第451話「提案」
「もう……」
「いいか?リステッド。お前の婚約者は俺の婚約者とずいぶんと親しく何回も密会してやがったんだよ」
「密会?」
サラティスはケイトを見る。
「ご、誤解だよ」
「そうよ、サラティスさん。やましいことなんて一つもないのよ」
サラティスは当然ながらマレランネのことを一切知らない。
その言葉を信じるかどうかの判断がない。
だがケイトのことはよくよく知っている。
眼、表情、雰囲気。
それら全てが嘘をついていないと判断できた。
「密会と言いましたが場所はどこなんですか?」
サラティスが知らないだけだと思うが、ぱっと完全に男女二人きりになれる空間が思い浮かばない。
校舎には生徒、教員がいる。
寮に関してはそもそも、異性は寮には入れない。
それに寮であるのなら、各々の使用人もいるので余計目がある。
「教室とか、蔵書館とかだよ」
「……どちらも他人の目があり、密会とは呼べないのでは?」
「うるせぇ!言っておくが俺は年下でも女でも容赦しないぞ」
「どうぞご自由に」
男女平等。実に良い精神である。
「止めなさいよ。サラティスさん、落ち着いて。彼は武芸に長けていて、去年の学祭の格闘で三位だったのよ」
「なるほど。つまり、口で勝てない相手には暴力で解決しようとすると。素晴らしい腕に、どうしうもない使い方ですね」
「なんだと」
「サラちゃん」
ケイトが二人の間に割って入ろうとする。
今にもゲルダマがサラティスを殴りそうであった。
「ふ、ケイ。大丈夫」
それをサラティスが静止する。
「分かりました。証拠も不十分で議論しても結果はつかないと思います。だったらいっそ、こうしませんか?」
「あ?」
「ゲルダマさんは格闘で三位だったんですよ?今年も出るんですよね?」
「当たり前だ」
「なら、私も格闘に出ます」
「サラちゃん?」
「さ、サラティスさん?」
「はぁ?」
「私が勝ったら、ケイトに謝罪をして二人の話しをきっちりと第三者交えて聞いてください」
唐突な提案に二人は戸惑う。
「ゲルダマさんが勝ったら私とケイト二人できっちりと謝ります。事実はともかく、誤解させてしまったのは確かなので」
「おい、お前が格闘だと?」
「あ。そうですね。ゲルダマさんが途中で負けるかもしれないですね。なら、ごめんなさい。こうしましょう、誰が相手でも先に負けてしまった方が負けということで」
「お、おい何を言ってるんだ」
自分は五学年であり、惜しくも負けたが、優勝候補である。
それに自分より上であったあの二人は卒業してどちらもいない。




