第443話「皆であてましょう」
そのまま教壇に人形を持っていき机の上に置く。
「みんなこの人形の腹部を見て頂戴」
人形の腹部の皮膚の一部が黒ずんでいる。皮膚の表面に付着した汚れではない。
なのでこすっても落ちそうにない。
まるで何かの皮膚病を患ってるかのようであった。
「治す前は皆と同じで特に人形に不審な点はありませんでした」
「治している最中はどうだったかしら」
「……ごめんなさい。魔術の発動に集中してきちんと見ていませんでした」
「さて、蕾ちゃん達。これは何で発生して、どうやって対処したらいいか考えて見ましょう。人形だけど、人間の患者さんと想定してね」
「先生、触ってもいいのでしょうか?」
「……その判断も各自が行って頂戴。ただ、触れたことで人形に関しては一切保証しないけど、触ったことで蕾ちゃん達が病気になったり、怪我をするなんてことになったりしないことは保証するわ」
にんまり。
生徒達は皮膚を眺めたり、順番に指の先で黒ずんだ皮膚を触る。
「少し水っぽいわね。はい、サラどうぞ」
「ありがとうございます」
フィーナも恐る恐る人差し指の腹で撫でるように触り、観察を終えたので人形を隣のサラティスに渡す。
「ちょっと」
思わずフィーナは声を出す。
サラティスは人形を受け取ると情熱的な愛情表現の如く顔を近づける。
厳密には口づけなどせず、鼻先で人形の情報を読み取っていた。
数秒くんくんと鼻がわずかに膨らみ、しぼみを繰り返す。
「どうぞ」
満足したのかサラティスは隣に人形を渡す。
「では蕾ちゃん達聞いてくわよ。まず、レマイラちゃん。この変色はどうしてなったと思う?」
「……患者さんが何かの皮膚病になっていたからでしょうか?」
「うーん、良い推察だけど少し前の地点から考えて見ましょうか。回復魔術をかける前の人形は特段おかしな所は無かったでしょ?」
「はい。変色はありませんでした」
「ということは、少なくとも平常時皮膚に異常が見られないけど、回復魔術に反応して変色する皮膚病になったということになるわね」
「……」
「私も専門家ではないから、もしかしたら類似する病気があるかもしれないわ。でも今回は違うわね。ツニデニットちゃんはどうかしら?」
「単純に魔術が失敗したから?」
「難しい魔術ならともかく、簡単な魔術の失敗の情報は少ないから予期せぬことが起こる場合はあるかもしれないわ。でも、この魔術において失敗しても変色することはないわ」
皆頭を捻る。
「フィーナちゃんはどうかしら?」
「皮膚病ではないんじゃないかしら?」




