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家次さんと、  作者: 斗彫
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14/18

僕と友だち。


学期末の最終テストまで、猶予期間は今日を含めて残すところ三日だけ。もう目前まで差し迫っている学期を締める最大の一大イベントまで実質的には二日しか余裕が無いのだが、稔の心配を余所に勉強をしていなかったという刀也の言葉は本当の事だったらしい。一週間、溜まりに溜まった各教科の予習プリントを前にして、唇をへの字に曲げた刀也の手は、一向に動き出す気配もみせない。


「俺こんなとこ勉強してねンだけと、なんで二時間飛ばしただけで範囲増えんの?」

「増えてないよ、元からだよ!それか教科書見たら分かるじゃん、それただの応用文だよ?」

「えぇ~、見覚えねンだけど・・・・、ホントに増えてね?」

「増えてないよ。何ならその例題、先週書き写しで宿題出てたトコだよ?ケンちゃん・・・・・、」

「宿題する時間とか無かったし・・・・忙しかったし・・・・・、」


言うと共に訝し気に顔を覗き込んでくる稔の視線から逃れる様に、ゆっくりと刀也の首が稔が居る方向と真逆へ向いて動き出す。顔を逸らし、追及をせんとする稔の視線から逃れる為にと紡がれた刀也の言葉はなんとも狡い。稔が聞くことの出来ない事情を前面に、己の怠慢を隠そうとするのは許されて良いものなのだろうか?つい先程まで泣いていたのだろう、頭ごと洗面台の蛇口の下に突っ込んで、乱暴に顔を洗った刀也の目尻が赤いのは勿論、此処にたどり着くまでに、ぐずぐずと弱音を吐いていた者を、これ以上誰が追求できるというのだろう。家次から借りたタオルを肩に掛け、一応悩んでいますと難しい顔を作る刀也に、心配していた時間を返せと、稔の視線は厳しさを増していく。


「・・・・・・・・、おっ!ここワシ分かるぞ!!でっふぇれん、せッッ!やろ!!?」

「え、家次さん知ってんの!?も一回言って「でっふぇれん、せッ!!」・・・・っぽい!!」

「何がポイんだよ!!家次さんも!僕この前やめてって言ったじゃん!!」


居間の座卓の対面から、思い出したとばかりにプリントの一点を指差してそう叫んだ家次に、呼応するように反応した刀也のペンが単語の綴りを書き出した。なんでそのまま書けるのか、なんで綴りもあっているんだ、なんでその発音で許されると思っているのか、言いたいことは山ほど在る。が、それらを差し置いても今、稔が一番気になっているのは、何故家次のその謎発音で、刀也が正しい単語を書けているのかに他ならない。


「なんでその発音で伝わって書けてんだよ・・・・、二人とも絶対におかしいよ・・・・。」

「何や稔、はみごなったみたいな顔しよって。ええか良ぉ考えてみぃ・・・・・、此処の最後が『・・・・セッッ!!』ってなっとるやろ?そこや。」

「よく聞けみたいに言われても何言ってんのか分かんないよ。」

「お前っ、なんでや!どう考えても此処が『セッ!!』やんけ!?なんや、お前もしかして急に来た反抗期なんかっ!!?」

「単語の綴りで来る反抗期なんて僕初めて聞いたよ、絶対違うよ、反抗期こんなんじゃないよ。」

「マジか稔、もしかして反抗期だからココで詰まってんの?でも俺も『セッ!』って感じだからな・・・・、逆にこだわってんの稔だけなんじゃね?」

「イヤここで許されたとしても教室とか先生には許してもらえないよ?寧ろまず一番に世界が許さないよ。」


二人揃ってとぼけた顔をして、でも何故か自信満々にそう言い切る姿に、稔はたった一人きりで、二人からの謎の応酬にちぎっては投げを繰り返す。一体誰が、何処で、その発音が正しいと言い出したのだろうか。少なくともそんな単語の読み方に稔が出会ったのは、つい数日前のこの大男の口から発せられたその一回限り、まず早々耳にすることはないだろう発声だ、常識であっていい筈がない。なのにこの二人にとってはどうやら共通認識項にあたるらしい。


「稔お前・・・・、別に寂しがる事ないやろ、ワシが分かる所は教えたるから、な?」

「じゃあ家次さんはそのままケンちゃんに教えてあげて。僕古文のノート纏めするから。」

「えっ、稔俺にも教えてくれ!古文意味わかんなかったから!!」

「ケンちゃんは先に英語のプリントと、社会のプリント埋めるんでしょ?時間無いよ。」

「社会かぁ・・・・、とりあえず英語終わらせようっと・・・・・。」


もう付き合ってられるかと、訳の分からない話題を続けようとるる二人の言葉を、稔はまるで叩き落とすが如くの勢いでへし折り、自身の課題と向き合うことにした。チラチラと視界の端で構って欲しそうな雰囲気を醸し出す二人の遊び盛りの子供に、一々付き合ってはいられない。今日で大まかな範囲を纏めて、土曜日は一旦休憩を挟んで、日曜日には翌日から始まるテスト教科に絞って暗記や応用をして問題と対峙をする。テスト勉強における最適化をするからこそ、山場を越え、迎える余暇を思う存分に楽しむことが出来ると言うものだ。だからこそ稔は今できる事を今やって、課題を先延ばしにすることを嫌う、少し頑固な一面がある。その分他人の目から見て自信家や、ただ要領が良く、ラッキーなだけだと一部の者からは噂をされているらしいが、意外と現実は厳しく上手く運ぶことの方が難しい。

人に努力を見せないようにして、自分が楽を出来る方法を捜し、ただそれを実践している。意外と地味で、根気のいるものではあるが、慣れてしまえばそれが常であり、稔にとっての普通となる。それが人の目から見た時には、何だか何もしていないのに出来る奴と、そういうあまり名誉ではない認識を生んでしまっているのだろう。こういう事を続けているからなのか、ごく稀に、刀也がもっと【主張】をした方が良いんじゃないかと稔に言ってくることがあったが、それが既に日常になっている稔にとって、復習や要点纏めと言った作業は、もう既に日常の延長線上に組み込まれている。それを他人に見せびらかす程の努力かと言われれば努力とは言い難く、かと言って前期テストで塾に通っている、【勉強をしている】生徒よりも高得点を取ってしまい、少しばかり気まずい思いをしたのも事実だ。なんで放課後に遊んでいる奴が高成績を収めたのか、何処かの塾に通っているのか、普段から目立たない癖に何なんだ、喋んない上に勉強しか取り柄が無いだとか、それはもう言いたい放題のオンパレードだった。言われている側の性格が大人しい事もあって、少しばかり冷やかしに勉強方を訪ねてきた者も数名居たには居たが、それでも稔の言葉に頷き、凄い努力だといってくれたのは、刀也を除いて新しく中学で顔見知りになった、今の稔の話し相手になってくれている一人だけだった。


「そこちゃうぞ、そこは『ッッ・・・・!』や。」

「ぅわ、ホントだ・・・・、家次さん的確~あんがとー!」


指摘された箇所に教科書を見比べて己の間違いに気が付いた刀也の様子に、普段とは違う謎の不快感を感じながらも、稔はぐッと、突発的に出そうになった言葉を一つ飲み込んで、家次が切り分け、小皿の上に乗せられたままだったういろうに爪楊枝の先を突き差して、ひょいとそのまま口の中へと放り込んだ。控えめな甘さに、鼻先から抜けるのは、少し土の匂いがする柔らかなよもぎの香り。そして噛むほどに、むにっ、むにっ、と口の中で主張をするうるち米の食感が、今の稔の心を唯一落ち着かせてるれる頼みの綱となっていた。


*


むちむちと、古典の範囲纏めを終わらせ、一人ういろうを食べて寛ぐ稔の傍らで、同じく机に向かい合っていた筈の刀也の身体が、ぐらりと大きく撓むと共に、そのまま背中から畳の上へと倒れ込む。口から力なく漏れ出す声に特に意味は無いのであろうが、それでも力尽きさも死体の様に寝転がった刀也の前、卓上残されているプリントを見る限りでは、やっと終わったのだろうという事だけは、稔でも十分に理解出来た。


「おい稔、お前何緑ばっか食っとんねん。食うんやったら他のンもちゃんと食え。」

「えー、僕緑が美味しいんだけど・・・・、さくら?ニッキ?だっけ、苦手なんだもん。」

「お前何子供口のクセしてえらそうなこと言うとんねん!コレ高いんやぞ!」

「白も結構甘いし、僕緑食べるから、これ家次さんにあげる。」

「価値の分からんクソガキが・・・・・、寄越せ、代わりにワシのん二個やるわ。」

「やった!!」

「すげ~、誰も俺のこと心配してねぇ~・・・・・。」


俺こんなに頑張ったのに、褒めてくれたって良いじゃんよ・・・・。放心状態のまま、それでも隣から聞こえてくるありのままの承認欲求に無視を決め込んで、稔は白とピンクだけが残った皿を、そっと家次の方へと差し出した。本来ならばそこそこの大きさのままで食べるそうだが、一口サイズにした方が片手間で勉強の合間に食べれるだろうと、わざわざ小さな賽の目状に家次が切り分けてくれたそれは、三色で層になっているものでは無く、一本単位で作られたものらしい。だからなのかは知らないが、好きな味があるとどうしてかそればかり食べてしまうらしく、稔の皿の上にはもう緑の欠片は先程口に運んだものが最後の一つで、皿の上残されたピンクと白は、それぞれが一欠けらずつしか減ってはいなかった。刀也の更に至っては、勉強前に食べきってしまったのでもう既にカラであるが、稔と刀也の1,5割増しの量を盛っていた家次の皿の上は、各色が綺麗に三欠片ずつ、ちょこん、とその場に収まっていた。机の上そっと自らへ向けて差し出された小皿に手を伸ばし、家次は自らの皿の上まで持ち上げると、そのままひょい、と小皿自体をひっくり返した。ぽこ、ぽよんっ、と少しの衝撃をその身で緩和するように跳ねる白とピンクの小さなういろうは、まるで生きているようだ。そんな姿を少し面白いなと思いながらも、家次の皿の上から雑に二欠けをまるで串団子宜しく爪楊枝で突き刺して、小皿に乗せて返してくる家次の容赦の無さに、稔の中芽生えた謎の生物は、一切容赦の無い一撃でもってして、その生涯に幕を下ろした。


「俺ももうちょい食いたいー。」

「あほんだら何抜かしとんねん、お前がいっちゃん最初に食い終わっとるやろ。」

「スゲーよ、むっちゃ口悪いんだけどー。稔お前やっぱスゲーよ・・・・心折れるって・・・・、」

「何言ってんのケンちゃん、家次さんのこれはただの【枕詞】だよ、意味なんてないよ。」

「お前ボケ、何カスみたいなこと言うとんねんっ!これからお前の食うもん全部ニッキ味に変えたろかガキぃ!!」

「絶対にヤダ!!それにニッキ味だけだったら家次さんだって飽きるじゃん!お小遣いは決まってるんだよ!!」

「・・・・・・確かにそうか・・・・・、」

「・・・・・・これって、稔も結構勝てるんだな・・・・・・。」


小遣いと菓子の内容を考えて、確かに、と一人納得の返事をした家次に、もう何が何やらと、とりあえず納得がいかなかったのだろう刀也が、えぇ~?と疑問の声を上げる。家次の懐事情に詳しいのは一番にチカ、二番に家次自身、そしてなんといっても稔は三番目だがチカからのリーク情報があるのだ。今月は使い過ぎ、要らない物を買うな、おもちゃ分を経費に追加するな、自分の食べた菓子の領収書をお歳暮の勘定に紛れ込ませるな等々、それはもう一緒に居る分だけ十二分に詳しくなっても何らおかしくは無い。それ所か時には十円単位での追い込み現場にも遭遇しているのだから、家次自身が多種多様な味を楽しめなくなると言えばそこまで、本人が一番納得するに決まっている。


「クッソ口うるさいなぁ~、お前もいらん事ばっかり覚えよって、誰に似たんや。」

「少なくとも家次さんでは無いと思う。」

「確かに。」

「じゃかましいッ!ケン、お前は早よ次のプリントやらなアカンのんちゃうんかっ!!」

「っえぇーーー・・・・・、今日は、もう良いかな~・・・・・・??」

「ケンちゃん社会のプリント、今回の暗記、中間の分も含めての一学期分だよ?」

「は・・・・・・??え、イヤそれは範囲多すぎ「中間が少なかっただけなんだって」えー・・・・、」

「情けないのぉ~、社会言うてもどうせ日本史やろ。年表覚えたら仕舞いや。」


嫌悪感を隠そうともしない刀也の表情に、家次は肩肘を突きながら、白とピンクの餅を一つずつ楊枝で刺して、そのまま二欠け一気に口へと運ぶ。ニッキ味だと、少し怪訝そうな顔をした稔に、ニッキが苦手でも一緒に食うたら美味い。と、なんともな返事を返しながら、家次はもちもちと口を動かしながらも、卓上に置かれた社会の教科書を指差した。


「初めの方に書かれてる事なんか、ワシらの頃と特に何にも変わらん、ずぅーっとどないしたら生活し易なんねんって事だけや。そっからなんか急に貴族がー、華族がー、とか言うとるけど、所詮はただの人の生活の流れや。そこに金や身分や力や天災やとかなんか言うとるけど、【昔の人間がどうやって生きてたか】って言うのんを地続きにやっとるだけや。難しない。」


さも、何を悩むことがある?と言いたげな顔で言い切る家次に、でもなぁ~、と刀也は渋る様子を変えない。とっかかりが無いと覚えにくい、特に今回の社会科の先生は時代背景が無く、穴埋めで良いからとりあえず覚えなさいという指導方針を取っている。もしもう少しでもその時代の、その人物の人柄が分かっていたら?もっと興味を持てていたかもしれないが、まだ考えの浅い年齢における勉強方法として、【暗記をすれば点数が取れる】という採点基準は思ったよりも平等で、そして《暗記》という《努力の形が》見えやすい。もし少しでも興味を持てたのならば、その点だけでも調べてみると良い。きっと世界が広がるぞ、と、質問に教壇へ足を運んだ稔に言葉を返した教師の口端は、少しニヒルな笑みを称えていた。だからこそ稔は家次の言いたい事が分かる、知れば全てが繋がって、無理矢理覚えたものを引きずり出してくるのではなく、勝手に他の内容も自ずと繋がって引き出されていくと、そう言いたいのだろう。


だがそれは、何処かに楽しいを見つけた人だからこそ言える言葉なのだ。


「俺自分の事でもうイッパイで昔の人とかマジでどうでも良いって!今なんか特に!!」

「なんでやねん、お前前必死に泥団子磨いとったやろッ!あれかて昔からの遊びやろ、そんでなんか粘土とかやっとったら・・・・・、もう土器作っとんのんと一緒やんけ。」

「それ凄いこじつけだよ、家次さん。」

「何言うとんねん、人間なんか昔から土いじっとんのんやから変わらんやろが。ほんで石も触る、ほなら石器時代やんけ。」

「意味分かんねーのに否定できねーの何なんだよ・・・・、じゃあ聖徳太子は?」

「お前学校の先生に分からん事聞かんのんか?先生やんけ。」

「家次さんって、謎の理解力と説得力あるから納得しそうになるんだよね。」

「納得ちゃう、事実や。ほんなんどうでもええから、早よプリント埋めて帰れ。ワシの飯が遅なるやろ!」


隠すつもりの無い追い出し願望を口にした、寝転がったままの刀也を急かす様に、家次の大きな手が机を叩く。バンッ!と結構な音量でもって乾いた音を響かせる一枚板の座卓、年期物だが質の良い天板の一部分のニスが剥げているのは、多分間違いなくコレのせいなのだろう。早う、と言うと同時に伸ばされた腕が、刀也の席に用意されていた小さな教科書の山を崩しながら、お目当ての紙を手繰り寄せる。稔が止める間も、刀也が起き上がる間も与えずに、ちゃちな音を立てて開かれた数枚の用紙に視線を落とした家次は、少しばかりの間を置いてから、フン・・・・、と興味なさげに鼻先で笑う様な素振りを見せた。


「こんなガキみたいな内容分からんのんか・・・・・、今までお前ら何しとってん。」

「今勉強してるんだよッ!!!」

「そんなん分かってたら初めからテスト勉強なんてしねーよー!!!!」


くだらないと卓上を滑らせるようにしてプリントを返す家次に、稔は思わず拳を握り、そして刀也はやっていられるかとばかりに、再度その身を床へと投げ出した。子供だからこれから覚えるんだという稔の反論も、俺土器の作り方とか覚えても使わねーし!普通の皿使うし!!と言う刀也の至極真っ当な返答も、家次にとっては【馬鹿の回答】に当たるらしい。再度鼻先で笑う様子に刀也という友が戦線離脱をした今、稔は一人真正面から立ち向かおうとその目に少し力を宿したが、所詮は子ども。この程度も分からないなら話の場にも立てないとばかりに、得意分野のお陰もあってか家次は余裕の笑みを称えている。


「ワシと話し出来んのんは、戦国時代入ってからやろな~。」

「そんなのまだ先じゃんっ!ズルだよ!!」

「歴史は小学校でもやったのに、覚えてない方が悪いんや~!」


わざわざ語尾を伸ばし、意気揚々とそう告げる家次に、思い返せば確かに小学校の授業でも習っている範囲だと気づかされた稔は、返す言葉も見つからない。思わず押し黙る傍らで、戦国時代って何時代だっけ?と隣から聞こえてきた間の抜けた声に、稔は情けなくも言い返すことの出来ない己の口を窄めながら、まるで行き場のない気持ちを押し込む様に、小皿の上置き忘れられていた緑の塊が二つ刺さったままだった楊枝に手を伸ばし、そのまま二つ一気をいっぺんに頬張った。


休日を挟んで毎日2、3教科のテストを行ったその週末の金曜日、稔はそれはもう意気揚々と、昼間から家次の家へと足を運んだ。


「ただいまぁー!家次さーんッ!!」

「お?おお、おかえりぃ~!お前ちゃんと出来たんか~!?」


何時も通り昼間から一人、縁側で煙草を吹かす大きな人影に、稔は庭先に顔を出したと同時に声を上げる。一週間ぶりの再会だが、思ったよりも長く離れていた様に感じながらも、それでもいつもと変わらない木々の生い茂る庭先に、今年も夏の縁側の住人として稔が居ない合間に吊るされたのだろう、夏が来ると姿を現すガラス細工の風鈴が、柔らかな風に、ちりん、と、なんとも涼し気な音色を奏でている。


「バッチリ!!特に、社会ッ!!!」

「ほー?ほな結果楽しみにしとくか~??」

「かき氷レモン味、ミルク二倍で賭けてもいいよっ!!」

「ホンマか。ほなアカンかったらワシの分に小豆付けてもらおか~??」


ニヤリ、と口角を上げて笑った家次に、稔は駆け寄ると早々に胸を張って自信満々とその場で仁王立ちをしてみせた。来週の授業でテスト返却が行われ、早いものであれば早々に夏休みの宿題も配られる。もう本当に数えられる程に近くなってきた休みの気配に、稔の機嫌は最高潮に高まっていた。


「来週楽しみやな。ほんなら先に、とりあえず昼飯でも食うか。」

「うんっ!!!」


テストお疲れさん、そう短く言って立ち上がる家次に、稔もいそいそとその足を玄関へと向ける。テストが終わった最終日や急な午前授業の日等では、いつもこうして家次の家で昼食をとるのが、稔の大切な習慣だ。


「今日はチャーハンや!今日は特別に昨日作った角煮入れたる!!」

「やったーー!!!」


嬉しそうに両手を上げて喜ぶ稔の姿に、家次は二カリと笑うとそのまま台所のコンロの前に立つ。コンロの隣の作業台には、もう既に準備をされていた食材たちが、調理されるのを今か今かと待ち侘びた様子だ。


何時も通り、手を洗いに行った洗面台で、少し遠くから聞こえてくるジュッ、と、食材が鉄板の上で踊る音と、漂ってきたゴマ油の良い香りに、稔はここ最近で一番楽しみだとばかりに、本人も知らぬ内に、鼻歌交じりに手を洗っていたのであった。


・家次さん

身体は大男、中身はクソガキ!考え方や感性は子どもだが、知識欲があり要領を押さえるのが上手いので、基本勉強を苦に感じない。日本史、世界史といった歴史関係の小説が好き。好きな武将は楠木正成公!(よく歌を歌ったり、ハーモニカを吹いたりしている。)だが数学は許していないし、なんなら算数の時点で納得していない。特に分数に対して、他人には理解できない様な遺恨があるらしい。


・稔くん

家次に煽られる時だけ謎の負けん気を発動する。凄くハラが立ったので、今回の社会の暗記は勿論の事、かなりテストに対してのモチベーションを記録した。結果社会のテストでは上位に入り、学年でもテストで10番以内、総合でも同じくと、好成績を叩き出した。コレが続くかどうかは稔くんのやる気と気分次第である。


・ケンちゃん

今回流れでいっしょにプリントだけでも埋めようと頑張った少年。何故か英語は家次の教え方がハマったらしく、平均点どころかクラスでも上の成績を叩き出した。そして社会も何故か印象に残ったのか、平均点を少しだが超えた。もう野球部では無いので、少しだが放課後が手持ち無沙汰になるかと思っていたが、まさかの稔の友だち(稔が友だちになりたいと思っている子)と気が合い、2人で放課後に卓球したりサッカーしたり、ブリッジで体育館を走ったりしている。とっても有り余る位には元気デス!




皆様は何が得意で、何が苦手でしたか?

是非とも思い浮かんだものがあれば、そのまま脳波を飛ばしてテレパシーで教えて下さい。受信できるかどうかは知りません。

余談ですが、私は小五で漢字と決別し、中学で国語全般と袂を分かちました。やってられないものはやってられないですね、今考えても仕方ない事だと思います。

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