夢に向かって進め
転生前も含めて初めて彼女が出来ました。
いやまぁさぁ、子供の頃からそれらしく誘導してみたし、こんなに可愛い女の子が好いてくれて彼女になってくれて結婚までしてくれるんだから嬉しいんだけどさぁ。生まれた時から一緒にいたから空気感がもう家族なのよ。大好きだし付き合いはじめたばかりなのにもう熟年夫婦なのよ。彼女の存在に憧れていたオレとしてはもうちょっとイチャイチャラブラブしたいのよ。エッチな事もまだ出来ないみたいだし。
そういう訳で、なるはやでロックパッカー商会経由で約束したブツを納品して南へと旅立つ。プーニャさんもきっとオレを待っているハズだ。それなりの物を渡したのでそれなりの金額になった。何年も遊んで暮らせそうだけど、そういう訳にもいかないだろうからスイーツや美味しいもので散財していきたいと思います。
乗り合い馬車を乗り継いで向かっているが、馬車の中で女性陣がこしょこしょスイーツがとかおなか周りがとか言っている。スイーツフェスティバルはもろ刃の剣なのだ。あと半日ほどでアカーシャの町という所まできて襲撃があった。周りを囲まれて御者が叫ぶ。
「ひゃーー!海賊だーー!たすけてくれー。」
御者は周りの海賊?の間を普通にすり抜けて逃げていく。相手も追っていかない。アイツ仲間なのか。
周りを囲んだならず者は10人ちょいくらい?みんなお揃いの薄汚れた横縞のシャツを着てバンダナを締めて抜き身で曲刀カットラスを持っている。恰好は確かに海賊っぽいけどココはド内陸だ。海なんて遥か彼方だ。
「おうおう!マブいスケが乗ってるじゃねぇか!!大人しく出てきな!」
ちなみに不人気路線らしく客はオレ達だけだ。御者が情報を流していたんだろう。
ソフィとダークが立ち上がる。
「ダイエット器具が向こうから来てくれたようなので、少し運動してきますね。」
無表情でダークのマジックバックから剣を抜く。いつもの魔法剣じゃなくて直接戦闘するみたいだ。だが、取り出したのは円卓の騎士の一本で多分雷の魔剣だろう。
軽い調子で外へ出て行き、何も知らない海賊さん達が喜びの雄たけびをあげる。ソフィはフツーに走って行って切りかかる。軽くカットラスで受けようと海賊が構えるがカットラスがするりと切れた。殺さないように切り刻み、ついでにカットラスもさくさく切っていく。あれでダイエットになるのだろうか?。
近くにいた5人ほどが突っ込んでくるがソフィは軽やかに躱しながら丁寧にカットラスを切っていく。
「か、、海賊の力がきかないだとお。」
陸上でどんな海賊の力が効くのだろうか。
「あ。」
ソフィがちょっとミスったらしい。正面の海賊が頭から縦に切れた。
「ひ ひいい」
「船長! ドフィ船長ーー助けてくれー」
外側にいた海賊が逃げ出すがダークが張った暗黒結界で暗闇に突っ込んでいくとUターンして戻ってきてしまう。手下がパニックになった所に大声が響く。
「うしししし。おめぇつええなぁ。このオレ、盗賊ギルド人攫い担当!海賊船長ドフィが相手だ!。おめぇら歌ええええ。」
なにかイヤな感じがする。
パニックだった海賊たちが声をそろえて歌いながら一斉に襲い掛かってきた。
「ありったけ~の~♪金を~♪かきあーつめ~♪本物の~♪海賊に~♪な~り~にいくのさ~♪」
いけない!その歌はダメだ!というか陸上だしやっぱり本物の海賊じゃないのかよ!ダメだ、ツッコミどころしかない。ちなみにこの世界では海には普通に魔物がわんさかいて逃げ場もないので船に乗って航海するような人はいない。せいぜい近場で小魚を小舟で取る程度だ。だから本物の海賊になれても襲う相手がいないし、海賊だろうが魔物に船ごと殺される。心の中で突っ込んでいる内に吹っ切れた海賊達が次々とソフィに切り殺される。
「邪神からもらった海賊船長の力を思い知れ!オレの力は体がゴムのように伸びる事!!ごむごむのーーーー」
海賊船長ドフィがカットラスを持った腕を後ろに振ると腕が伸びていく。
「ソフィ!船長だけ尋問するから残して!あとは切っていいよ。」
そういった瞬間船長の腕が戻ってくるよりも速くソフィの持った魔剣が雷を帯びてその場で軽く振っただけで船長の腕を斬り飛ばした。
「あまりダイエットにはなりませんでしたね・・・。」
そう言いながらしょんぼりと残りの海賊を切り殺した。
腕を押さえて唸りながら船長は足を伸ばしてその場から逃げようとする。ソフィに片足を切られダークに拘束されて地面に倒れこみ戦闘・・戦闘?は終了した。山賊も大概だったけど海賊もひどいな。なんか変な能力持ってるかもだから一応気を付けないと。
拘束した船長にソフィが自白の魔法剣を打ち込む。
「近くに仲間がいるだろ?誰だ?ドコにいる?」
「せっかく邪神に海賊の力をもらったのに近くに海も船もなかった!だから・・・金を貯めてみんなでいつか海で本物の海賊になるのが夢だったんだ・・・・。みんな・・・死んじまった。あそこの初心者の森に奴隷商人が待機している。あとアカーシャの町に盗賊ギルドがあって仕切ってる。」
聞いてもいないのに自白より先に夢を語りだした。海賊船長の恩恵なかなかやるじゃないか。でも情報は取ったので殺しておく。体がゴムのようにって、拘束とか逃げそうだしメンドクサそうだしね。仲間の元に送ってあげないと。
「逃げた御者は戻ってこないし、とりあえず森の奴隷商人とっ捕まえるかー。」
「歩けばちょっとはカロリー消費できるかしら・・・。」
「ソフィはそのままでもかわいいよ。」
「そういう問題ではありません。」
やっぱりきゃっきゃうふふにはならない。付き合ってるハズなのに。だがそんな事でダイエットに励む女の子に否を言うのは愚か者だ。黙って付き従えばそれでいいのだ。
ダークに探索してもらって薄い森の中に待機している馬車があったので普通に襲撃する。護衛は2人ほどで瞬殺されて、奴隷商人は戦闘能力がないようだった。とりあえず拘束して尋問である。
尋問しようとした時女性陣が馬車の中に檻に入れられた4人の子供達を見つけた。声を掛けても身動きもしないし声も出さない・・・いや出せないのか?4人は首輪のようなモノをはめられていた。
「ヒヒヒ・・そいつらには奴隷環をつけてあるし、オレのスキルで奴隷紋もすでに入れてある。そいつらを開放できるのはオレだけだ!自殺されたくなけりゃあオレをさっさと解放しろ!」
ああ、身動きしないように命令されてるのか・・。ソフィがマジ怒ってる。
「破壊神」
4つ魔法剣が浮き上がり子供達に突き刺さる。ソフィはあんまり邪神側の魔法剣は使わないけど、使えないわけじゃない。たかだか奴隷商人の恩恵のスキルじゃなんでも破壊する邪神の力に勝てる訳がない。子供達の奴隷環と奴隷紋が破壊され消えていく。もちろんちゃんとコントロールされていないとフツーに子供自身が破壊されちゃうんだけど大丈夫っぽい。3人はぼろいお下がりのような服を着ているけど、一人だけ裕福な商家のような服の女の子がいる。4人は奴隷状態から解放され大声で泣きだした。身動き出来ないよう命令されてもちゃんと意識はあるのだから、さぞ怖かった事だろう。
「な・・な・」
奴隷商人は急に奴隷とのパスが消えて呆然としている。ダークが無言でとりあえず奴隷商人の片腕を消し飛ばす。
ソフィが檻を切り刻んで4人を開放したらシルヴィに任せる。泣いてる子供の相手をするなんてミッション難易度が高すぎる。
「はいはい~みんな~すぐにおうちに帰れるからね~もう大丈夫だよ~。」
さすが最年長。この安心感よ。外見は子供達とあまり変わらないけど・・。
ソフィが自白の魔法剣を呻いている奴隷商人に突き刺す。
「うああああ。せっかく…子供の頃からの夢だった奴隷商人になれたのに・・・。オレをバカにしたアイツも、オレを振ったあの子もみんな奴隷にするハズだったのに!!。盗賊ギルドの人攫いから商品を受け取って奴隷にしてアイツらに言われた顧客に売り渡してたダケだ!オレは悪くねえ!。」
いや、悪いだろう。
「ソフィ、残念だけどここで殺しちゃダメだ。町で衛兵に引き渡して、いままで奴隷にして売った子供達を取り戻してもらわないと。」
「・・・。」
不満そうだけど、納得してくれた。オレ達がそこまで干渉して解決とか出来ないからね。
子供達を馬車に乗せ、奴隷商人は拘束したまま馬車の後方にロープで結びつけて引っ張っていく。
御者が出来る人はいないけれど、光の翼との旅の時ちょっとだけシルヴィがレジーナさんに教わっていたので正確な操縦みたいなことは出来ないけれど馬に任せて進んでもらう。ゆっくりと移動したのでソフィは剣をぶらぶら歩いて移動している。オレは愚か者ではないので何も言わないのだ。
夕方、日が落ちそうな頃ようやくアカーシャの町へと到着したのだった。
ならず者の夢はどうでもいいから、オレの夢を叶えなければ。




