第461話「密室、先輩教員と後輩教員……」
そこは王都でも知る人ぞ知るレストラン。
夜にしか営業をしておらず、会員制で静かに食事を楽しめる店。
夜しかやっていないのだが、客は皆貴族や金を持っていおり、身なりがきちんとした商人しかいない。
いやに恰幅が良い、歴戦の覇気を感じさせるような人物は客層ではないようで見当たらない。
そんな店の入口にかなり視線を釘付けにする人物が現れた。
入口に立っている店員は扉を開け、客を通す。
席は完全個室で切り分けてあり、雰囲気のある会話をするのにぴったりである。
「ごめんなさいね、お待たせしちゃったわー」
「お疲れ様です、カリナ教員」
「もう、チュースちゃんたら。ここはプライベート。教員は無粋だからやめて、ちょ・う・だい」
「……はぁ、カリナさん」
「はい、宜しい」
カリナは机の上に置いてある魔石を指で軽く叩く。
これはただの魔石ではなく、魔術具であり扉の上部が光る。
店員は光で判断し、扉を開け中に入って客の対応を行う。
二人は料理を頼み、あくまで雑談を交え、料理を胃の中に収めていく。
「さてと、相変わらず美味しいわね」
食事を終え、本題に入る。
「当然承知していると思うけど、うちの蕾ちゃん達は本日野外授業をやっていたわ」
当たり前だがその場にいたのだから、チュースも知っている。
「森の中で可愛い蕾ちゃん達が攻撃魔術を受け、怪我を負ったわ」
「……負傷した生徒は?」
「頬に軽度の切創。出血が確認されたわ」
「……」
「だけど安心して頂戴。怪我は治療済みで痕も一切残ってないわ」
「そうですか」
強張った肩の力少しだけ抜けた。
「攻撃魔術とは?」
「一瞬の事、治療を優先したのではっきりとは見ていないそうよ。ただ、石のような物であった、地面に欠片が転がっていたことから土魔術と推測されるわね」
「念の為の確認ですが、魔術による副次的要因による事故、または魔獣による何かの可能性は?」
「そうね。魔獣はまずありえないのはチュースちゃんも分かってるでしょ?」
デュービイーの風で石が吹き飛んだとて、石が飛んできたと気付く程度で怪我などする速度は出ない。
「そして、事故の線だけど。木々の中で、しかも一個だけが器用に飛ぶと思う?」
それこそ魔術を使い例えば、爆発が起き、地面が剥がれすさまじい速度で飛んでいった。
そうであるのなら怪我を負うことは考えられる。
「一個だけですか」
「そうよ。木の幹に傷ができたのを確認したそうよ」
もし魔術の事故で石が飛んでいったのであれば一個などでは済まない。
「意図的に狙った魔術である可能性が濃厚か。因みに実行者は?」




