第77話「にゃんとも短い」
サラティス達がニャニャント族の棲家に戻るとなんと、既にベアダボの解体が全て終わってしまっていた。
「終わってしまったのですか」
「かいたい。そくどいのち。そざいわるくなる」
「いいそざい、いいおにく。はやくきるきる」
「あかなが、なにかほしいか?」
「生のお肉と皮を少々」
「なまにく。たべるあぶない」
「やかないとおなかいたいいたい」
「あ、違います。食べるんじゃなくて干し肉にしようかなと」
「ほしにく。おいしくない」
「わかった。ほしにく。わ、つくる」
「どれくらい?」
「え?いいんですか?」
「あかなが、だいおんじん。そざいもいっぱい。とうぜん」
「そうだ、ささがおいわいにふくおくるいっていた。あかなが、おおきさはかる。いいか?」
「え?いいですけど」
「あかなが、こっちくる」
狭い部屋に案内され身体の採寸をされたようだった。
「あかなが、ふくきぼうあるか?」
「それでしたら、今着ているような服をお願いできますか?」
「わかった」
今求められるのは華美でも、豪華な服ではない。
動きやすい服だ。
「かわはなににつかう?」
「鞄を作ろうかと。私はお家に帰るために、森を旅してるので」
「かばん。ききとくい。ききにたのむ」
「わ、ききよんでくる」
「え?」
せわしない。
会話を理解しようとすることに精一杯であった。
恐らく『わ』は一人称で自分を意味する。
名前はおなじ音綴りで、二文字から三文字。
ききとささなら、ききの方が年上。
ささとれれれなら、ささの方が年上。
なかなか面白い文化である。
直ぐにききがやってきた。
「わ、あかながのかばんつくる」
「ありがとうございます」
「かばん、せおう、さげる、どっちがいい?りょうほうつくるか?」
「いえ、背負タイプでお願いします」
「わかった。うではかる。いいか?」
「はい、お願いします」
ききにまた身体の採寸される。
「かばん、できるまでまつ」
実に運が良かった。
水と食料があれば最低限死ぬことはない。
だが、服も重要な要素だ。
一枚しかないと、どうしても不衛生になる。
元々は休憩時に洗い、乾かしてを計画していたが替えの服を入手できるのはありがたいことだ。
「ありがとうございます。怪我したら、言ってくださいね。お礼に治しますので」
その日の夜、ディスサルの服が完成した。
翌日にはサラティスの服。
さらに翌日には鞄が完成した。
正直とてつもない技術だと感心した。
「これはなかまのあかし」
「いいんですか?」
マフラーのような薄手の布を貰った。
編み込みの丁寧さもさながら、上手い具合に首に巻くとちょうどよい位置に可愛らしいマークがワンポイント刺繍されている。
恐らくニャニャント族の顔の形だろう。
「あかなが、いつでもかんげいする」
「みなさん、おげんきでー」
サラティスは手を振り、友好的なニャニャント族と別れた。




