話で聞いたというか・・・。」

「教えて教えて!。」

「はい。まだワタシが小さい頃、母が話してくれたこの辺りに伝わる昔話らしいですよ。」

「お母さん・・エルフの?。」

「そうです。主にエルフに伝わる話らしいですけど、この辺りの町でも伝わってるはず・・どうかな?人は世代交代が早いんで、お話で伝わる話はすぐ消えていくってお母さん言ってました。」


 アカーシャからさらに南にずーっといくといくつか町を超えてとてつもなく広い森が広がっている。エルフの森と呼ばれて、そのもの森の端が境界になって森の中は全てエルフの国となっている。ファンタジーによくあるみたいに基本的にはあまり人と仲良くしない。寿命や性質が違うのもあるだろう。ただ、善神側で人族の括りなので、対魔族や魔獣なので普通に協力はする。やっぱりありがちな、森には迷いの結界もあって浅い場所は大丈夫だけど奥まで入ったら出られなくなる。とはいえ、そこまで閉鎖主義という訳じゃない。草ばっかり食べてる事もないし、嗜好品も好むので信頼を得た一部の商人や商会は結界を抜ける魔道具を与えられて交易もしている。人族の括りなので神の恩恵も当然与えられて、魔獣をメインに戦っているが好戦的だったり外の世界への好奇心が強かったりする一部のエルフは外へ出てきて冒険者として活動したりもする。プーニャさんのお母さんはそんな感じで出てきてお父さんと知り合ったのだろう。ただし、今の情勢はあまりよくない。確かに悪いヤツもイヤなヤツもいたけれど人族として善性が確定していたので問題なかったのだ。奴隷商人とかが潜むようになれば、寿命が長く総じて美しいエルフは真っ先に狙われるだろう。たとえ一部だけだとしてもそういう人間がいる事が問題になれば種族としての溝が深まって邪神側が有利になる。まぁ難しい事を考えて対処するのは国の偉い人達で、EランクPTには関係ない。でもプーニャさんは可愛いからこれからも気を付けないとね。

ちなみに西のほうにはエルフの森からちょっと離れて今度は魔境と呼ばれる森がずーーと広がっている。

邪神側の領域の中でもコントロールされていない森で魔獣が跋扈している。幸いな事にRPGよろしく奥の方へ行けば行くほど魔獣が強くなっていくので浅い所の魔獣はまだ人族で対処できる。エルフは魔族とかよりどっちかというとこの魔境からあふれてエルフの森に侵攻してくる魔獣と主に戦っているのだ。

思考が逸れている内にプーニャさんの話は続いている。


「昔この辺りで暴れまわる強力な邪竜がいました。竜という種族はその力の強さ故にこの世界の属性では中立とされていますが、その竜は戯れに邪神の力をもらい暴れまわったのです。多くの犠牲が出た頃珍しい事なのですが、エルフの若者に勇者の恩恵が与えられました。そして神託を受けてその邪竜を退治する旅に出たのです。邪竜の振りまく瘴気の影響で周りの魔獣も強くなり勇者の旅は厳しいモノとなりました。そんな時神々が遣わしたのが”聖獣”フェンリル様です。邪竜と対をなすほどの聖なる力を与えられ、瘴気を浄化して、勇者と共に邪竜のねぐらへとたどり着きます。激闘を繰り広げ全員が満身創痍となりました。しかし、フェンリル様は気が付いてしまったのです。確かに深手を与えてはいるけれど、こちらも傷つき力も残っていない。このままでは邪竜を倒しきれない。そこで勇者へと言うのです。”我の聖なる力をもって邪竜を封印するのだ。このままではお前が死んでしまう。”勇者は共に戦った戦友を歯を食いしばりながら邪竜と共に封印しました。”いつか我の傷も癒え、邪竜の封印が解かれる時がくるだろう。その時こそ我が邪竜を滅ぼして見せよう。・・・楽しかったぞ。”その言葉を残してフェンリル様は眠りにつきました。魔境のどこかにある邪竜のねぐらの入り口には聖なる結界が張られ、今も邪竜が封じ込められている・・・。というお話です。」

「ディテールがいいね。オレは好きだなぁ。80点。」

「勇者が情けないので30点。」

「ほえ~フェンリルさんというのは~ワンコなのですか~?すごい偉いのですね~。」

「うう。昔話というよりおとぎ話ですね。お父さんと竜を倒したとか眉唾な話もたくさん聞いたので、あまり本気にしないほうがいいですよー。」


「まぁまぁまぁ。いい事を聞けたよ。聖獣。南のほうに薄っすらと聖獣の神の力が見えるんだよね。とりあえず行ってみればいいさ。テイム出来たら強そうだし。」

「ええええええ。」

「アルくんが~こういう変な事を言うのは~いつもの事なので~慣れた方が気が楽なのですよ~。」

「大丈夫です。おにいさまが言うのですから。」


予定通り冒険者ギルドと孤児院へ行って要件を済ませる。もうすぐ日も暮れるので出発は明日の朝だ。プーニャさんは出発する前に最後の夜を孤児院で過ごす。貰ったお金で普段節制してる子供達とたくさんのご馳走を食べて、院長先生と一緒に寝て。翌日朝、元気な顔で夢のゆりかごへ顔を出した。オレは寝坊したので蹴られて起こされた。さすがに今日から新しい仲間と冒険が始まるのだ。ソフィに引きずられて行く訳にはいなかい。寝坊したのは眠いんだからしょうがない。


 町を出て南へぶらぶら街道を歩いて行く。日が落ちそうな頃街道の目印もナニもない場所で遠くに見える魔境の奥に聖獣の神の力を確認したので、そこで野営をする。今のテントVer5はテントの大きさこそ変わっていないけど、シルヴィの能力が上がった事によって内部空間が相当広くなっている。具体的には2階建てのロッジのような内部になっていてリビングがあり、個室も完備だ。中に携帯用トイレのテントも出してあるし、魔道具で水を出してお風呂や台所も完備だ。そういうのが欲しいって言ったのはオレだけど作っちゃうシルヴィはスゴイと思います。これも売れば相当高く売れるだろうけどトラブルの元なのでウチのPT専用だ。もしかしたら王女に頼まれたらソフィが個人的に売るかもしれないが。

外側も魔物避けに認識阻害、簡単な防御結界と、範囲内に敵が入ったら作動する警報装置まであって朝までぐっすり眠れる。プーニャさんには自分の部屋を決めてもらって、女性陣ときゃいきゃい仲良くやってもらう。ここで余計な事は言ってはいけない。黙って見守るのがPT円満の秘訣だ。プーニャさんの装備をオレ達と同じとんでも防御力の服にする話をしている。見せてはもらえないだろうが、きっと下着やアンダーウェアなども更新されるのだろう。評価するからみせてはもらえないものだろうか。


 次の日から魔境の森の奥へと向かって入っていく。ダークに警戒してもらいながら進んでもっと魔獣がわんさか襲ってくるかと思ったらそんなに襲われなかった。ソフィが出しっぱなしの魔剣で雑に処理していく。まだ予定消費カロリーに達していないようで直接切っている。どうやら聖獣とか邪竜の力がうっすら広がっていて魔獣が怯えて距離を取ろうと逃げているようだった。全部の魔獣がって事でもないので出会った魔獣を3枚におろしながら2日進んだ森の奥ですごく怪しい洞窟の入り口を見つけた。入り口に向かうように立っている祠が潰れていて中から聖獣と邪竜の力も漏れてきている。魔法剣を投げたりして確認したが、入り口には特に結界とかなかった・・・・・。おとぎ話は昔話だった説が強まったが、まぁ封印が解けているならフェンリルもいるだろう。フェンリルのテイムが目的なんだから都合がいいといえば都合がいいのだ。洞窟を先へ進む。それほど長い距離ではない位先へ進むと通路に比べてとてつもなく広い空間が中に広がっているのが見えた。バレてるだろうけど物陰から中の様子を伺ってみる。

そこでは怪獣大戦争が繰り広げられていた。

 5m程もある狼、蒼く光る美しい毛並みの推定フェンリルが足場もないのに空中を駆け回り氷のブレスを吐く。黒い鱗に覆われた、竜というより龍。大きさはフェンリルより少し小さく見えるが、角を持つ長い体躯の蛇の背中に大きな真っ白い翼が翻り空中をうねりながら動き回る、毒のブレスを吐いてフェンリルの氷のブレスとせめぎあっている。お互いにすれ違いざま何かスゴイエフェクトを伴った爪が振るわれキバがお互いの命を狙う。体の至る所にキズがあるが、とても致命傷とはいえないだろう。そしてそのちょうど真ん中辺りの地面に頭を抱えて泣き叫ぶ子供がいた。

「ころさないでーーしにたくないいいい。うぇぇぇぇぇん><」

実にカオスである。だが状況は拮抗しているらしくこちらの存在はバレているが気を向ける余裕がなさそうだ。タイミングといい状況といい神々の差し金がうっすら見える気もするが・・・。今から起こる事は要するに神々の自業自得だ。状況を確認して作戦の指示を出す。

「ソフィ、聖獣の力と邪竜の力と周りの分全部使って魔法剣で2匹を叩き落して。あと動き回れないように囲んで。」

ソフィが頷いて神の力の掌握に掛かる。

「ダーク、切り札を切る。アレを使おう。オレが眠らせるから、なるはやでお願い。」

ダークがマントの中をごそごそして準備を整える。

「プーニャさん今からあの2匹を拘束するから、安全になったらおならテイムをお願い。危ないから呼ぶまでシルヴィとココにいてね。」

あまりの光景に呆然のしていたプーニャさんはナニを言われているのか気が付いて今度は驚きで声が出ない。

準備が整ったソフィが仕掛ける。

扇を真っ直ぐ空へと伸ばし、振り下ろす。

神の力(動物園)。」

2体の周りから魔法剣が降り注ぎ、聖なる魔法剣は邪竜を、邪なる魔法剣は聖獣を打ち据えて地へと落とす。数多の魔法剣が地に伏した2体の周りに突き刺さり即席の檻となる。それぞれの弱点属性が効いて身動きを止められる。2体共ブレスで薙ぎ払おうとしたようだが、今そこには神の力はないのだ。ブレスが発動しなくて混乱している2体に駆け足で近づいてその頭にそっと触れる。直接触れるのはヤバそうだったので一応服と同じ素材のグローブをしている。薄いが間にグローブがあるので力を送り込むのは少し大変だけど、2体は眠りに落ちた。ついでに間で震えている子供の頭も撫でて眠らせておく。こっちはグローブをとって直接なのでぐっすりである。上位存在だろう2体は一応寝たけどすぐに目が覚めるだろう。魔法剣の拘束も破られるかもしれない。でもこれだけ時間があれば十分。切り札を切る時だ。オレは呟く。

「こんなこともあろうかと。」


ダークが音もなく2体に首輪をかけていく。魔道具なのでサイズは問題ない。自動調整だ。首輪を掛けられた2体はそれぞれ相対する力で抑え込まれる、ただし、首輪に込められている力を使い切ったら終わりだし、強力な2体はすぐに開放されてしまうだろう。だがしかし・・だ。

次元鎖(マテリアルチェーン)

ダークが続けて半透明な存在のあやふやな鎖を取り出すとフェンリルの首輪と邪竜の首輪に両端をつなげた。

「陰陽相克陣!」

ダークがカッコイイポーズを取る。その瞬間、フェンリルと邪竜の”力”というか”存在”が抑えられる。一応ちょっと強い魔物くらいの気配になった。


 この魔道具は目の前で魔王と勇者が戦いだして巻き込まれそうになった時に使う為作っておいた切り札の一つだ。首輪自体は単純な拘束用の魔道具。鎖は62階層の別次元からきたみたいなよく分からないスライムからドロップした素材で存在すら不明なよくわからない物質。ソレにソフィが次元とか時空とか時間とか無理矢理つっこんでシルヴィが魔道具にした。時間と空間を超えてつながる鎖だ。それぞれではその程度の効果しかない魔道具を、首輪と鎖が繋がった時に発動する魔道具として更に錬成してある。

効果はそれぞれの首輪の装着者の力を使って反対側の首輪の装着者の力を抑え込む。これを勇者と魔王につけて力が抑えられている間に逃げようという算段だ。ちなみに陰陽相克陣に特に意味はない。たまには漢字を使ってかっこいい技名とかつけたいなあと思って閃いたので提案したら評判が良かったのだ。

この魔道具の一番凶悪な所はその原理だ。それぞれの力をお互いに抑え込む効果にはこの世界の根幹をなす、バランスをとる、調和するといった概念が強く強く込められている。この世界の理は神々にさえ覆せない絶対条件なのだ。もちろん、欠点がないわけではない。まず神々が定めた対となる存在でないと使えない。火の魔王と風の勇者で使ってもバランスが取れないのだ。まったく同じ力を持っていなければどちらか片方が簡単に抑圧を振りほどく。そうしたらもう片方も解放されるのでイミがない。真の魔王と真の勇者とか世界に認められている対でないとダメだ。あと首輪をつけたり鎖を付けたりちょっと手間がかかる。剣鬼と剣神でも出来ただろうけど、そもそも剣鬼に首輪をつけようとすればその場で切り殺されるだろう。使い勝手は微妙だが、神々でさえ覆せない理を強制するので切り札の一つなのだ。今回はアホな神々のちょっかいで対の存在がそこにいたのでありがたく使わせてもらう。事が終わった後にいくら慌てても神々の自業自得である。


 目覚め掛けの2体をさらに拘束してプーニャさんを招き寄せる。

「さあ!そこのフェンリルの顔にお尻を乗せて!テイムするんだ!」

「えぇぇぇぇ」

プーニャさんは泣いていたが諦めたようで言われた通りテイムする。

「”おならテイム!”」ぷ

なんにもならないと顔が言っている。

「ホントに出来るんですかー?」

「出来る。おならテイムは効果が蓄積するからずっとやってればそのうちテイム出来るよ。」

「ずっとぉ・・・・」

諦めてプーニャさんは連続おならテイムを始めた。ぷー子が興奮しながらおこぼれにあずかろうと腰をふっている。

「おならていむ、おならテイム、おならていむ」.ぷっぷ、ぷぷ

おならテイムの原理は単純でおならテイムの神の力が相手の頭の中に入っていき、頭の中がおならで一杯になるとテイムが成功するのだ。以後、定期的におならを嗅がないと禁断症状に苦しみ、結果絶対服従となる。体も頭も大きいからね、ちょっと時間もかかるだろう。見ていたら頭の中に声が響く。

”き・・貴様!・・・・ナニをしてい、くさ!なにをしている!。我を聖獣フェンリルとし、うお!知っての事か!”

フェンリルは念話も使えるらしい。プーニャさんが涙目で問いかけてくるが、にこやかに頷いておいた。

「ゴメンナサイ!おならていむ!ゴメンナサイおならていむおなら」ぷぷぷぷぷ

泣きながらおならテイムをしていて前後不覚に陥っているらしくおならテイムじゃなくて普通のおならが混じっている。かわいい。まぁ問題はない。

”ヤメッ!ぐお!ヤメローーー”

悲痛な念話が響く中おならの音が鳴り続ける。

そして、実に2時間後。テイムが成功した。さすが神に遣わされた聖獣フェンリルだ。

”うむ・・・事ここに至ってはしかたがない。誇り高き聖獣フェンリルはそなたを主と認めよう・・。半分とはいえ、かの勇者と同じエルフ。これも運命であったのであろう。”

偉そうに言っているが体は寝っ転がりヘソ天である。服従である。

「そうだ。名前はありますか?従魔には名前を付けるんですよ。」

プーニャさんが聞くが個体としての名前は特にないようだ。

”我はフェンリルだ。それが我を現す言葉だ”

「それは種族名じゃないですかー。ちゃんとあなたの名前を付けないとー。うーーーーーんそうだ! ”ぽん太”はどうですか?」

”なんだ・・その・・・そこはかとない屈辱を感じる名前は・・・もっとあるだろう!威厳のある名前が!”

「えーー・・・じゃあーぽん吉とか?あ、もしかして女の子なんですか?」

”聖獣たる我に性別などない!ぽんをやめろと言っているのだ。イヤほんとやめてほしいのだ。”

「わたし・・・実は子供の頃どうしても犬を飼いたかったんですよ・・・。でも色々あって結局飼えなくて・・・・。それでずっと想像してたんです。どんな名前をつけようって・・。どんな風に可愛がろうって・・・。」

”しんみりしてもダメだから!名前は大事だから!よく考えてってええああああああ・・・我はぽん太・・。主に従うモノ・・・くううう。”

「ぽ・・・ぽん太ーーー」

自分より大きいフェンリルの顔にしがみつくプーニャさん。いい話だぜ。95点。


”ク・・・クハハハハッ実に!実に滑稽なり!神の獣とか偉そうにしていた貴様が人間ごときに尻尾をふって・・・・ぷぷぷぷ・・・ぽん太・・・お似合いだなぁ”

さすがに2時間、邪竜も目を覚まして状況を見守っていたらしい。眠らせた子供はすやすやで起きる気配もないというのに。もちろん力は抑え込まれているので拘束からは逃げられないし身動きは取れない。

”む!主よ我の後ろに!神の使命にかけてこの邪竜は滅ぼしてみせましょう!”

”ぽん太が粋がるでない。”


「いやいや、キミも今からテイムされるんだよ?」

”え?”

”は?”

「え?」

オレは懐からキレイなハンカチを取り出し邪竜の顔の上にふわりと掛ける。

「プーニャさん。どうぞ。お願いします。」

表情が抜け落ちたプーニャさんはおならテイムをするマシーンと化した。シルヴィの助言が効いているのだろう。考えてもムダだ。

”やめロ!わらわっぶ、わらわを誰とこころえる!ぶお!竜王の一族にしてじゃしぶは!邪神のちからを振るう災厄!ううう。邪竜ケツアルコカトリスだぞ!ぶ!畏れろ!ぐう・・・”


思った通りテイムには2時間かかった。対の存在だしね。

”むう・・・。不本意ではあるが、魂には従うしかない・・・。わらわはケツアルコカトリス。ケツアルコカトリスじゃ。名前はケツアルコカトリスでいいぞ!あと、わらわに命令したいのなら、毎回おならをしろ!それで言う事を聞いてやろう!”

”ああっズルイぞ!自分ばっかり!主!我も!我もおならを所望する!言う事を聞くから!”

醜い争いを始めた2体の間にするりとダークが立ちふさがる。

「ミーちゃんです。」

「「「「「は?」」」」

””は?””

「あなたは今からミーちゃんです。私ずっと猫が飼いたかったんですよ。」

そういってダークは邪竜がはめている首輪に鈴を付ける。すると竜の体が光り変な音をたてながら小さくなっていく。変化が収まった時そこに居たのは真っ白いネコだった。

「こんなこともあったらいいなと、シルヴィに頼んで作ってもらっていた魔道具です。外見を誤魔化すとか認識阻害とかじゃなく、鈴を付けた存在の魔力とか神力とか勝手に吸い上げて強制的にネコの体を手に入れます。あなたはミーちゃんです。」

”!!!!!!”

ミーちゃんが猫の顔で呆然としている。

”ぶぶっ!ネコ!ネーコー!邪竜とか言ってたのに猫!しかも邪神の眷属なのに白猫!ぶはははは”

”にゃんっにゃんだと!犬っころが!”

「・・・あなたはミーちゃんです。」

”!えっ!あっ!やめて!わらわケツアルコカトリス!ケツア・・ああああみーちゃん・・・になってしもうたーー。”

完全に脱力して液体のようになったみーちゃんをダークが抱き上げる。

「えーっと2体の力を抑えている魔道具はセットになっていて、首輪を掛けたダークか主のプーニャさんが%を決めて解放できるよ。50%とか80%とか。100%にすると外れちゃうから気を付けてね。あと特性上片方だけ解放とか出来ないから、解放するなら両方50%とか80%とかになるよ。戦いの時は解放してもらうと思うから時々訓練しておいてね。猫は多分50%くらいから魔道具の力を上回って邪竜に戻ると思う。また0%まで抑え込めば勝手にネコに戻るけどね。」

プーニャさんが頷いている。テイマーとは従魔を従えて戦う職業なのだ。この2体は強力ではあるけどそれに指示を出すプーニャさんががんばらないと真価は出せない。

「あとぽん太は大きすぎるから小さくなるように命令して、上位存在の体は物質と神の力のゆらぎが大きいから体の大きさとかは自在に変えれると思う。従魔登録する時は犬と猫だね。」

”犬・・狼でもなく・・・我いぬ・・。”

”ねこ・・魔物でもないネコ・・・(=^・・^=)”

「分かりました。ぽん太・・小さくなって!。」

ぽん太は小さくならない。お座りして舌をだしてへっへっへって感じだ。

「プーニャさん・・・おならをすれば多分言う事を聞いてくれるよ・・・おならテイマーはそういう力だから・・・。」

「ううううううううう、ぽん太!小さくなりなさい!。」ぷぷ

”わん!”

ウサギはチャンスを逃さずお尻にむさぼり付き犬はちょっと大き目な小型犬くらいになってプーニャさんの後ろに回ってお尻に鼻先を押し込む。大きさ的にはもふもふ出来ていい感じだと思う。

ネコは2匹がお尻に突っ込んでいるのを見て我も我もと暴れるが、ダークの拘束を抜けれる訳がない。拘束のプロなのだから。たとえ猫が液体だとしても・・・珍しくうっきうきでなでくりまわしているダークは止められない。

「ちょやめ、やめてー。」

ぽん太に鼻先を際限なく突っ込まれプーニャさんは悲鳴をあげて逃げている。実に平和だ。

「あ・・・思い出した。プーニャさん。こっちの子もおならテイムして。」

すやすや寝ている子供を指す。だが、その頭には小さなツノが生えていて目は3つある。魔族の子供だ。

「はいは・・え?この子魔族ですか?大丈夫なんですか?テイムって出来るの?」

「大丈夫大丈夫。おならテイムの力は生き物なら脳みそなんてなくても絶対きくよ。世界で唯一オレにだけは効かないけどね・・・。」

カッコつけたつもりだがソフィが後ろでバッテンを作っている。ダメだったかー。まぁオレにテイムが効かないのはホントだ。おならテイムの神の力でもイヤがってオレの中には入ってこない。結果オレがおならを嗅げるだけになるのだ。ついでにソフィは神の力を操れるのでおならテイムが発動しないし、ダークの顔にまたがるのは不可能だ。シルヴィには普通に効くけどテイムなんてしなくてもシルヴィはちょろいのでお願いすると大抵の事はしてくれる。エロい事はダメだけど。


 とりあえず、オレの発言はスルーしたようで魔族の子供に座る訳にもいかず、軽く顔にお尻を向ける。

「おならテイム」ぷ

「ふわっっ」

おならに目を覚ましたがプーニャさんを見るとテイムは一発で成功したようだ。チョロい。

「ま・・・」

「「「ま?」」」

「ママーーーーー」

そういってテイムした魔族の子供はプーニャさんに抱き着いた。殺しておくべきだったか?いやでも殺せないんだよなぁ・・・。まぁ仕方がない。これも含めて運命なんだろう。


「あ、その子魔王だから。」


 ママ発言にびっくりしている全員にとりあえず真実だけを端的に伝えるのだった。どうしてこんな事になったかは聞いてみなければ分からないのだから。








 


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