第五話 昼寝中の火災騒動!?
本作は、作者自身が中学生だった頃に実際に体験した出来事をもとにしています
鈴音の家に引っ越してからというもの、安森の生活はようやく少しずつ軌道に乗り始めていた。
毎朝六時半に起き、まだベッドの中でぐずぐずしている鈴音を起こし、二人で一緒に街角の朝食屋へ朝ごはんを食べに行く。食事を済ませると、安森は鈴音を光明街中学まで送り届け、それから市立病院へ向かい、一日の実習を始める。
昼になると、病院の仕事がそれほど忙しくない場合、安森はあらかじめ鈴音に連絡してから、学校まで迎えに行く。
二人はたいてい近くの小さな食堂で昼食を済ませ、時には弁当を買って家に持ち帰り、食べることもあった。
そして夕食の後は、二人で一緒に病院へ行き、入院中の林おばあちゃんを見舞うのだった。
安森はあくまで鈴音の下宿人にすぎないのだが、林おばあちゃんは明らかに彼を家族の一員のように扱っていた。顔を合わせるたびに、彼を引き止めてしばらく話をし、最近の実習はどうか、ちゃんと食事をしているかと尋ね、ついでに鈴音のことももっと気にかけてやってほしいと念を押すのだった。
そんなとき、安森は当然、笑顔でうなずくしかなかった。
何しろ、家賃は無料で、光熱費も鈴音のおばあちゃんが負担してくれているのだ。大家さんは、これほど広い家に住まわせてくれるだけでなく、何かと自分の生活まで気にかけてくれる。これでは、自分も少しくらい何かしなければ、申し訳ない気持ちになってしまう。
一方、鈴音も、そばにもう一人いる生活に少しずつ慣れてきていた。
最初の数日間は、安森と話すときもまだ少しぎこちなく、うっかり目が合ってしまうと、すぐに視線をそらしていた。けれど、一緒に過ごす時間が長くなるにつれ、彼女も徐々に緊張を解いていった。
安森の帰りが遅くなったときには、先にメッセージを送って、いつ帰ってくるのか尋ねることもあった。安森が朝寝坊したときには、勇気を出して彼の部屋のドアをノックすることもあった。
どれも取るに足らない小さな出来事にすぎない。けれど、そんな日々の積み重ねによって、もともとはがらんとしていた家にも、少しずつ生活の温もりが生まれていた。
そうして、何事もない平穏な日々が何日か過ぎていった。
その日の昼も、安森はいつもどおり昼食を済ませると、鈴音を連れて家に帰った。
今日の昼食は、二人で近くのファストフード店から買ってきた弁当だった。おかずが三品入っていて、牛乳も一パック付いている。
安森は食べながらも、忘れずに文句を口にした。
「この店、料理の量はなかなか良心的なんだけど、こいつはなあ……肉を切るときに、店長は虫眼鏡でも使ってるんじゃないか? 一切れでも多く入れないように、必死になってそうだ」
向かいに座っていた鈴音は、自分の弁当箱に目を落とし、思わず口元をほころばせた。
「そんなことないと思うけど? 私は十分だと思うよ」
「それは鈴音が少食だからだよ。もっと大きくなれば、この程度の肉じゃ全然足りないって分かるさ」
「でも、安森お兄ちゃん、もう食べ終わってるよ?」
「……」
安森は自分の空っぽの弁当箱を見下ろした。
なるほど。
どうやら食べる量に関しては、彼には文句を言う資格がなさそうだった。
食事を終えた二人は簡単に片づけを済ませ、それぞれ自分の部屋へ戻って昼寝の準備をした。
窓は少しだけ開いていて、暖かな日差しがカーテン越しに部屋の中へ差し込んでいた。時折、そよ風が吹き込み、遠くから鳥の鳴き声が聞こえてくる。
安森はベッドに横になり、何気なくスマホを手に取って時間を確認した。
午後に病院へ行くまで、まだ時間はたっぷりある。
彼はあくびを一つすると、スマホを枕元に置き、目を閉じた。
隣の部屋では、鈴音もすでに布団に潜り込んでいた。
午前中の授業で疲れていたのか、それとも、ここ数日の生活にだんだん慣れてきたからなのか、彼女はすぐにリラックスし、呼吸も次第に穏やかになっていった。
ほどなくして、二人はぐっすりと眠り込んだ。
しかし、二人とも気づいていなかった。
家からそれほど遠くない路肩で、一台の車が音もなく燃え始めていたことに。
最初は、車体のそばから、目立たない黒煙が一筋立ち上っただけだった。
だが、黒煙は次第に濃くなり、車体に沿ってゆっくりと上へと流れていった。
やがて、近くにはツンと鼻を刺すような焦げ臭いにおいが漂い始めた。
「ん? あっち、煙が出てないか?」
ちょうど窓の外を見ていた上階の住人のおじさんは、最初、誰かが路肩でゴミでも燃やしているのだろうと思った。だが、その黒煙が一台の車から立ち上っているのを見て、たちまち顔色を変えた。
「まずい! 火事だ!」
彼は慌てて家を飛び出し、廊下に向かって大声で叫んだ。
「火事だ! みんな、早く出てこい! 急いで下に降りるんだ!」
叫び声を聞いた近所の住人たちは、次々とドアを開けた。子供を抱えている人もいれば、スマホを手にしている人もいる。中には靴さえ履き終わらないうちに、慌てて階下へ駆け下りる人までいた。
おじさんもほかのことには構わず、一軒一軒ドアを叩き、まだ避難していない人たちに早く外へ出るよう促した。
一階まで駆け下りたところで、彼はふと、あることを思い出した。
待てよ!
一階には、若い二人が住んでいたはずじゃないか?
昼にも、あの二人が一緒に帰ってくるのを見かけた。あのときは、笑顔で挨拶も交わしたのだ。
そう思い出したおじさんは、すぐさま安森の家の前まで走り、手を上げて、ドンドンと力いっぱいドアを叩いた。
「ドンドンドン!」
「誰かいるか? 早くドアを開けてくれ!」
家の中からは、何の反応もなかった。
おじさんは眉をひそめ、もう何度か力いっぱいドアを叩いた。
「おい! 中に誰かいないのか?」
それでも、物音一つしなかった。
彼はたちまち焦り始めた。
まさか、この若い二人、まだ寝ているんじゃないだろうな?
そう思ったおじさんは、ほかの人の迷惑になるかどうかも気にせず、声を張り上げた。
「安森! 鈴音! 早く起きろ!」
「寝てる場合じゃないぞ! 外で火事だ!」
「火事だ! 早く出てこい!」
部屋の中では、安森がまだ夢うつつの状態で眠っていた。
ぼんやりと、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた気がした。
最初は夢でも見ているのだろうと思った。
だが、声はどんどん大きくなり、慌ただしくドアを叩く音まで混じってきた。
「……ん?」
安森は眉をひそめ、ゆっくりと目を開けた。
「誰だよ……昼間っから、ゆっくり寝かせてくれよ……」
半分眠ったまま、枕元のスマホを手探りで探す。
しかし、次の瞬間、ドアの向こうから聞こえた言葉に、彼は一気に目を覚ました。
「火事だ! 早く出てこい!」
火事?
安森は勢いよく上半身を起こした。
ほぼ同時に、鼻を刺す煙のにおいが漂ってきた。
振り向くと、窓がまだ開いており、その向こうからすでに黒煙が流れ込んできていた。
「うわっ!」
これで安森は完全に目が覚めた。
上着を着る余裕もなく、スマホをつかんで部屋を飛び出すと、まっすぐ隣の鈴音の寝室へ向かった。
「鈴音! 起きろ!」
彼は勢いよくドアを開け、足早にベッドのそばまで行くと、布団を引きはがした。
「鈴音、早く起きて! 大変なことになった!」
「うぅ……」
突然の物音に驚いた鈴音は、ぼんやりと目を開けた。
ベッドのそばに厳しい表情の安森が立っているのを見ても、まだ何が起きたのか理解できていないようだった。
「安森お兄ちゃん……どうしたの?」
「火事だ! 外で火事が起きてる! 早く起きて!」
その言葉を聞いた途端、鈴音のぼんやりしていた目に、ようやく意識が戻ってきた。
「か、火事!?」
「そうだ! ぼーっとしてないで、早く靴を履いて!」
安森はそう急かしながら、枕元に置いてあった鈴音のスマホを手に取り、彼女に渡した。
鈴音は慌てて起き上がり、もたつきながらも靴を履いた。
安森はドアのところで彼女を待ち、準備ができたのを確認すると、すぐに連れて外へ駆け出した。
ドアを開けた途端、廊下から近所の住人たちの慌ただしい足音や叫び声が聞こえてきた。
空気には、はっきりと煙のにおいが漂っていた。
安森はぐずぐずしていられなかった。鈴音の手をしっかりと握り、彼女を連れて素早く家を出ると、外の空き地まで走った。
ようやく安全な場所にたどり着いて、彼はやっとほっと息をついた。
「ふぅ……何とか外に出られたな」
鈴音も足を止めた。緊張のせいか、その小さな顔は少し青ざめていた。
彼女は無意識に安森の服の裾をつかんだ。どうやら、さっきの恐怖からまだ完全には立ち直れていないようだった。
周囲には、すでに大勢の住人が集まっていた。
スマホで通報している人もいれば、離れた場所から火の様子を見守っている人もいる。驚いて泣きそうになっている子供をなだめながら、煙を上げる車を何度も振り返っている人もいた。
安森はすぐに、人混みの中に先ほどドアを叩いてくれたおじさんの姿を見つけた。
おじさんはその場に立ち、焦った様子でほかの住人たちと何か話していた。
安森は鈴音を連れて、急いでそちらへ向かった。
「おじさん、さっきは本当にありがとうございました!」
彼は真剣な表情で礼を述べた。
「おじさんが何度もドアを叩いて起こしてくれなかったら、外で何が起きているのか、まだ気づいていなかったかもしれません」
鈴音も一緒に頭を下げ、小さな声で言った。
「おじさん、ありがとうございます」
おじさんは手を振った。
「いやいや、礼なんていいって。ご近所同士なんだから、こういうことがあったら助け合うのが当たり前だろ!」
そう言ってから、彼は二人を上から下まで見て、けががないことを確かめてようやく安堵した。
安森は、遠くでまだ煙を上げている車に目をやり、思わず尋ねた。
「ところで、おじさん、いったい何があったんですか? 普通に停まっていた車が、どうして急に燃えたんでしょう?」
その質問を聞くと、おじさんは何とも言えない表情を浮かべた。
「俺もさっき、ほかの人から聞いたばかりなんだ。どうやら、誰かが車の持ち主に借金を返せって催促したらしいんだが、金を回収できなかったらしい。それで腹を立てて、ガソリンを使って路肩に停めてあった車に火をつけたんだと」
「えっ?」
安森は一瞬、言葉を失った。
鈴音も目を丸くした。
二人は示し合わせたかのように顔を見合わせ、ようやく事情を理解したような表情を浮かべた。
「なるほど……」
安森は思わず感嘆の声を漏らした。
いやはや。
車の故障か何かだと思っていたのに、まさかそんな事情があったとは。
とはいえ、借金の問題と、車に火をつけることはまったく別の話だ。
こんなことをすれば、単に少し金を払って済ませられるような話ではない。
「最近の人って、怒りっぽすぎないか……」
安森は首を振り、スマホを取り出した。今回のことを親友の王郝に知らせようと思ったのだ。
まず、遠くで煙を上げている車の写真を一枚撮り、それからチャットアプリを開いて王郝に送った。
続けて、もう一通メッセージを送る。
【安森:今日の昼、俺がどんな目に遭ったか、絶対に想像できないだろうな】
メッセージは無事に送信された。
安森は写真を眺めながら、今回の出来事はどう考えてもあまりに突拍子もない話だと感じた。
しかし、よく考えてみれば、上階の住人がすぐに異変に気づき、何度もドアを叩いて起こしてくれなかったら、どうなっていたか分からない。
そう思い、彼は隣にいる鈴音に目を向けた。
「どうだ? 怖かったか?」
鈴音は首を横に振り、それから小さくうなずいた。
「ちょっとだけ……」
少し間を置いてから、彼女は顔を上げ、まだ恐怖の残る声で安森を見つめた。
「でも、安森お兄ちゃんが起こしてくれて、あのおじさんもずっとドアを叩いてくれたから、本当によかった。そうじゃなかったら……私たち、危なかったかもしれない」
最後まで言うと、彼女は無意識のうちに、もう少し安森のそばへ身を寄せた。
安森はそれに気づくと、手を伸ばして彼女の肩をそっと叩いた。
「もう大丈夫だ。ちゃんと外に出られたんだから」
「これから、こういうことがあったら、まず危険な場所から離れること。ほかのものは何だっていいんだ。分かったか?」
「うん……」
鈴音は素直にうなずいた。
そんな彼女の様子を見て、安森は心の中で小さくため息をついた。
どうやら、今日の昼寝は完全につぶれてしまったらしい。
それに、午後の実習も何とかして休みをもらわなければならなさそうだ。
そう考えていると、遠くからようやく消防車のサイレンが聞こえてきた。
数台の消防車がすぐに現場へ到着し、消防士たちは迅速に動き始め、燃えている車への対応に取りかかった。
見物していた住民たちは、消防隊員が活動できるよう、次々と後ろへ下がった。
消防士たちの尽力によって、火はすぐに勢いを弱め、その後、完全に消し止められた。
ようやくそのときになって、安森は本当の意味で胸をなで下ろした。
時間を確認し、隣にいる鈴音を見たあと、彼はやはり学校と病院に休みの連絡を入れることにした。
何しろ、つい先ほどあんなことがあったばかりだ。鈴音も、すぐに平静を取り戻すのは難しいだろう。
まず、鈴音の担任の先生にメッセージを送り、家の近くで火災が起きたこと、鈴音に付き添って事後の対応をする必要があることを説明し、午後半日の休みを願い出た。
そのあと、病院の指導医にも連絡し、同じように事情を説明した。
幸い、どちらも二人を困らせることなく、すぐに休みを認めてくれた。
「よし、今日は午後、半日休みにしよう」
安森はスマホをしまい、鈴音に言った。
「あとで家に帰って、煙で何か汚れていないか確認しよう。特に問題がなければ、心配しなくていいからな」
鈴音は小さくうなずいた。
ただ、これですべてが終わったわけではなかった。
消防士たちが現場の安全を確認すると、警察官も近くに到着し、周囲の住人たちから事情を聞き始めた。
何人かの目撃者に話を聞いたあと、警察官は安森と鈴音のところへやって来た。
「お二人は、この近くに住んでいるんですか?」
「はい、警察官さん」と安森は答えた。
「この車がなぜ燃えたのか、何か知っていますか? そのとき何をしていたのか、それから、不審な人物を見かけませんでしたか?」
安森は首を横に振った。
「すみません、私たちは何も見ていません。そのときは家で昼寝をしていて、近所の方がドアを叩いて『火事だ』と叫んでくれたので、そこで初めて外で何か起きていると知りました」
警察官はうなずき、さらにいくつか簡単な質問をした。二人が出火の瞬間を目撃していないことを確認すると、ほかの住人たちへの聞き取りに向かった。
現場の状況が次第に落ち着いてくると、安森は鈴音を連れて、ようやく家に戻った。
玄関に入った途端、彼は反射的に天井を見上げた。
「うーん……大丈夫かな?」
リビングを一周し、窓に近い場所まで行って、念入りに確認した。
窓辺には少し灰が落ちていた。空気にもまだかすかに煙のにおいが残っている。だが、部屋の家具やほかの物には、特に影響がなさそうだった。
安森はもう一度天井を確認し、目立ったすすの跡がないことを確かめて、ようやくほっと息をついた。
「よかった。家の中は大したことなさそうだ」
鈴音も自分の部屋を確認し、壊れたものがないことが分かると、ようやく安心した表情を浮かべた。
「よかったぁ……」
「そうだな」
安森はスマホをポケットにしまった。
「そうじゃなかったら、今夜は二人でどこか泊めてもらえる場所を探さなきゃいけなかったかもしれないぞ」
その言葉に、鈴音は小さく笑った。
張り詰めていた空気も、ようやく和らいできた。
それでも、安森は今日起きたことを忘れてはいなかった。
あの親切なおじさんがすぐに知らせてくれなければ、二人はまだ眠り続けていたかもしれないのだ。
そう思い、彼はもう一度スマホを取り出し、王郝にメッセージを送った。
【安森:マジな話、今日は上の階の住人に助けられたよ。そうじゃなかったら、俺と鈴音はまだ家の中でぐっすり寝てたかもしれない】
ほどなくして、王郝から返信が届いた。
【王郝:???】
【王郝:お前、いったい何をやらかしたんだ?】
安森は画面を見て、思わず笑った。
詳しい経緯については、次に会ったとき、ゆっくり王郝に話してやるつもりだった。
何しろ、今日の出来事はあまりにも突拍子もない。メッセージを数通送っただけでは、とても説明しきれそうになかった。
夕方になると、安森と鈴音は再び一緒に病院へ向かった。
林おばあちゃんの病室に着くと、彼女はベッドの頭側を起こし、寄りかかるようにして座っていた。ここ数日と比べると、顔色もだいぶよくなっているようだった。
二人の姿を見るなり、彼女は笑顔で手招きした。
「あら、二人とも、今日はどうしてこんなに遅かったの? 家で寝坊でもしたのかい?」
その言葉を聞いた安森は、何とも言えない複雑な表情を浮かべた。
「おばあちゃん、半分は当たってますよ」
「あら? どういうことだい?」
そこで安森は、昼に起きた火災について、簡単に説明した。
話を聞き終えた林おばあちゃんは、たちまち笑顔を消した。
「何だって? 車が燃えたって? 二人とも大丈夫だったのかい?」
「大丈夫です、大丈夫です。おばあちゃん、僕たちは二人とも無事ですよ」
安森は慌てて説明した。
それでも、焼けてしまった車や、上階の住人が必死にドアを叩いていた様子を思い出すと、安森の胸には、やはりぞっとするような恐怖が込み上げてくるのだった。
人生とは、いつもそんなものだ。
ほんの少し前までは、何の変哲もない昼休みをのんびりと過ごしていたのに、次の瞬間には、思いもよらない出来事が突然降りかかってくることがある。
そして、本当にありがたいのは、毎日が何事もなく穏やかに過ぎていくことだけではないのかもしれない。
思いがけない事態に直面したとき、手を差し伸べてくれる人がそばにいることなのだ。
安森と鈴音にとって、この日は少し肝を冷やす一日となった。けれど同時に、二人は改めて気づかされた。
無事に家へ帰り、大切な人と一緒に食事をし、他愛のない話をする。
それ自体が、かけがえのない、大切にすべきことなのだと。
放火した犯人は刑罰を受けたらしい。その後、借金を抱えていた本人は、とっくにアメリカへ逃げていたという話も聞いた。犯人は腹いせに、長い間ずっと停めっぱなしになっていた車に火をつけたそうだ。
幸い、車は長いこと動かされていなかったため、ガソリンが残っていなかった。そうでなければ、爆発していた可能性もある。
そう考えると、あのとき車のそばで野次馬をしていた自分も、本当に危なかったんだな……。




