第457話「野外探索」
切創の回復魔術は直ぐに試験になり、皆特に問題なく合格した。
その分ネフィラスの逆塔での授業が増えた。
野草の中で薬に使える物、逆に毒や炎症などを起こしたりする、危険な種などの知識、見極め方などを習った。
今日はネフィラスの逆塔二階層の木々の中を進む。
ペアを組み、植物などを観察するのが授業内容であった。
そして、一般魔術コースもネフィラスの逆塔で訓練を始めたようで生徒達と入口で一緒になった。
回復魔術とは異なり、かなりの生徒数なので引率の教員も複数人いた。
「サラティスさん、後ろ」
声色に緊迫が振りかけられる。
「?」
ツニデニットの声に従い後ろ向く。
「あ、デュービイーですね」
デュービイーがサラティスの後ろを通りすぎていった。
「デュービイー?」
「はい。今のはデュービイーという魔獣ですね」
「危険性はないのか?」
「そうですね。植物の花粉を食べるので人を襲ったりしないです」
「なるほど……デュービイー……」
ツニデニットは懐から紙とペンを取りだし、何やらメモを残す。
「すまない。初めて見た魔獣だからメモしておこうと」
「いえいえ、ご立派です」
「魔獣にも詳しいみたいだな」
「そこまでではないですが、家は魔獣にどうしても詳しくなる環境なので」
「あーそうか。リステッドは魔獣被害の地だな」
「はい。なので図鑑なども多くて、それを読んでって感じですね」
「そういうツニデニットさんだって医療知識が博学じゃないですか」
ツニデニットと話してみると、医療分野の知識が豊富で細かい部分はサラティスより知っているようであった。
サラティスは現象に関して詳しいが原理を深く理解していないことの方が多い。
「家が医者の家系でな。ひたらすら医者になるために勉強してきたからな」
「なるほどー。では、後をお継ぎに?」
「いや、俺は三男だから独立しようと考えてる」
「あ、三男でいらっしゃるんですね。独立ということは、どこかで病院を?」
「悩んでいる。カリナ教員に言われただろ?」
「あー、王都などで専門医で働くか、地方で全体医ですか」
「いや、全体医になるつもりはない」
「?」
「カリナ教員は言ってなかったあれ以外に二種の医者がいる」
「二種もですか」
隠していたのであろうか。
「一つは王宮勤めの医者だ」
「あー」
隠していた訳ではなさそうだ。
「王宮勤めになるには余程の天才か功績がなければ一般人がなることができない。なれるのは基本的に貴族であること」
ツニデニットは貴族の子供であるからこれは問題ない。




