第472話「埋もれた事実」
ある時、前線でネイシャは魔族を治療した。
一か八かであった。魔力をごっそり持っていかれたが、結果的にその魔族は一命を取り留めた。
その魔族は魔王に家族を皆殺しにされたそうだ。
何よりも驚いたのはその魔族はあの魔王の腹違い弟であったということだ。
本人曰く、魔王がその事実を知らなかったため狙われなかったとのこと。
仮にも兄弟であるが、魔族の価値観は違う。
ただの敵であるので、自分が殺すのに都合がいいので人間側に味方し戦っていた。
その魔族はとても強く、詳細は知らないが何か魔法で自身を強化し敵陣を崩壊させていった。
ただの名もなき魔族として、かなり活躍したとは聞いていた。
魔王を倒した後は大変だったため、その魔族がどうなったかは知らないのだが。
魔族なので存命かもしれない。
だが、忠告にしては荒唐無稽である。
「もしかしたら……」
サラティスとディスサルの二人が共通で知っていて、注意すべき相手。
それはあの森の中で戦った魔族達。
一番可能性が高いのは彼らの中に弟がいた。
そもそも、彼らはディスサルを狙っていたので、弟が仲間で加担していたとしてもおかしくない。
計画の障害、家族の敵としてサラティスを知ったのなら復讐を計画しても、なんらおかしくはない。
サラティスはぼかしながら、その懸念を伝える。
「それが一番可能性が高そうですね。サラティス様、くれぐれも学園ではお気をつけください」
「分かってます」
リステッドの地であれば、周囲にリステッドの騎士がいる。
何よりあのセクドがいる。
なのでリステッドの地の方が安全であると二人の共通認識だ。
ハルティックはお辞儀をし、部屋を出て行った。
サラティスは荷物を片付けると、すぐさまロザリアの元へ向かった。
「ロザリアずいぶん大きくなりましたね」
「ねーさま、げんきだった?」
「まぁ!」
ロザリアを抱きしめる。
天才だ、良い子だと褒めちぎる。
その後はアレシアと一緒に風呂に入り、色々と積もる話をした。
翌朝、セクドとの訓練のため早く起き庭に向かった。
「あ、ヤーミーお元気でしたか?」
庭にはセクドとヤーミーの姿があった。
ヤーミーの髪、肌を見る限り孤児であったかどうかが分からない程になっていた。
きちんと食事量を食べ、栄養を摂り、適当な運動をしてといった健全な生活を送れているようで何よりだ。
「サラさま。おひさしぶり、です」
ヤーミーはひょこんと頭を下げる。
「お父様、どうしてヤーミーが?」
「ふふ、そうだ。まずはヤーミーとやるのはどうだい?」




