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宿屋の娘は聖女と呼ばれ転生す  作者: 紅羽夜


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480/482

第480話「そういう訳ですか」

「こ、こら。すいみません。ほら、サラティス様と大人の話しをするから通してちょうだい」


 子供達も院長が怒りそうなのを察し、素直に道を開ける。

 院長室に入り、お茶が出される。


「改めて、本日はお忙し中誠にありがとうございます」

「はい。それはいいのですが、あれは何ですか?」

「サラティス様を聖女とお呼びした声ですね……大変申し訳ありません。子供なので何卒ご容赦を……」


 院長は立ち上がり深々と頭を下げる。


「怒ってないですよ。理由が知りたいのとできればやめて欲しいですね。私は聖女ではないので」

「サラティス様を聖女様と呼ぶのは恐らく職員の言葉を聞いて、自然と広まってしまったのかと」

「職員が?」

「はい。サラティス様は子供ながら、孤児院の為に私財を投げうってまで寄添ってくださいました」

「へ?」


 いくつか提案を出したりした。

 寄添ったというのは確かである。

 しかし孤児院は寄付や領から出しているので、サラティス個人がお金を出してはいない。

 そもそも余程の事情がない限り、お金を出すつもりはない。

 直接金を渡すくらいなら、教師の雇用費用や施設の改築費用を出す。


「まずはサラティス様のご提案から始まり、孤児院の体制などが変わりました。そして、ようやく教師を雇って子供達に勉強を教えれるようになりました。それはササモの収益のお陰です」

「それはなによりです」


 その事実は既に知っている。

 手紙に混じる報告書に記してあった。


「しかし、そのササモとはサラティス様と魔族の方の友好の証で、サラティス様個人の物です。本来であれば、それらの利益はすべてサラティス様お一人のもののはず。それを見返りも求めず、ただただ子供達の為に無償で差し出す。まるで、聖女様のような御心だと。それを聞いた子供達が聖女様だと口にするようになったようです」

「あーなるほど」


 そこまで感謝されているとは。

 そして理解はできた。

 聖女と呼ばないように注意するのと、例え聖女のようだと思って心に秘めるように約束してくれた。


「最近困ったこととか、解消したいことってありますか?」

「……多々ありますが、やはり一番は不審者対応でしょうか?」

「あー泥棒ですね」

「はい。ササモに関しては騎士の皆様が守ってくださっています。それに周辺の住民の方がなど有志の方が自発的にパトロールしてくださってます」

「そんな方がいるのですね」


 実にありがたいことである。

 きっと子供は宝であるという立派な方が周囲にいるのだろう。

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