第482話「工事中」
「ハルティック」
「何でしょう」
「遠回りにはなりますが、そこ左から回るように獣牽車を走ってもらっても?」
「……承知しました」
ハルティックは御者と護衛の騎士に伝える。
獣牽車は速度を落とし進行方向を変えた。
「停めて貰っても?」
暫く街並みを眺めていると目に止まった。
すぐに獣牽車が停まる。
「いいですか?これ以上は近づいてはなりませんよ」
「……ハルティックあれは、工事してるから封鎖してるのですか?」
「そのようですね」
街中の道が一つ封鎖されているようで、木の柵が置かれていた。
「ハルティック?」
「だめですよ。工事現場は汚れますし、何より危ないです」
「だからこそです。領民の労働環境を知ることは大切ですよ」
「……どうしても行きたいのですか?」
「はい」
「……承知しました。ひとまず聞いて参りますのでお待ちください。いいですか?断られたら諦めてくださいね」
「それは分かってますよ」
暫くすると、ハルティックが戻ってきた。
「こちらが現場の責任者の方です。今回ご厚意で見学をしていいとのことです」
サラティスはすぐさま獣牽車を降り、隣の男性に挨拶をする。
「私はサラティス・ルワーナ・リステッドです」
「お、俺はデボンスといいます」
五十代くらいのがたいの良い男性が頭を下げる。
「急な頼みで申し訳ありません」
「いえ。……本当にアレシア様にそっくりだ」
「ふふ、ありがとうございます」
明らかに緊張しているが、敵意や仕事を邪魔されたうざいなどはなさそうな雰囲気だ。
きっと領民に寄添う二人のおかげであろう。
「何の工事をなさってるんですか?」
「水道管の取り換え……水道管はご存じですか?」
「はい、知ってます」
時代の進歩を感動したのだ。
綺麗な水を汲みに行かずとも家で飲めるのだ。
地面の下に管を通して水が届けられる。
しかも、水を汲む施設では水を綺麗にして管に通すため、自宅の蛇口から出る水を直接飲んでもお腹を壊したりなどしない、安全な水なのだ。
どうして、何故と調べたものだ。
「水道管ってのは大体二十年くらいで時期とされてやす。ここの区域のが丁度交換時期になるので、それの取り換えの工事を行ってやす」
「そうなんですね。水道管は金属でできてると本で見たのですがあってますか?」
「へい。金属性で内側に魔獣の革を貼り付けてやす」
「あーなるほど、なのでその革がぼろぼろになるから二十年で交換なんですね」
「そうでっさ」
デボンスに案内され、サラティスとハルティックは木の柵を通り抜ける。




