第449話「根性」
「怪我したらどうするんですか?」
「ふふ、この程度なら直ぐ治るし痕も残らないわ。そもそも、ここにいる時点でそれは了承済みでしょ?」
確かに同意書を書いたのだ。
「ツニデニットさん、サラは大丈夫よ」
「……彼女が優秀だからですか?」
「それもあるけど、ほら」
その光景に全員言葉を失った。
「カリナ先生、終わりました」
「……」
カリナは一瞬言葉に詰まった。
既に知っている情報から推測すると、サラティスならこの程度簡単に往なすと思っていた。
しかし、あまりにも予想外すぎる方法でやってのけたのだ。
「ふふふふ」
風は止む。
カリナは大笑いする。
「怪我はないかしら?」
「はい、問題ありません」
「ふふふ」
笑いが止まらない。
「カリナ先生?」
「ごめんなさい。あまりも予想外すぎてね」
カリナは一呼吸休み、落ち着ける。
「サラティスちゃんのそれは私的にはとーっっても好みよ。大好きなんだけど、蕾ちゃん達は真似しちゃだめよ。サラティスちゃんだから、どうにかなったのよ」
「そうですかね?」
「サラ、どうだったの?」
「案外平気でしたね」
「まさか、何もしないなんて……」
ツニデニットは何とも言えない表情で視線を送る。
サラティスがあの暴風の中で取った対策は何もしないであった。
そもそもサラティスは暴風を面倒と思いはしたが、妨害だとは思わなかった。
それこそ矢や巨大な炎の塊、岩などが飛んでくる戦場の中で回復魔術を使っていたのだ。
あれに比べてただ強い風、小石などなにも感じなかった。
なのでただいつも通りに回復魔術を使っただけだ。
「根性で何とかするのはいいわ。とても痺れるけど、蕾ちゃん達よーく考えてちょうだい」
「?」
「今はあくまで練習として、劣悪な野外環境での想定で、机から動けないわ。でもこれが本当の現場であるなら、まずそういった場所での治療は避け移動すること。いいかしら?あくまでこれは練習であって、この通り動けではないからそこは忘れない様にすること」
生徒達ははっとした顔をする。
それから他の生徒も同様に挑戦し、クラスの半分が成功、半分が失敗であった。
授業を終え、行きと同じように学園に帰る。
次の内容は火傷の回復魔術であった。
意外なことに、クラスの大半の生徒が未習得であった。
カリナにこそっと質問する機会があり、貴族の子は火傷することがほぼないため縁遠いそうだ。
試験も特段問題なく終え、授業は切創の回復魔術を教わる。
「今日も蕾ちゃん達は輝いているわね。今日から教えるのは切創よ。回復魔術といえばこれという程メジャーだから、恐らく皆習得自体はしてると思うわ」




