第467話「密室、母体と胎児……」
理解した。
リステッドの子供ですら、複数回に分けて魔術式を刻んで慣らしていく。
悲惨な結末になる可能性は予測できる。
「それに、赤子がそんなことになったらサラティスも危ない」
「……」
「これが実情だね。それに対外的に魔術式を刻まずに当主になったとしよう。リステッド領を魔獣から守るのが私達の使命。結局のところ女性は妊娠期間があり、出産直後も暫くは動けない。当主として動けない期間があるのは宜しくない。だからなるとするのであれば、一生子供を作らないことが前提となる。ジェリドはサラティスとケイト君に一生子を作るな、領主になれと言えるかい?」
「……言えません。そして理解しました。どうして、男じゃないとダメなのか」
「良かったよ。正直私もリステッドでなければ、認めていたと思うよ。安心しなさい。ジェリドは立派な領主になれるよう、私も全力で教えるからね」
「はい」
「あ、そういえば。当面の間は本気を出すことは禁止だからね」
「本気ですか?」
「そうだね。まだ慣れてない状態で本気で訓練したとしよう。恐らく力加減ができずに、死者が出る」
「……それほどですか」
「これだけ危険な魔術式だからこそだね」
「そして、もう一つ。ジェリドは不埒者になるよ」
「ど、どういうことですか?」
「私の服は特注なんだよ」
貴族であれば珍しいことではない。
しかし、今まで経済的に良くない状態であったのでアレシアやサラティスの服など全て特注などはできなかった。
しかし、セクドの服だけは特注品であった。
「この服は魔獣の素材から作られてるんだ」
これも珍しくない。
ただ魔獣の場合は入手、加工とそれなりに大変なため、物によっては上限を知らない程の費用になる。
「例えばなんだけど、今の状態で本気で動いたとしよう。服が裂けたり、最悪燃えたりするんだよ」
「そ、そうなのですか?」
「そうだ。風魔術で物を切ったりするだろ?それと同じで余りに早く動くから、自分に当たる風がすさまじい威力になるんだ」
「ということは……」
庭での訓練。
ジェリドが本気で行った場合、最悪訓練中に生まれた時の姿になる恐れがあるということだ。
まだ、屋敷内であるならいい。いや、恥ずかしくてたまらないが。
これが街中であれば。そう、先程のセクドの言う通り、不埒者として捕まっても文句は言えない。
他の領全て同じ領令があるかどうかは分からないが、少なくともリステッド領では街中を全裸で過ごすことは禁止されている。
恥ずべきことであり、なにより危険だから法で禁止されている。




