第466話「密室、血と秘術……」
「女児はどすれば?」
「特に決まりはないから、奥さんと相談して好きにするといいさ」
セクドは本を閉じ、別の本を開く。
「父さん」
「何だい?」
「責務から逃げるとかではないのですが、領主はサラティスの方が向いているのではないでしょうか?僕が魔獣駆除でサラティスが内政。その方がより領が発展するような気がします」
「……」
セクドは目を瞑る。
もしもを頭に浮かべているのだろうか。
「サラティスが内政を手伝ってくれるのは問題ないし、すごい助かることだね。でも、領主はだめだ。これに関しては仕来りでも、古い考えだからでもないんだよ」
セクドは頁を捲る。
「これを見てごらん。昨日、ジェリドの背中に刻んだ魔術式だ」
ジェリドは自身の背中にある魔術式は見れないので、初めて見る。
「リステッドの秘術というものだね。リステッドで子供が生まれたら、その場で直ぐに魔術式を刻む。ここから、ここまでだね」
魔術式の完成形は円形である。
そのうちの、約三分の一程を指す。
「これは男女関わらず刻み、全力で魔力を込めたりしない限り、まず見えない。サラティスもロザリアの背中にもあるよ」
特殊なインクを使っており、魔力に反応し光る。
「そして、ジェリドが学園に通う前に二段階目を刻んだ」
刻んだ結果、体を慣らすために入学を一年遅らせたのだ。
「で、昨日最後を刻み魔術式が完成した。この完成された魔術式を刻んだ者だけが当主になれるんだよ」
サラティスにも刻めばよいのではないか。
「まず、この魔術式はリステッドの血を引くもの以外に使用してはならない」
血族の秘術と言われるのだから、当然であろう。
「これは昔の記録なんだけどね。この魔術式をリステッドとはまったく関係ない人間に刻んだことがあったんだ。どうなったと思う?」
「……魔術が発動しなかった?」
「ううん。それ以前の問題だ。魔術式を完成させ、魔力に反応し魔術式が光った途端、その人は苦痛で叫び、悶えたそうだよ」
「え?」
「そして、最期には体中が裂け血が吹き出して絶命した」
「な……」
「つまり、この魔術式はリステッドの血だからこそ耐えれるものだ」
セクドは真剣に告げる。
決して冗談ではないのだろう。
「サラティスも私の子だ。魔術式そのものには耐えられる。でもね、ジェリドはサラティスに一生子供を生むなと命じることができるのかい?」
「え?」
「サラティスが子供を宿した時、完成された魔術式の影響を子供が受けるかどうか未知数なんだよ」
「あ」




