第450話「あの声は」
カリナは手を叩く。
「いい?この魔術が使えるのは最低限で基礎なのよ。手術などする際にもっと複雑だったり複合的に使うことになる。この授業で教える基礎知識がなければ到底できないものよ。だから既に出来るからって甘く見ないこと。いいわね」
サラティスは楽しんでいた。
そもそもが既に使えていた魔術であり、現代の知識をシェリーから教わっていた。
しかし、あくまでそれは魔術的な知識であり、医学的な専門知識ではない。
なので、感覚では理解していたことを、改めてきちんと教わるのが、実に納得がいって楽しいのだ。
「サラ、ちょっと用があるから」
「分かりました」
授業を終え、寮に戻る際フィーナと別れ一人廊下を歩く。
「彼女はそんな人じゃありません」
「黙ってろ!」
廊下を歩いていると珍しい声を聞いた。
廊下からは普段、生徒達の談笑が聞えてくるが、大声や怒鳴り声といった類を耳にすることはない。
「ん?」
いくら貴族の子供ばかりとはいえ、子供には変わりない。
なので喧嘩が起これば怒鳴り声も聞えるであろう。
だが気になったのはそこではない。
声の主である。
「ケイト?」
あの声から察するに怒鳴られているのはケイトの可能性がある。
急いで廊下を曲がると、やはり声の主はケイトであった。
「邪魔だって言ってるだろ!」
「何やってるんですか!」
恐らく上級生であろう。
男子生徒がケイトの頬を殴った。
ケイトは鈍い音を立てて壁にぶつかる。
サラティスは走り、間に割って入る。
「……怪我はしてないようですね」
サラティスはケイトの頬を触る。
少し熱を持っているが腫れなどはない。
「ケイ、あーん」
ケイトは口を開ける。
「……口の中も出血なし、問題ないですね」
「何だお前……ってお前はリステッドか?」
サラティスはケイトが怪我をしてないことを確認し、殴った生徒に向き合う。
確信を持って男子生徒を知らないと言える。
そして自分が知らない相手が自分を知っていることには慣れた。
サラティスは代表で挨拶をし、一学年ながら学祭で最優秀を獲得したので名を知っている生徒が多いのだ。
「いきなり殴りつけるとはどういう了見ですかね?」
「あ?部外者は関わるな」
「部外者?彼は私の婚約者なので場合によってはリステッドが相手になりますよ」
「あ?お前が婚約者?……可哀想にな」
「?」
「ゲルダマ誤解だって言ってるでしょ?」
ケイトの隣にいた女子生徒が男子生徒を諫める。
「誤解だ?こいつとはずいぶんと楽しそうにしていたよな?え?マレランネ」
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