末路
「嫌だ───っ!」
大きな声で、叫ぶモノが居る。
「嫌だ嫌だ嫌だ、嫌だ───っ!止めてくれ…止めてくれ…止めてくれ───っ!!止めてくれよ───っ!!お願いだ…お願いだから、止めてくれよ───っ!!」
止めて欲しいと叫ぶモノは、初めは幼い少女の姿をしていた、酷く醜い男だった。
酷く醜い男は、尚叫ぶ。
「今迄の非礼は詫びるからよー、如何か、如何か助けてくれよ!なあ、この通りだから、俺をこれ以上先に進ませないでくれ──っ!お願いだー、頼むからーっ!!」
必死になって、止めて欲しいと懇願する醜い男。
その醜い男に
「あらあらあら、先程迄の威勢は何処に行ったの…?」
「おやおやおや、頼むと願いながら、何処迄偉そう何だろうね…」
「さてさてさて、未だに口の利き方がなってないなぁ…」
「「「ふざけるなこの罪人が!!」」」
「お前は何処迄、上からの物言いをするんだ!」
「お前は何処迄、偉そうにするんだ!」
「お前は何時迄、自分の思い通りになると思っているんだ!そんなお前などが」
「「「赦されると思うな!!」」」
隠れるモノ達が、醜い男に怒声を浴びせる。
「ヒイィーッ!!」
直接、頭の中に響き渡る怒声に、堪らず悲鳴を上げる醜い男。
悲鳴を上げた途端に
「お願いだ!いや、お願いします!ででで、ですから如何か、お、俺を…いえ、私を助けて下さい!後生です!如何か、如何かお助けして下さい!!如何かあ───っ!!」
何とかして助かりたい男は、先程迄の口調を改め、何度も何度も繰り返して、助けて欲しいと叫ぶ。
が…
「お前を助ける義務は無い…」
「お前を赦す義理も無い…」
「お前を赦せる筈も無い…」
「「「お前を救う訳が無い!!」」」
容赦なく、怒号を浴びせる隠れるモノ達。
「ヒイッ!…そ、そんな…た、頼むよ…お願い」
「「「黙れ!この外道があ!!お前はそれ以上、汚く不愉快な言葉を吐くなあ!!」」」
余程の事をしたのだろうか、醜い男の言葉を遮り、黙れと言う…。
なのに…
「チッ…このクソ野郎共が…。この俺様が、わざわざ泣いて縋ってるのによ、可哀想だとは思わねぇのかよ…。慈悲の心も何も無えのか?少しは赦してやろうとかは、思わないってか!?本当にクソ野郎共だぜ…胸糞悪りぃ奴らだぜ…」
と、平然と悪態をつくのだ。
醜い男のその言葉に
「お前には既に慈悲を与えているぞ…」
「なのに、更に悪態をつくとはな…」
「もぅお前の言葉を聞く気にならん…うんざりだ…」
「これ以上、反吐が出そうなお前の言葉を聞きたくは無い…」
「よって…」
「「「お前の口を縫い塞いでやるわあ!!」」」
我慢の限界が来たのだろう…。
隠れるモノ達が、醜い男の口を見えない糸で、縫い塞いだのだ。
「─ッ!?ン─ッ!ン─ッ!ン─ッ!」
口を塞がれた醜い男が、縫われた事に驚き、何かを言いたそうに、必死に叫ぶ。
「ン─ッ!ン─ッ!ン───ッ!」
縫われた口を無理矢理にでも開け様と手を口に当て、唇を上下に強く引っ張るのだが、かなり強力に縫い結ばれていたのか、全く開く事は無かった。
それ所か、口を開かせ様と力強く引っ張った所為で、唇以外の肉を削ぎ取ってしまうのだ。
自ら傷つけた痛みで
「ンンン─────ッ!!…ン────ッ!」
と、悲鳴を上げた…。
「ン─ッ!ン─ッ!ン──ッ!」
悶絶しながらのたうち回る醜い男に、隠れるモノ達が
「あははは、これは愉快だ…」
「あははは、愉快愉快…」
「あははは、滑稽滑稽…」
「「「あはははは…」」」
醜い男の滑稽さに、笑いが止まらない隠れるモノ達。
隠れるモノ達の笑いは、更に続いた…。
「「「あははははははっ…あっははははは…」」」
その間も傷の痛みと、縫われた口を開けようと、のたうち回る醜い男。
のたうち回りながらも
(クソ!クソ!クソがぁー!俺様をこんな目に合わせやがってぇ!…殺す…殺す…絶対殺す!!必ず見つけ出して殺してやるからなあー!!腸引き摺り出して、その腸で首を締めてやる!)
等と思いながら、勝手に動く体でも、隠れるモノ達を見つけ出そうと、必死に探す。
(何処だ…何処に居やがる…。出て来い…出て来い…出て来やがれ──っ!)
喋れなくなってからは、この憎悪を消さぬ為にも、心の中で激しく罵るのだった。
殺す、殺す、殺す…と思ってた時
ガラガラガッシャ───ン!!
また、自分の元居た場所から、モノが崩れる音がした。
「ン────ッ!」
驚く余り、恐怖の悲鳴を上げる醜い男。
また段々と、青ざめていく男に
「クスクスクス、また驚いた様だ…」
「クスクスクス、実に間抜けで滑稽だ…」
「クスクスクス、こいつは愉快だ…」
「「「アハハハハハッ!」」」
「そんなお前に一つ、良い事を教えてやろう…」
「どうせ無駄になるだろうが、教えてやろう…」
「お前が本心で思う謝罪と、我等を見つけた時だけは、話せる様になる…」
「だがお前の事だ…」
「「極悪人のお前には、出来やしない…」」
アハハハハと笑う声が反響し、至る方向から聞こえてくる…。
響く笑い声から伝わる恩讐の念が、男を恐怖に陥れる。
「ン─ッ!ン─ッ!…ン─…ン─…」
止まない笑い声が頭に響き、ダラダラと汗を掻き始めた頃
ガチャッ…
気づけばドアノブを握り、ドアを開いていた。
「!!!?!?」
パニックになる醜い男。
このドアの向こうには、罪と業を背負った自分の姿が在るのだと、隠れるモノ達から聞かされていた男は、自分の罪と業を見るのが怖かったのだ…。
だからこそ、あれだけ拒否をして、隠れるモノ達を脅し、罵っていたのだった。
だがそれは赦される事なく、強制的に、自分の罪と業を見せられてしまう。
ドアの向こうに在る、自分の罪と業とは一体…。
そんな疑問を思った時
ガシャ──ン!
ガガガ、ガッシャ───ン!
ガラガラガラ…
再度、崩れる音が聞こえ出した。
それも、勢いをつけて、男の方に近づいてきた。
「ンンンッ!?ン─ッ!ン──ッ!」
醜い男は焦った。
ドアの向こうに在る、罪と業もそうなのだが、少し前に、隠れるモノ達が言っていた、此処に在った各部屋や建物は、自分の良心だと言う事。
その良心が全て崩れ、壊れてしまったのなら、その時は、自分はどうなるのだろうかと思うと、只焦る事しか出来なかった…。
次々と崩れ壊れていく部屋と建物。
全てが崩れ壊れてしまう前に、早く奴等を見つけなければと、懸命に見つけようとするのだが、何故か自分の意志で動く事が出来ない男は
「ン─…ン…」
と、今にも泣き崩れそうになっていた…。
崩れ壊れていく中、最後に残ったモノは、ドアと男の足元だけ…。
残り僅かな良心である、最後の床が消えそうになった時
「いよいよ残り僅かだな…」
「その僅かな良心が、消えてしまうぞ?…」
「残念ながら、お前はゲームに負けたのだ…」
「「「フハハっいい気味だ…アハハハハ…」」」
隠れるモノ達が、そう言っている間にも、徐々に崩れていく床。
いよいよ爪先立ち程になった時
「お前にまたもう一つ、教えてやろう…」
「お前の良心が消えてしまえば、一体どうなるのかを教えてやろう…」
「だから、ちゃぁんと聞くのだぞ…?良いな?…」
「先ずは、ドアの向こうをよく見ろ…」
「そこには何が在る?何が居る?…」
「しっかりと、よく見る事だ…」
「「「さぁさぁさぁ…」」」
隠れるモノ達に言われるまま、醜い男は、ドアの向こうを見る。
そこには悍ましい姿をした犬が一匹居て、じいっとこちらを見ている。
その犬の片隅には、幾つモノ夥しい人骨と、様々な骨が転がっていた。
こちらを見る犬の居る部屋をよく見れば、機械仕掛けの餌箱には、血を滴らせた生肉が入っている。
横に置かれている水やりの装置には、鮮血が注がれていた。
更に別の場所を見れば、そこには大きなテーブルが置かれ、テーブルの上に在る透明なケースには、眼玉が沢山入っていた。
その部屋から見える窓の外は、豪雨と雷雨が入り混じった天気だった。
男は思った。
その部屋こそ、自分の罪と業の部屋であり、そこはまさに地獄の一部屋なのだと、男は思ったのだった。
地獄の部屋だと思った瞬間、自分の過去の事全てを思い出す。
人を騙し、モノを欺き、神を呪い、そして、全てを殺した男…。
その名は、世良場と言う名の男だった…。
自分勝手なその男は、男女問わず恋をし抱き抱かれ、相手に飽きたり、自分のモノとなら無いのなら、殺しては、そのモノを喰べた最悪の悪鬼だった…。
最後に手を掛けたモノは、自分のモノにならなかった、女の恋人。
自分勝手なその男は、愛される事を願っていた。
愛される事を願っているのに、男は身勝手過ぎて、誰からも愛される事は無かった。
人の肌を恋しがり、モノの温もりを欲っしていたのに、余りにも身勝手過ぎて、誰からも、どのモノからも、愛情を注がれる事が無かった…。
身勝手な男は、次第に全てのモノに対し、どうせ愛されないのなら、全てを欺き殺し、壊してしまおうと、次第に逆恨みをしていく…。
悪業を重ねた世良場は、人としての人生を、処刑として終える事になる。
処刑された後、輪廻の輪の働きにより、様々な世界で、その業を浄化させられる筈だった。
だが世良場はどの世界でも、身勝手な業を重ね続けていき、世界を渡る内に簒奪し続け、身に付けた神々の力で、神をも欺き殺し、全てを喰べたのだ…。
全てを平らげた世良場は、その喰われた全てのモノの怨念により、冷たい闇へと封じられてしまう。
温もりを求めた世良場は、封じられた闇の冷たさに耐え切れず、渡り歩いた世界で得た力を闇に譲り渡すからと、助けて欲しいと懇願する。
だが、その願いは聞き届けられず、更に冷たい闇へと押し込まれそうになった時
「なぁ頼むよお願いだ…。一度で良い…俺に本当の温もりを感じさせてくれねぇか…。如何せこのまま、冷たい闇に封じられるのなら、最後に一度だけ…俺の願いを聞いてくれねぇか?既に、俺の力を奪ってるんだろ?ならよ、何の力も無い俺なんだ…その願いくらい、叶えてくれよ…頼むからよ…なぁ?…」
と、冷たい闇となった全てのモノに、温もりを感じたいと、頼み込むのだ。
すると…
「悍ましきモノよ、貴様の願いなぞ、誰が叶えるものか!貴様の望みなど、誰が叶えたいと思うか!貴様は黙って、只大人しく、闇に押し潰されていろ…」
先程迄、世良場の言う事になど、何一つとして、無言を貫いていたのに、最後と言う願いに反応したのか、返答する喰われしモノ達。
返答された事により
(しめた!チャンスだ…)
と、良からぬ企みを企てる世良場は
「おぉまさか返事が返ってくるとは、思わなかったぜ…」
「………黙って消えろ、悍ましいも」
「ちょっと、ちょっと待ってくれよ!頼むからちょっとだけで良い、俺の話を聞いてくれないか?頼むよお願いだ…」
最後迄言わせずに、言葉を遮って迄、話を聞いて欲しいと言う世良場。
「………五月蝿いゴミが…大人しく黙」
「分かった、分かったからよ、俺の言い分を聞いてくれたら、大人しく黙ってやるから、どうか俺の提案を聞いちゃ〜くれねぇかな?」
また、無理矢理に話を遮って迄言った言葉には、提案の言葉が含まれていた。
その提案の一言に
「………提案?だと…?…ふんどうせまた、くだらぬ事を吐かすのだろう…。聞く迄も無い…話はここ」
「おいおいおいおい!俺様の話を聞けって言ってるだろう!!じゃねぇ〜と、ずうっといつ迄も、騒ぎ続けるぜ?それでも良いのか?アンタ等が、それでも良いってんならよ、それはそれで、俺は別に構わなぇぜ?唯、俺様の忍耐力を侮るなよ…覚悟は良いか…?」
更に、話を遮ったかと思えば、今度は脅しを掛けてきた…。
世良場の脅しに、暫し無言の喰われしモノ達。
「無言って事は、俺様の提案を拒否って事だよな…?へっ!まぁ良いぜ?そっちがその気なら、予告通りにする迄だ…へへっ…」
これが最後の警告と言わんばかりにまた、脅しを掛ける世良場。
「…また無言か…。しゃ〜ねぇなぁ〜…それじゃぁ…」
「……話を聞こう……」
「おっ!?何だ!?やっ〜と聞く気になってくれたってか?ハッ遅〜よ!もっと早く決断しなよな!このクズ共が…」
また上手く騙せれば、この窮地を打破出来る上に、この怨念の塊をも喰ってやろうと考えた世良場。
その世良場に、闇となった怨念が聞く。
「…貴様のその図々しい物言い…今は赦してやろう…。だから早くその提案とやらを話すがいい…。我等の気が変わらぬ内にな…」
この時世良場は、しめた!と思った。
これで自由になれるとも、思ったのだ。
「…話さぬのか…?話さぬのなら、これ以上は時間の無駄だ…消えるがいい…」
「待って待て!待ってくれよ、俺とアンタ等の仲じゃないか〜。唯ちょっと、アンタ等に分かり易く話すにはって、考えてただけなんだよ…」
「…ふんっ…ならさっさと話すがいい…」
「OK、それじゃ話そうか…」
喰われしモノ達に持ち掛けた内容とは、こんな感じだった。
世良場と、喰われしモノ達との賭けをする事。
その賭けの内容は、今も続いているかくれんぼをする事だった。
決め事とは、世良場が隠れる喰われしモノ達を見つければ、願いである、本当の温もりを味合わせて貰うと言う事。
世良場が見つけられなければ、簒奪し続けて身に付けた、神々の能力を全て手放し、何も無い一つの塊として、未来永劫、冷たい闇に封じられると言う事。
それが、世良場が言った、賭けの内容だった。
「如何だ?この内容の賭けなら、受けてくれるだろ?頼むからここは、はいと答えてくれよな…。じゃねえ〜とよ、如何なるか分からねぇぞ?今なら未だ、逃げ延びるだけの力は残ってるんだしよ…はいと、答えなよな…」
太々しい言い方をするのだが、確かに世良場には、未だ逃げ延びるだけの力が残っていた。
だが逃げ延びてもそれだけで、残り全ての力が尽きる事を理解していた世良場は、最後の賭けとして、内心ドキドキしながら、喰われしモノ達の返答を待つのだった。
沈黙が暫く続き、このまま黙ったままなら、最後の力を使って逃げようかと思ってた矢先…
「いいだろう…その賭けを受けよう…」
と、賭けを受理される。
「ったく遅〜よ!時間を無駄にしてんじゃねぇ〜よ!っさあ、さっさと始めようぜ!そんでもってよ、さっさと終わらしちまぉうぜ?」
自分勝手に物事を決め、進め始めようとするが
「何を勝手に話を進めようとしている、承諾はしたが、貴様の言い分だけ聞いて、誰がはいと答える?こちらの言い分…いや、条件を呑まなければ、賭けはせぬ…」
と、言うのだ。
「なっじょ、条件だとぉ!?そ、そんな、冗談じゃないぜ!既に決まったんだからよ、今更条件をって〜、そんなの無くても良いだろうが!?」
「…フッ…なら賭けは無しだ…。話は此処迄だ…消えるが」
「待って!待ってくれ、待ってくれよ!…あぁ、分かった…呑むよ…あぁ呑むさ、条件を呑みゃあ〜良いんだろ!?チッ!本当、融通が利かねぇ奴らだな…胸糞悪りぃ…」
悪態を吐いてでも、喰われしモノ達の条件を聞くという世良場は、余程、冷たい闇に封じられる事が、嫌だったみたいだ…。
ブツブツ小言で文句を言いながら
「で?その条件とはどんなのだ?早く教えろよ…」
と、条件を聞くのだ。
喰われしモノ達が出した条件とは
・1つ、今の記憶を無くす事。
・2つ、複数体の喰われしモノとの勝負。
・3つ、広域の建物の中で行う事。
・4つ、神々から奪った残りの力を使用しない事。
・5つ、子供の姿で在る事。
・6つ、全ての喰われしモノ達を見つけ出す事。
・7つ、この中の条件のいずれかが、破られた時点でゲームオーバーとする事。
と以上が、喰われしモノ達の条件だった。
「ちょっ、ちょっと待てよおい!条件多くないか!?余りにも多過ぎるぜ…。そんなにキツくされちまうと、やってられないぜ…。もっと軽くしてくれねぇかな…」
出された条件が多いと、文句をつける世良場。
文句を言った瞬間
「!?」
冷たい闇の圧が、増し始めるのだった。
「おおお、おい!待て!待ってくれ!返答無しで、それはねぇだろ!?おい待てって!待ってくれよなあ!!」
急激に増す圧に、焦る世良場。
「お願いだー!待ってくれよ!」
お願いだと叫んだ時
「条件を呑めぬのなら、賭けは成立しない…。よって、このまま闇に沈むがいい…」
と、慈悲のカケラも無い言葉が、返ってきた。
恩情も慈悲も無いのだと理解した世良場は
「分かった!分かったから、闇に沈めないでくれ!じょ、条件は呑むからよ、頼むよなぁ!?」
これ以上、闇に呑まれたくは無いと、必死に懇願する。
懇願し続ける世良場に
「………良いだろう…賭けは成立した…。では早速始めよう…」
この言葉で、世良場と喰われしモノ達の賭けが成立し、ゲームが始まる。
「こちらから出すプレイヤーは、三体だ…。上手く見つけられると良いがな…」
この言葉がスタートの合図となった。
こうしてゲームが始まり、幼い少女の姿に変わり、記憶を消した世良場は、自ら提案したゲームを進め、今の現状になったのだった。
今現在の状況となった時に、世良場は気付く。
ゲームの終わりを迎えたという事で、縫われた口の糸が解かれた。
その途端
「は、謀りやがったなあ!?今完全に記憶が戻って分かったが、条件の中で、広い建物でゲームを進めるってのは、お前等が用意した建物なんだと思ってたんだぜ!?そ、それをまさか、俺様の良心を使って創り出すだなんて卑怯だろ!こんなイカサマ、俺は認めん!無しだ!今直ぐ止めてやらあー!こんなイカサマゲーム、やってられるかよ!」
喰われしモノに、卑怯だと噛みつく世良場に
「おやおやおや、こいつは何を言ってるのだ?…」
「まあまあまあ、可笑しな事を言うものだ…」
「さてさてさて、自分を棚に上げるとは…」
「「「ふざけるな!お前が今迄してきた事だろうが!!何犠牲者面をしている!!この罪人がー!!」」」
自分の事を棚に上げて、文句を言う世良場に、容赦なく怒声を上げる喰われしモノ達。
「ヒ、ヒイ───ッ!」
その強烈な怒声に、本気で萎縮し、悲鳴を上げる世良場。
悲鳴を上げた、その瞬間…
パキパキパキィ──ッ…
最後の床が、音を立てて崩れてしまう。
「嗚呼ッ!?嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼っ!」
全てが壊れ、足場も無く、ドアノブにしがみつくしか出来ない世良場は
「す、すみません…赦して下さい…。何処か、何処かこの通り…。心の底から謝ります…謝罪します…。ですから何処か、何処か助けて下さい…お願いします…」
と、初めて心の底から、謝罪の言葉を述べるのだった。
「お願いです…赦して下さい…。何処か、何処か…赦しを…下さい…」
「ようやく初めて、心の底からの謝罪をしたな…」
「だが時既に遅し…。お前は賭けに負けたのだ…」
「だが幾つか教えてやろう…。その謝罪に免じてな…」
赦す事はしないが、初めて本心での謝罪に免じ、幾つか教えると言う、喰われしモノ達。
赦さないと分かり、ガタガタ震えながら、黙って聞く世良場。
「お前の良心と言っていたのは嘘だ…」
「………えっ?………」
嘘だと言われ、困惑する世良場。
「あれはお前の悪意…お前の悪意が、あれだけの建造物を創っていたのだ…」
「向こうに見える犬は、以前のお前の姿…」
「以前のお前は、善意なるモノを美味そうに喰っていた…」
「このゲームでお前は悪意を失い、善意の塊となった。だからこれからお前は、善意の塊として、お前自身に喰われる事になる…」
「そしてこれから先、何度も同じ事を繰り返す…」
「喰われたお前は、再度蘇り、化け犬のお前に喰われ続けていく…」
「「「それが、お前の罰だ!!」」」
あははははと笑う、喰われしモノ達。
「最後に一つ、我等が隠れていた場所とは、どこだかわかるかな?…」
隠れしモノ達を見つけられなかった世良場に、喰われしモノ達が尋ねる。
聞かれた世良場は
「わ、分かりません…。全く…分かりませんでした…」
と、どこに隠れていたのか分からないと答えた…。
その返答に、高笑いし
「やはり貴様は馬鹿なのだな…」
「ここ迄馬鹿だとは思わなかった…」
「ずっと、ヒントや答えは出ていたのに…」
と、世良場の間抜けさを笑うのだった。
「ヒ、ヒント?…答え…?」
一体今迄に、ヒントや答えが有ったのかと思う世良場は
「ひ、ヒントなんて、何処に有った!?答え!?いっ、一体何処に有ったって言うんだ…」
と、問うと
「未だ分からないのか…呆れるなぁ…」
「呆れる呆れる…本当、お間抜けさんだな…」
「此処迄抜けていると、滑稽で愉快だ…」
「「「ワハハハハッ」」」
喰われしモノ達の高笑いが、直接頭の中に響く。
この時になって、やっと答えに気付く世良場。
「なな…エッ!?嘘だろ!?もしかして…もしかして…」
目を見開き、信じられないと思う世良場に
「フッ…やっと気付いたか…」
「ハハッ…如何やらその様だ…」
「アハハッ…そう、それが正解だ…」
「「「我等はずっと、お前の頭の中に居た…」」」
喰われしモノ達の答えに
「そんな…嘘だろ…嘘だろ!?嘘だよなあ!!嗚呼あ───っ!!」
初めの頃から、ずっと有った違和感に気付けなく、完全に騙されたと思った世良場は絶望し、絶叫を上げた。
その絶叫を聞いた、喰われしモノ達が
「「「アハハハハッいい気味だ!アハハハハハハ…」」」
と、心底嬉しそうに笑うのだ。
ひたすら続く、喰われしモノ達の笑いに、完全に心が折れ、最早何も考えられず、只の肉の塊と化した世良場。
その瞬間、世良場に喰われしモノ達が、解放されたのだった…。
完全に無力化された世良場に
「さぁお前の罪を自身の手で、裁かれるがいい…」
「さぁ進め罪人よ…」
「未来永劫、悠久なる時を罪人として、繰り返し裁かれるがいい…」
「「「さぁさぁさぁ…」」」
こうして世良場は、自身の手により、犯した罪を裁かれる事となった…。
「さらばだ罪人よ…」
「罪人よ、永遠に償い続けよ…」
「これで二度と、会う事は無い…」
「「「この虫ケラが!アッハハハハハハ…」」」
喰われしモノ達の笑い声が、闇の中へと静かに消えていく…。
こうして一人の罪人の一日が、終わりを告げた…。




